2017/09/02 22:07


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釣ったサカナをおすそわけしたとき、
「あたらしいから、おいしかったわ〜」とか
「やっぱり売ってるサカナと全然ちがうわ」
とよく言われるのですが、じつは、あまりほめられた気がしません。

これは、トツカアジ名人のまーくんから教わったのですが、
「釣ってからの処理」が売っているさかなとまったく違うからです。

まず、まーくんの場合は釣り上げたトツカアジをまったく素手でさわりません。

▲市販の「ハリ外し」を使っていますが、このときも素手で魚体にはふれません

 

人間の手でさわったアジはイケスに入れておいても、すぐに弱るか死んでしまうからです。
アジが「ヤケド」するのです。手でさわると、仮りに次の日まで生かしておいても、
アジのカラダに手でさわったあとが浮き出てくるそうです。

そうして神経質にあつかったうえで、帰り際に活けじめ(血抜き)をします。
エラのあたりから、脊髄(?)に包丁やナイフを刺して海水の入ったバケツに数分漬けます。
すると、その傷からアジの血が抜けます。これがふたつめのポイント。


▲写真のさかなはハマチですが、アジのときも同様に「血抜き」します

 

「血」「内臓」「エラ」は、さかなが劣化する要素です。あとは温度。
クーラーボックスに氷をいれるのですが、直接氷が魚体にふれないように
海水をいれてから、血抜きしたさかなをいれます。
まーくんの場合、この状態で家に帰るまでに、ご近所さんにおすそわけしてまわります。

ちなみに、売っているさかなのほとんどは
「網で獲るので、船にあげるときにはすでに死んでいる」場合も多く
また、大量に獲るので「いちいち血抜きせずに氷で締める」など、まったく処理がちがいます。

だから、「あたらしいからおいしい」で済まされると、けっこう残念な気がするし
「売ってるのとちがう」のはあたりまえだと言いたくもなるのです……言わないけど。

血抜きしてなかったり、素手でさわったり、
直接氷にあたって「氷焼けした」アジやサバに関してまーくんは

「そんなん、人にようあげらんわ」
「それやったら、人にあげらんと、ワシが自分で炊いて食う」

──無料で、好意で、ご近所さんにおすそわけしてるのだから、
きっと誰も文句なんて言わないし、サカナのプロじゃないから
「素手でさわったかどうか」なんてたぶんわかりません。

でも、この「人にあげるのに、ヘタなものは出せない」という姿勢は感動です。

職業漁師だったりサカナの販売業だったりすれば
「この金額ではあわない」「手間をかけた分、金額をあげなきゃならない」など、
損得勘定がはいり込むのでしょうが、
まーくんのサカナには「気持ち」がはいっているのです。

おいしいのにはやっぱりワケがあるのです。