こんにちは。認定NPO法人アジア・コミュニティ・センター21(ACC21)の辻本です。
おかげさまで、開始からわずか8日で、20人の方から、目標額150万円の半分を超える77万円をご支援いただきました。ご支援・ご協力をいただき本当にありがとうございます!
今日は、「路上で暮らす若者の自立支援プロジェクト」の過去の研修生のひとり、パトリシアさんのストーリーを紹介します。私がパトリシアさんと出会ったのは2年前の夏でした。もうすぐ2歳になるという息子さんを抱きながら研修に参加し、真剣なまなざしでメモを取る姿が印象的でした。
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パトリシアさんは、ボラカイ島の出身で、6人きょうだいの一番上として育ちました。
2004年から父がマニラのホテルで料理人として単身で働くようになり、2012年にパトリシアさんきょうだいも母とともにマニラに引っ越しました。しかし、2014年には、母が一番下の妹を出産した際に亡くなってしまいました。
その後、パトリシアさんは路上で出会ったパートナーとの間に息子をもうけ、さらに去年の秋にはコロナ禍で二人目の子を出産しました。
「路上で暮らす若者の自立支援プロジェクト」に参加したのは、2019年1月からの半年間です。ACC21のパートナー団体・チャイルドホープがストリートチルドレンのために実施している「路上教育」の活動に、パトリシアさんの弟や妹が参加したことをきっかけに、プロジェクトのことを知りました。プロジェクトでは「飲食サービス」コースを修了し、その後就職も果たしました。また、プロジェクトへの参加と並行して、自宅(スラムの一室)で軽食を調理・販売する自営ビジネスも始めました。
加えて、サリサリストア(小さな雑貨店)を始め、さらにパートナーがドライバーとして収入を得られるようペディキャブ(自転車にサイドカーを付けた乗り物)を購入するため、チャイルドホープの「小規模ビジネス開発・開始支援金」で5,000ペソ(約11,000円)を借りることにしました。この支援金は、「路上で暮らす若者の自立支援プロジェクト」の一環として、プロジェクトの研修生や過去の修了生が小規模なビジネスをはじめ、収入を得られるようにと提供しているものです。
しかし資金を借りた直後にコロナでマニラが封鎖されたため、パトリシアさんとパートナーの計画は大きな影響を受け、失業もしました。それでも6月に外出・移動制限が緩和されるとお店を再開し、借りた資金は去年の6月末までに完済しました。
現在は幼い子どもたちの子育てと仕事を両立させるため、就職先を探すのをやめ、軽食の調理・販売やサリサリストア、パートナーのドライバー業に集中して、生計を立てていこうと考えています。
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2年前にパトリシアさんの部屋を伺った時、こんな話を聞かせてくれました。
「このプロジェクトに参加する前、それまで同居していた父親と大きな喧嘩をして家を出ることになりました。研修の間はお金を払って子どもを預かってもらうはずでしたが、家を借りたので子どもを預けるお金がなくなってしまって。どうしたらいいのかわからず、研修担当のスタッフに泣いて相談したんです。子どもを連れて研修に出てもいいと言ってもらえたのでとても助かりました。近所にも『お金はいらないから預かるよ』と言ってくれた人がいて、とてもありがたかったです」
この話を聞いて、そんな経緯が真剣な参加姿勢につながったのだと思いました。
研修期間中も、学んだスキルを活かして自宅で軽食販売をはじめるなど意欲的に取り組みました。コロナ禍で2人の子どもを育てながら生計を立てていくことは大変なことですが、これからもプロジェクトでの学びを活かし、その前向きな姿勢で頑張ってほしいと心から願っています。
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パトリシアさんのような若者たちに、自立のための支援を届けられるように、引き続き応援よろしくお願いします!