2017/11/26 17:52

「そんなもの、いらん!温かいメシを持って来てくれ!!

忘れもしない、3.11。約2ヶ月後の2011年5月、いてもたってもいられなくて、私は気仙沼市に降り立っていました。

多くの命が帰らぬものとなってしまった中、自分は命を繋ぐ“命のアサガオ”の種を持てるだけ、握りしめていました。何か出来る事はないか。自分なりに考えた結論でした。

命のアサガオは新潟県胎内市で、小1で白血病で天に召された少年、コウちゃんが丹精込めて育てたものです。コウちゃんが無念な事に天に召された秋の日、庭に一輪の季節外れのアサガオが、その命を受け継ぐかのように開いていました。

母親のまみこさんは、その種を全国に広めながら、命の尊さを語り続けています。自らも乳がんを克服しながら。

そんな思いが込められた種を、当時、深い悲しみに暮れる東北の地に届けようとしました。が、冒頭のように、50代くらいでしょうか、疲れた様子の男性に言い放たれてしまいました。

何箇所も避難所を回りましたが、確かにそれぞれに菓子パン、コンビニおにぎり、カップ麺の山は出来ていました。しかし、長蛇の列が出来ていたのは、温かい豚汁(の、ような汁物)の、大きな鍋でした。

「ああ、こんな時こそ、手作りの温かいごはんが食べたいのだよなぁ」と、漠然とその風景を眺めて、何も出来ない無力な自分が情けなくて、情けなくて。

今回、一緒にプロジェクトで、とお声かけいただいた時に、真っ先にあの日のシーンを思い出しました。こんな素敵な本があれば、あのシーンの悲しみや苦しみは、きっと緩和されるに違いない。

そして、皆様のお陰で、今回、クラウドファウンディングは見事に成立し、本プロジェクトはスタートラインに着くことが出来ました。本当にありがとうございました。

一人では何も出来なくでも、一人一人が力を合わせれば、こんな素晴らしい仕事が出来る事になるのだと。そして、仲間たちの熱い熱い思いに何度も目頭が熱くなりました。

まだまだこれからになりますが、必ずや一家に一冊必携の素晴らしい本が出来上がると信じています。取材、ライティングと言う形で、出来る限りのお手伝いをさせていただきたいと考えております。

苦しい時にこそ、温かくほっこり出来る料理を。皆の願いを込めて、素敵なレシピ本が出来上がると信じています。

皆様への感謝の気持ちを形に。

笑顔を生み出す炊き出し本を、チーム一丸となって作っていきたいと思います。

※写真は被災地の仮設住宅で花開いた命のアサガオです。