こんにちは!Renovate Japanの吉田です。お忙しい中、本プロジェクトの活動報告の記事をご覧いただき、ありがとうございます。今回は、N’estが作りたいオナガハウスの空間、社会へ発信したいメッセージについてご紹介します。現代は、世の中にカネ、モノが溢れ、技術も進歩して、豊かな時代と言われる一方、あらゆるものがカネで手に入れやすくなり、自ら周りの社会や人と関わりを持たなくても生きていけるようになりました。結果、何をやるにもまずカネが必要で、変化を求めず居心地の良い現状維持を好み、自分と違う存在にはレッテルを貼り、許容しないという現象も見られています。このような現代の問題の原因をN’estの倉持さんは「無関心」「おカネ」「コミュニティの崩壊」と捉えています。これらの解決のためには、「人の交流」があり、「意味合い」や「共感」を持てる場を作る必要があり、N’estは、オナガハウスでもあらゆる人が情報や思い、生き様を共有し、おカネをかけなくても小さな挑戦を通じて、楽しく前に進むことを応援するコミュニティの形成を目指しています。オナガハウスは、立地としても東久留米駅前地区で商業地域の端の湧水池散策路の入口に位置するため、N’estは、散策の休息場所かつ地域の情報発信基地として地域の人が気軽に立ち寄れる空間を作りたいと考えています。ゆくゆくは、水を守る氷川神社や近隣のカフェ等と地域を盛り上げていく取り組みも検討しています。最後に、コーヒーを通じてコミュニティ作りを目指すN’est 倉持さんの思いをご紹介します(倉持さん執筆原文まま)。-----「ふたたび、冒険をつくり出す」今までの「おカネ」「モノ」「消費」が豊かさの基準で、モノがない時代に「’無い’を’ある’にすること」が幸せの価値観だったが、モノが豊かで「’無い’が無い」時代になると今までの幸せの価値観では必ずしも豊かさを感じられなくなってきた。そんな「時代の変わり目」に私たちはいるが、今までの価値観の居心地の良さ(コンフォートゾーン)から抜け出せずにいる。私たちは、そのコンフォートゾーンを抜け出す「冒険の時代」に向かっている。現代ではAIで自動化が進み、スマホ(SNS)で遠くの人とつながる。少子高齢化と人口減少は確実に進み、インバウンドで海外の安価な食材やモノが市場を占め、国内労働力や農業は外国人なしでは成り立たない。一方で海外の安い食材に対抗するために化学肥料やバイオテクノロジーを駆使して食材を大量生産するが環境や健康に影響を及ぼしている。「コロナ騒動」がそんな世相を浮き彫りにしてくれた。一人ひとりが望む未来があり、変えたい現実がある。様々な人の「思想」や「思惑」や「生きがい」が絡み合ってこそ、世の中が動き新しい考え方や生き残る方法が生まれる。これから大切になる事は挑戦し行動することだ。その原動力がイノベーションを引き起こす。行動が「冒険」になるのだ。現代社会に足りなくなったもの。それは「人の交流」であって「意味合い」「共感」ではないだろうか。だからCommunityとして新しい人間関係を生み出すカフェを作りたいと考えた。スナックのように参加した人がそれぞれの役割を担い、誰かの小さな冒険(チャレンジ)に乗り出す「挑戦」を「応援」する場だ。そうすれば、おカネをかけずに小さな失敗をして成功体験を重ねて確かなものにすることができる。カフェの歴史や起源をみると、冒険と世の中を変える場にはカフェの存在があった。イギリスのコーヒーハウスは商談の場として新たなビジネスを生んだ。フランスやアメリカのカフェは革命家を生み社会を変えた。日本の「可否茶館」は庶民の社交場であり知識の交友の場となって文明開化を進めた。いま、数多くあるカフェではコーヒーや趣向を照らしたスウィーツやカフェ飯など、お金を得るための商品が中心であるが、出会いの場・表現の場・新しい考え方や新しい仕組みを生み出す場になっているのだろうか?利益を増やすために大切なことを犠牲にしてなかっただろうか。文化や考え方や精神を共有させてくれる店が消費社会の中で消えてしまった。「検索」から「探索」へと時代は移っている。今までは競争の時代で個人が競い合っていたが、個人が知っている言葉や考えには限界があて「検索」できるキーワードには限界がある。資力にも限界がある。だからこそ、「同じ目標を持つ者同士が持つものを交換し、新しいものをつくる」場をつくり、「探索」という冒険を支えなければならない。
カフェ の付いた活動報告
あけましておめでとうございます!Renovate Japanの吉田です。2022年、皆様にとって幸多き1年になりますよう、祈念しております。本年もどうぞよろしくお願いいたします。さて、年末の投稿に続き、今回はオナガハウスでコーヒーを通じたコミュニティ運営を担う倉持さんのストーリーをご紹介します。倉持さんのコミュニティ作りへの思いは、育児からの学びが原点になっています。2010年に息子さんが自閉症だとわかったときから、将来自立した生活が送れるよう支援する日々が始まります。偏食改善の取り組みからは、「食」の大切さに気づき、食を学ぶ過程で食の安全性、フードロス、途上国の貧困問題等、現代の様々な問題が見えてくるようになりました。教育の過程では、「混合教育」の考え方に出会い、倉持さんは、人のどんな挑戦もやさしい目で見守り、支援できる社会を作りたいと思うようになりました。同じく障がいを持つ子の親同士が子や社会に対する熱い気持ちを語り合う場の中で、「この親たちが個々の技術や経験も持ち寄れば社会を変えられる」と思い始めました。そして、発達障がいの方の平均月給が15,000円(注)である現状を知り、子ども達が様々なことに挑戦できる居場所作りのため、ビジネスコンテストに応募しました。鶴岡さんとは、このビジネスコンテストで出会いました。ビジネスコンテストで提案した農園を箱根ヶ崎で実践しましたが、都心からのアクセスが悪く、人集めも難しく、台風被害もあったため、農園は撤収することになりました。倉持さんはここから、コミュニティ作りが先だということを学びました。次の試みを考えていた頃、倉持さんの父が地域の情報発信基地にしたいという思いで開いた実家カフェの20周年記念コンサートが開催されました。会場は満席、カフェを通じて400人以上のコミュニティができていました。さらに、コーヒーに関する1つの動画に出会います。対日批判が強まっていた時期、韓国で日本人がフリーコーヒーをふるまったら、個々の韓国人と向き合えたという内容でした。そこからコーヒーを通じたコミュニティ作りを思い立ち、早速倉持さんは手焼き焙煎講座を受講、あるシェアキッチンで土曜日だけのカフェを始めました。そこへ鶴岡さんとの空き家活用の話が持ち上がり、あらゆる人の挑戦を応援するシェアスペースを作ろうというオナガハウスの構想が固まりました。2回に渡り、N’estの鶴岡さん、倉持さんがオナガハウスに取り組まれるまでの経緯を掲載させていただきましたが、いかがでしたか? このオナガハウスプロジェクトが、これまでのお二人の人生の様々な出来事や思いを繋ぎ、形にしたものであることが少しでもお伝えできましたら幸いです。次回は、オナガハウスが目指す空間、N’estから社会へ発信したいメッセージをご紹介します。(注) 厚生労働省によると、令和2年度の就労継続支援B型事業所(障がいや難病を持つ方のうち、雇用契約なしで軽作業などの就労訓練を行うことができる福祉サービス)の平均工賃は月額15,776円となっています(厚生労働省 2020年)。