はじめに
私たちは、公益社団法人家庭養護促進協会大阪事務所という民間の児童福祉団体です。
1964年から、毎日新聞大阪本社社会部と大阪市、大阪府、堺市の児童相談所の協力を得て、乳児院や児童養護施設にいる子どもの中で、親元に戻る見込みがない子どもに新しい親を探す「あなたの愛の手を」運動を続けています。
毎週1人の子どもを写真つきで新聞に掲載し、年間のべ50人ほどの子どもが新しい親との出会いを求めています。「あなたの愛の手を」の記事は2020年11月末で2823回となりました。これまでに1400人の子どもが新しい親と出会い、そのうち8割を超える子どもが養子縁組を結んでいます。
あなたの愛の手を運動とは
当初は、「家庭養護寮」というファミリーグループホームを運営していました。一人でも多くの子どもに、より多くの里親開拓をするため、様々な試行錯誤の結果、①情報は具体的でなければならない、②情報は継続されなければならない、③情報は感動的でなければならない、という3つの原則を導きだしました。新聞社の協力を得て、紙面上で毎週、里親を必要とする子どもの日常生活の様子を伝え、その子どもを養育してくれる里親を募るという「あなたの愛の手を」というコラムが誕生しました。
当初は、施設で暮らしている子どもに家庭養育を提供したいという思いから、家庭で子どもを一定期間預かるという養育里親の開拓が中心でしたが、1970年頃からは、法律上の親子関係を結ぶ養子縁組前提の里親を中心に開拓しています。
子どもが生まれて、その親がその子どもを育てられない時、社会はその子どもを育てる責任をもっています。社会が子どもを育てるということは、具体的に誰がその子どもを育てるのかということです。愛の手運動は、それを社会に訴え続けてきました。具体的な子どもに、具体的な里親を見つけることが、私たちの役割です。それは、簡単なことではありません。ここのところ、年間20-25件のマッチングが成立しています。どの子どもに誰が関心を寄せてくれるのか、その誰かはその子どもの親として投げ出さずに育ててくれるのか、委託数の多い時も少ない時もその時代背景の中で、育てようとする人の想いと、育てられる子ども自身の力と、私たち協会のワーカーの努力によって、マッチングできた数字なのです。決して誇れる程の数字ではありませんが、その一つひとつに人間のドラマが繰り広げられてきました。そこから、協会はまた新たな発見を積み上げながら、子どもが大人に成長していく過程を感動をもって見守っています。
新しい親を・・・
本来、子どもは、親の温かい愛情のもと、家庭で育てられることが望ましいことはいうまでもありません。しかし、現実には、親のいない子どもや、たとえ親がいても、親の経済的事情、養育拒否、行方不明、虐待などの様々な事情により、家庭で暮らしていくことのできない子どもたちがいます。
日本では、このような子どもたちの8割が、乳児院や児童養護施設といった児童福祉施設で、集団生活を送っています。もちろん、児童福祉施設では、施設職員が懸命に子どもたちを養育しています。しかし、交替勤務で養育者が一定でなく、集団での生活ゆえに、職員が子どもと個別に関わることにも限界があり、子どもたちは「自分だけが愛される」という体験に乏しく、特定の大人との安定した信頼関係を築くことが難しい状況です。子どもの健全な成長には特定の大人が必要です。本来であれば、生みの親と暮らせるのが一番いいことではありますが、それが将来的にもかなわない時にはその子どもの「特定の大人」となれる「新しい親」を探す必要があると考えています。子どもには自分だけを見つめてくれる大人が必要なのです。「特別養子縁組」で法律上も親子になることで、親子は固い絆を結んでいきます。
将来にわたって親が育てることが困難な状況にあるのならば、養子縁組をして安心、安定を与え、永続的な親子関係を子どもに保障する必要があります。
大阪には養子縁組を必要としている子どもがたくさんいます。全国から養親になることを希望してこられる方はおられますが、すべての子どもに新しい親が見つかっているわけではなく、さらに多くの養親希望者を求めています。
親子むすび
一人の子どもと一組の夫婦が出会って、血のつながりを越えて親子になるということは、簡単なことではありません。それでも、新しい親子むすびをするたびに、その子どもと夫婦が、親子という関係を築くまでに繰り広げられるドラマは、なかなか感動的で、いつも新しい発見があります。
養親の声
(A島さん<迎えた時の年齢 3歳・女児>)
家に迎えて半年。もうずっと前から一緒にいたような気がします。養子だということも忘れて、「こういうところって、お父さんにそっくり…」なんて、ふと思っている自分に気づかされたりしています。
(B田さん<迎えた時の年齢 1歳9か月・女児>)
結婚してから僕らには「節目」がなかったんです。友達から「幼稚園入園なんだ」「小学校に上がったよ」という話をよく聞くけれど、自分たちにはそういうのがないままに年をとってきたんです。この間、高校生の頃のデート以来行っていない動物園に、子どもを連れていった時に、「ああ、友達や世の中のお父さんやお母さんがしてるみたいに、今僕らがそれをやってるんだなあ」としみじみ思って、やっと、なんか「親」になれそうだなあと思いました。
(C山さん<迎えた時の年齢 1歳2か月・女児>)
引き取ってちょうど1年目の日には、わからないかもしれないけど、「1年前の今日に、パパとママのところに来たんだよ」と話をしました。養子縁組が整って、役所に届けた時も、「今日からC山みほになったんだよ。みほちゃんは『長女』になったからね」と言ったんですが、やっぱりわかってないみたいで、虫のちょうちょと間違えて、「みほたん、ちょうちょ?」と言ってました。
(D川さん<迎えた時の年齢 2歳2か月・女児>)
子どもがね、お父さんお母さんと3人で何かする時に、めちゃめちゃ喜ぶんですよ。「3人一緒や~!!」って。何も特別なことなんてないんです。ただ寝てるだけやのに。
(E木さん<迎えた時の年齢 5歳2か月・男児>)
まさきも毎日毎日、元気いっぱいです。先日やっと乳歯が抜けました。1本ですが小さなかわいい歯なので、本当は屋根に投げるのでしょうが、記念にとっておこうと思います。「へその緒」のかわりに。
親子に寄り添う活動を…
養親子は世の中では少数派です。社会からの偏見を感じることもあり、子育てに悩みを抱えることもあります。縁組後も継続して支援していくためにも、養親向けの研修や、シンポジウムなどのイベント、親子で参加する運動会、小学生以上の子どもだけのキャンプなども実施しています。同じ立場の者同士でないと分かりあえない気持ちもあり、そういった集まりが子ども達の支えになっているようです。思春期の子ども達自身の悩み、大人になった養子が自分の生い立ちと向き合い、ルーツを探すことの相談にも対応しています。
活動を継続するために
私たちは、養子縁組の親と子をつなぎ、育て、里親制度を広める活動をしていきたいと思っています。活動には毎年5000万円くらいのお金が必要です。
行政からの事業委託費もありますが、運営資金の一部でしかありません。常に自分たちでも活動資金を得ていかなければという思いと必要性で、資金獲得活動のひとつとして十日戎での福飴売りを1978年から続けてきました。
福飴売りについて
大阪には今宮戎神社(大阪市浪速区)があり、商売の神様である戎さまが祭られています。例年1月9~11日には十日戎という行事があり、3日間で100万人を超える参詣者があります。「福娘」から「福笹」をもらい、「吉兆」の飾りをつけた福笹を持ち帰るというものです。境内周辺には多くの露店が立ち並び、大勢のお客さんで溢れます。
わたしたちも、一般の露店に混じって出店し、お多福さまの顔を描いた「福飴」を売り、活動資金の一部にあてています。飴を購入してくれた人にチラシを配り、広報活動をしています。福飴売りは、資金獲得や広報の活動としても、とても大切な活動です。
朝8時くらいから夜23時くらいまで、例年は3日間で80人ほどのボランティアさんの協力を得て、一緒に売り子をしてもらっています。一つ200円から400円の飴を1万個近く販売し、300万円ほどの売り上げがあり、100万円ほどの収益を得ています。
2021年の十日戎は、神事は例年通り行われますが、新型コロナウイルスの影響で、露店を出すことについては自粛要請があり、露店を出すことができなくなりました。
100万円の収入減というのは、私たちにとっては大きな痛手です。
資金の使い道
・活動資金70%
・リターン品費用、送料30%
実施スケジュール
2020年12月21日 イベントスタート
2021年1月20日 イベント終了
2021年1月下旬~ 各リターン準備開始、順次配送
<All-in方式で実施します。>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
リターン
A1,000円 全額を活動資金にさせていただきます。お礼のお手紙を郵送させていただきます。
B2,000円 活動資金にさせていただきます。リターン品としてお礼のお手紙と福飴2つ(Ⓐ1個、Ⓑ1個)送らせていただきます。(上限100)
C3,000円 活動資金にさせていただきます。リターン品としてお礼のお手紙と福飴3つ(Ⓐ2個、Ⓑ1個)送らせていただきます。(上限200)
D5,000円 活動資金にさせていただきます。リターン品としてお礼のお手紙と福飴5つ(Ⓐ3個、Ⓑ2個)送らせていただきます。(上限30)
E10,000円 活動資金にさせていただきます。リターン品としてお礼のお手紙と福飴5つ(Ⓐ3個、Ⓑ2個)、クリアファイル3枚を送らせていただきます。(上限20)
最後に
私たちにとって、広報活動かつ資金獲得活動でもある福飴売りが新型コロナウイルスの影響でなくなり、大きな打撃を受けています。今回、このクラウドファンディングに申込みをすることで、資金獲得をしたいのですが、それと同時に、より多くの人に団体の存在を知ってもらう機会になればとも思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
最新の活動報告
もっと見る無事に皆さまにお届けできました
2021/02/18 12:37先日、すべての皆さまに返礼品をお届けできたことが確認できました。多くの方々にご協力いただき、あらためてありがとうございます。懐かしい味、かわいい、福がいっぱい、などの声をいただきました。 もっと見る
6人の養子に語ってもらいました
2021/02/10 14:372月6日(土)大阪市天王寺区民センターにて座談会「わたしが養子であるということ・・・」を開催しました。コロナ禍での開催で、収容人数の半分以下とし、ソーシャルディスタンスを保った椅子の配置や検温、感染予防対策の手指消毒やマスクの着用など、参加の方にも様々なご協力をいただきました。1988年にできた特別養子縁組。長らく、全国の年間の成立件数は300件ほどでしたが、2013年度ころから500件ほどに増え、2019年度の成立件数は711件です。2020年4月に法律が改正し、特別養子縁組ができる子どもの年齢が6歳から15歳に引き上げられたことがニュースにもなりました。座談会当日は、協会を通じて、養親と出会い、育った20代、30代の若者6人が登壇してくれました。大学生や社会人、結婚して子育てをしている人がいたり、さまざまな6人です。 養子であることを知ったこと、養親への想い、実親に対しての考え方、そして自身のこれからについて、など、率直に話してくれました。123人の参加があり、6人それぞれの話を熱心に聴いておられました。約95%アンケート回答があり、「親子や家族について考えることができた」、「養子自身の話を聴けてよかった」、「養子を迎えたいと思っていた不安が薄くなった」など、好評をいただきました。今回はコロナ禍で入場の人数が制限されましたが、多くの方に声を届けられる機会を、また持てたらと思います。 もっと見る
随時、発送しています
2021/01/26 19:4920日に終了したプロジェクト。キャンプファイヤーさんから、ご支援いただいた方の名簿が届きました。お名前を見て、「あ、この方も協力してくださったのだ」と思ったり、今回初めて協会と関わってくださった方が半数近くいてくださり、多くの方々にご支援いただいたことを改めて感謝しています。心を込めて作ったお礼の手紙に一言を書き添えて、発送をしています。今日は発送作業2日目。少しすっきりしていますが、初日の昨日は、狭い事務所は飴と封筒と箱に囲まれ、私たちは黙々と発送作業をしており、写真を撮ることさえ忘れていました。「なんで、昨日のを撮ってなかったんやろー」と悔やんでいます。飴5個を入れると分厚くなり型崩れしていましたが、数をこなしていくとレターパックを箱状にするのも慣れて、少しきれいに折れるようになりました。台車に乗せて、事務所近くの郵便局へ持っていきました。これから、お手元に届いていきますので、もう少しお待ちください。改めて、ありがとうございます。 もっと見る
1,000円以外の金額でリターンなしをお願いすることは可能ですか?里親制度を詳しく知りたいのですが、ホームページなどはありますか?