関愛君は,私が2000年からライフワーク的に担当しているIPAの未踏事業のプロジェクトマネージャとして,2004年に採択して,未踏スーパークリエータとして認定した人です。当時はまだ19歳でしたが,北海道の田舎でフリーランス・プログラマとして活動していました。当時を考えると,まさに時代の先を走っていたと言えます。未踏事業は自ら生み出したアイデアを,ソフトウェア(最近はハードウェアも含みます)として実現する才能とガッツを発掘・育成しています。関君は見事にその期待に応えてくれました。そしていまや大阪府で子ども向けのプログラミング教育事業を立ち上げて大活躍しています。
風の噂で子どものプログラミング教育関連の仕事をしていると聞いていましたが,ロジカ式というブランドを立ち上げるに至っているとは驚きました。本書は,子どものプログラミング教育に関心が高まっている中,親御さんたちがどう考えるべきかについて述べたとてもタイムリーな本です。
関君自身,これまでいろいろな経験をして,そこから「4つの人間力」の重要さに気づいたことが大変平易な書き方で,わかりやすく伝わってきます。プログラミングは単なるスキルではなく「人間力」を養成する素晴らしい手段です。これを大上段から観念的にお説教するのではなく,関君自身の体験をベースに本当に大事なことは何なのかを明快に述べています。本書は,プログラミングに詳しくない親御さん向けに書かれていますが,子どものプログラミング教育に関わっているすべての人に読んでもらいたいと思いました。
本書の出版をきっかけにして,子どもが挫折しない,そして「人間力」につながるプログラミング教育が広がっていくことを期待します。
東京大学 名誉教授
IPA未踏事業 統括プロジェクトマネージャ
一般社団法人未踏 代表理事
竹内 郁雄
カバー写真: Goto Aki