▲相棒の墨すり機るんるん君(我が家に来て2年目)
【磨墨して腐らせて、存在感を出す】
個展の作品作りに必要な墨の量は特大筆や大筆を振り回すため、最低でも3リットルは必要です。
今日から、約1ヶ月かけて固型墨を磨墨しますが、手作業で行うのは至難の業。墨も1本数千円から数万円の墨を数十本使います。固型墨は重厚感と存在感、立体感を併せ持つ黒を出せる。逆を言えば、市販の墨液、墨汁ではこの黒は出ません。理由は自然由来の固型墨と、化学的に作られた墨汁の違いが大きく左右するからです。
▲赤みがかった黒。
その為、文明の力である墨すり機に頑張ってもらい、コツコツとバケツに溜め込みます。そして、強烈な匂いを放ちながら外で数ヶ月寝かせます。
この時、奥さんや家の方に必ず許可を取ることも忘れずに…。喧嘩の種にならぬよう。
▲悪くならない為に一定の温度管理を。
そうすると、二層に別れた立体感ある作品が出来ますが、それがどうなるかは個展の時まで内緒。
ちなみに、固型墨は膠(にかわ:動物の骨)を原料とし、菜種油系または松ヤニを燃やして採れた煤(すす)と自然の香料を加えて作ったもの。
市販の墨液は、合成のりに工業用カーボンと防腐剤を使って作られたもの。昔に比べて質は良くなっています。