一杯やりたくなるような話です。
暖か過ぎる。
五年前の最低気温は氷点下25度であったのに、昨夜は……氷点下7度。そして僕がここに入る前の一昨日には、満ち潮と重なって数棟が床上浸水するほどの、大雨が降っていた。
それらの影響だろう、別寒辺牛(べカンベウシ)川はまったく凍っておらず、トウトウと水が流れている。川岸の湿地帯には水と雪が溜まり、深いシャーベット状で、川面に近づくことすらできない(だから写真も取れない)。川が全く凍結していないという事は、どれだけ回り道をしてみたところで別寒辺牛川本流に流れ込んでいる支流を歩いて横断することはできず、湿原縦断は完全に断念せざるを得ない……という結論です。
しかしこれもまた、地球の温暖化の観察というあらかじめ設定した目的を達成しているので、進めずとも意義はあり。
でもまあ残念だね。
地熱発電あるでしょ、と思うよ。客観的に。日本はその技術を輸出するぐらい持っているし、その熱資源も世界有数。ちょっと気合い入れりゃ、全電力に近い量は安定供給できるのでは。政治的問題だけだよ、ねえ、と思うがね。
丹頂鶴が、コウッッコウッッ、と一日中鳴いている。
氷のバキンバキンとう鋭い音がいたる所から絶え間なく届き、お前は湿原という空間の中に寝泊まりしているのだと語りかけてくる。