小話第22話「風馬(ルンタ)」
1985年に中国で家族旅行をしていた時のことです。
四川省からバスを利用して、陸路でチベットへ向かいます。四川省はチベット族の人が多くいます。
バスが山間の頂上付近を通過すると、乗客は、みなカラフルな紙を手に取り、車窓からお祈りの言葉とともに、バスの窓から撒きます。
そして、山頂付近(4900m)では撒かれている紙と同色の旗、風馬、がはためいています。
風馬とは、5色で五大 (天・風・火・水・地、 )を表す旗で、チベットのシンボル的な存在です。
現地では、ルンタとかタルチョーと、呼ばれています。
このルンタは、高いところには神様がいると信じられているチベットではよく見られます。
寺院にも必ずルンタがなびいています。
5歳だった私には、「夢の中にいるのかも。」と錯覚するほどに日本の風景とかけ離れていて、今でもたびたび思い出す光景です。
当時、海外旅行者が、中国からチベットに入る方法は、四川省から空路で「ラサ」に渡る方法しかありませんでした。(許されていなかった)なので、当然、陸路では、チベットのラサまでは行くことはできず、途中、私達家族は、四川省へ引き返すことになります。
当時の中国は、海外の人へは開放できない場所が多く存在していました。本当の秘境ですよね。
今もありそうですよね・・・・・
ルンタがはためいていた高山で、ものごころつく前に、チベット宗教を体験できたこの思い出が、今の「宝物」になっています。
あなたにも宝物はありますか?
それはどんな宝物ですか?
SEE YOU TOMORROW☆