新型コロナウイルスが流行する中、多くの人が外出をひかえるようになり、フィットネスジムに行けなくなったり、運動不足になったりしています。
休業や閉店に追い込まれるジムも後を絶たず、仕事を失うトレーナーも少なくありません。こうしたなか、フィットネスの世界で、多くの人にお世話になりながら生きてきた自分に何かできないのか。
新しい生活様式の中、より多くの人に、体を動かすことやフィットネスに親しんでもらう方法はないのか。
利用者もトレーナーもジムも、みんなが喜べる方法がないのか、とあれこれ思い悩み、考えた末に行き着いたのが、今回のアプリ開発です。
私自身、新型コロナウイルスで大きな打撃を受けました。
2018年にプライベートジムaimaFITをオープンして以来、パーソナルジムを2店舗に増やし、2020年2月にフィットネスジムaimaGYMをオープンしました。ところが、コロナの影響で、わずか2カ月後の4月に休館せざるを得なくなりました。それまで好調に業績を伸ばしてきただけに、あまりにも急な展開に打ちのめされそうになりました。
しかし、ただ打ちひしがれているだけでは何も変わるわけではありません。こうした苦境は誰しも同じで、もっとひどい目に遭っている人もたくさんいます。自分なんかまだましな方だ。
もともと楽天的で、ポジティブ思考な性格ということもあって、しばらくしたら、「ひょっとして、これは何かの転機」「逆に考えたら、チャンスにつながるかもしれない」と前向きに考えるようになりました。
そもそも、私の人生は、「変化」や「転機」、「出直し」の繰り返しでした。もともとフィットネスやトレーニングをやってきた訳ではなく、主に空間デザインを手がけるフリーランスのデザイナーとして活動しておりました。
来る日も来る日もデスクワークで、30代にさしかかるころ、運動不足が影響して腰を痛めてしまい、座って仕事をすることも困難な状況となり、心身ともにボロボロの状態になってしまいました。
それをきっかけに、マンツーマンでトレーナーが指導してくれるパーソナルジムに通い始めました。それが自分に合っていたようで、みるみるうちに腰の痛みもなくなり、身体がたくましくなりました。
すると、見た目だけではなく、気持ちにも変化が起こり、声のトーンも明るくなり、関わる人が変わり、環境までもが大きく変わりました。
身体や健康面だけではなく、トレーニングを通してたくさん気づき、学び、その素晴らしさに感動し、フィットネスの世界に深く興味を抱くようになり、しだいに自分の人生観や、人生そのものにも大きく影響するようになりました。
やがて、トレーニングを受けるだけでは飽き足らず、こうしたすばらしい世界があることを一人でも多くの人に知ってもらうために自分もトレーニングを広める側の立場になりたいと思うようになりました。
トレーニングを始めてからわずか2年後の2018年、初のジムをオープンしました。ジムは、オープン半年後に定員オーバーになるなど予想以上の人気を呼びました。ちなみに、店舗名の「aima(アイマ)」には、「合間(あいま)の時間で人生は豊かになる」という自分自身の体験にもとづく「想い」が込められています。
どれだけ忙しくても、合間の時間を有効活用する事で、本当に人生が変わります。
「ホストレ」は、近所に通えるジムがなくても、トレーニングができる、そのきっかけを作ることを目的としています。
利用者のニーズに合わせたパーソナルトレーナーが在籍し、自分に合った、自分好みのパーソナルトレーナーが見つかるフィットネスマッチングアプリとなっています。
「ホストレ」の名前は、ホスピタリティーとトレーナーを掛け合わせた造語です。
「ホスト」には、お客様をおもてなしする接待者や招待者という意味があり、パーソナルトレーナーも、単にトレーニングを教えるだけでなく、利用者に高い満足度を提供しなければならない、というメッセージも込めています。
IHRSA2018のグローバルレポートによると、日本のフィットネス人口は約3%、アメリカは約20%となっており、フィットネス業界では日本は10年遅れているといわれています。
「ホストレ」には、日本人の運動と健康に対する意識をもっと高くできれば、という思いも込めています。
最近盛んに言われているフレイル(健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態のこと)や、ロコモティブシンドローム(運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態、「ロコモ」と省略することも)の予防対策にも活用できないか、と開発を進めているところです。
そして、もう一つの思いが、パーソナルトレーナーの普及と、彼らの労働環境を良くしたい、ということです。
パーソナルトレーナーは、すばらしい職業ですが、重労働の割には比較的低賃金で、さらにコロナ禍になって仕事が減り、収入が激減している人が少なくありません。彼らには、目の前のお客様を本気で笑顔に、元気にさせる力があり、利用者の感謝の思いやことばを支えにがんばっています。
そうしたパーソナルトレーナーに仕事を創出し、ひいては、収入や労働状況を改善したいという思いも「ホストレ」には込められています。
日本のきめ細やかなおもてなし精神のトレーニングは、世界でも通用すると考えています。日本食と同じ様にホストレが世界で評価される窓口となる様に推進して行きたい。
私はフィットネス業界の経験は長くなく、アプリ開発も初めてですが、多くの人が「ホストレ」をきっかけにフィットネスに親しみ、健康で豊かな人生を送っていただけるようになることを心から願っています。