花あかり当日を約1カ月後に控えた2月6日、このプロジェクトを率いる潮音寺の住職・村上定運がオンラインで対談イベントを開催しました。お相手は、新たに追加されたリターン品を手掛けるフラワーサイクリスト・Yayoさんです。
普段からロスフラワー(廃棄されるお花)を加工して様々な作品を生み出しているYayoさん。花あかりのプロジェクトになぜ参加してくださったのか? そしてお花の新たな活用法とはどんなものがあるのか? 村上住職とともに学んでいきましょう。
◆Yayoさん参画までの道のり
村上定運(以下、村上):今回のクラウドファンディングでは、地域に根差した形で様々なリターン品を用意し、支援してくださった方のもとへ直接、お礼が届く形になっています。地元のお米やお酒をはじめ、潮来のお花屋さんからお花が届く、というようなものですね。
また、地元の青年会議所と協働してSDGsを意識した取り組みを進めている関係で、このプロジェクトでもお花を長く、様々な方法で活用していけないか? と考えるようになりました。
そこで、今回参画してくださったのが、フラワーサイクリストのYayoさんです。簡単に自己紹介していただけますか?
Yayo:フラワーサイクリストという活動をしていて、アップサイクルを中心に行っています。廃棄されてしまうもの、例えば材木屋さんの木くずなどを使ってなにか作れないかと考え、かんざしを作り始めたのがきっかけです。
もともとお花が好きで、花屋でも廃棄が出るということに気づいてからは、自分ができることからやっていこうと思いまして。まだ使えるお花をドライ(フラワー)に加工して作品にするといった活動をしています。
村上定運:花あかりでは、本来使われるはずだったお花が廃棄されるのを防ぐために、境内にたくさんのお花を飾る予定です。ただ、それだけで終わらせてしまうと、そのお花たちは行事が終わった後、またロスフラワーになってしまう。
それをなんとかできないか、という話し合いのなかでご紹介いただいたのが、フラワーサイクリストのYayoさんでした。
素人の私たちには到底思いつきませんでしたが、Yayoさんにご参加いただいたことで、花あかり当日の装飾に使用したお花をドライフラワーに加工してリターン品にする、というところまで行きつくことができました。
Yayo:ロスフラワーや廃材を加工して新たな価値を持った作品にする、という活動は、コロナウイルスが流行する以前から続けてきたことです。
今回は、花あかりで使用されるお花も新たな価値を設けてリターン品としてお届けできればと思い、参加させていただきました。
村上:ブーケやボールペン、様々な作品になるんですね。ドライフラワーとしてゆっくりと時の変化を楽しむことができるという点も、フラワーサイクリストの腕の見せどころなんでしょうか?
Yayo:そうですね。経年変化も楽しめるんだよ、ということを知っていただければ。お花を買ってきて枯れたから捨てる、ではなく、吊るしておけばドライフラワーにしてもっと長く楽しむことができます。
バラやカスミソウなど、水分の少ないお花なら加工しやすいですよ。
◆五感を刺激する作品で現地の感動をご自宅でも楽しんでもらいたい
村上:興味を持って調べてみると、色々な人がこうした活動をしているんですね。
Yayo:お花にもう一度命を吹き込むという意味で、様々な活動が展開されています。なかでも私はアップサイクル、つまり元々あったものよりも、手を加えることでアートとしての価値を上げる、ということを意識しています。
私が立ち上げたnonwasteというブランドでも、五感を刺激するような作品を作れたらなと思っていて。今回のリターン品で採用されたボールペンも、先端にアロマストーンがついていて香りが楽しめるようになっています。
村上:私もドライフラワーを買ってみたんですが、カスミソウに色がつけてあって、見ていて楽しい。しかも、香りというのは現場でしか楽しめない要素の1つだと思うんです。姿や音は動画でもお伝えできますが、香りはそうもいかない。
お寺のリターン品としてお線香を作ったのもそうですが、香りというのは人の心を癒す重要な要素ですよね。花あかり当日の映像を見ながらドライフラワーを楽しむことができれば、届いたその場所が花あかりの会場になるはずです。
◆ドライフラワーになる過程すら装飾に
村上:今回、ドライフラワーに加工する、というのを軽々しく頼んでしまいましたが、ドライフラワーにできるお花、できないお花があるんですよね?
Yayo:しやすいお花、しにくいお花というのはありますね。私もまだ勉強中ですが、乾きやすいお花や、葉物はよく使われています。もしなにかお花を使う機会があれば、そうした花材を事前に選んでおくのがおすすめです。
今回のプロジェクトでは、私が現地に行って花あかりで使用されたお花を加工するのですが、制作している過程も装飾に使っちゃおう、という話が出ていますよね。それもすごくいいなと。
村上:花あかりのちょうど1週間後に、隣接する幼稚園で卒園式があるんです。お寺の講堂が会場になっているのですが、そこにドライフラワーにする過程のお花を飾りつけ、装飾としても使おう、ということで、図面をお送りしているところです。
お花を干してドライフラワーを作っている最中すらも装飾に活用してしまおうという、私たちには目からウロコのアイディアでしたね。
(後編に続く)