2021/09/07 12:12

日本聴導犬協会の運営費の98~100%は、みなさまからのご寄付で支えられています。かよちゃんのような保護犬を聴導犬に育て、その才能をいかし、その生涯をハッピーにできることも、みなさまからのお力添えの賜物です。

■「焼却炉のそばの箱に入れられてたの」

もう20年前、小学生の女の子が子犬をふたり、子犬を連れて日本聴導犬協会に来てくれました。

「捨てられた犬でも、聴導犬になれるって聞きました。この子、なりませんか?学校の帰りに、見つけたんです」

子犬を見つけたいきさつを、有馬が聞きました。小学校からの帰り道で、ふたりの女の子は、かぼそく、小さななき声を聞きました。

「何か、聞こえた?」

ランドセルの背負いベルトを胸のところでギュっとつかんで、ふたりは半信半疑で、なき声をたどっていきました。いきついたのは、小さな箱。

その箱は焼却炉のそぐそばに、他のゴミと一緒に置かれていたので、もしも、子犬たちが声を出さず、もしも女の子たちにも気づかなかったら、そのまま焼かれていたのかもしれません。

「良く、助けてくれたね。えらいね。ありがとう。聴導犬になれるかどうかのテストがあるので、この子にそのテストをしてもいい? 一緒に、見てる?」

聞くと、二人はちょっと心配そうにうなづき、小さな家屋に入ってきました。子犬も何の躊躇もなく、ふたりと共に部屋に入ってきました。女の子の後ろに、中年の女性が見えました。

「お母さんですか? どうぞ、どうぞ」 

お母さんとふたりの女の子は、飯田市という日本聴導犬協会のある宮田村から車で1時間くらいのところから来てくれました。

子犬は、まだ生後2ヵ月もいっていない赤ちゃんでした。怖がらせないように、スタッフは体を小さくかがめて、ニコニコして赤ちゃん犬に話しかけました。

子犬は、怖がる風もなく、スタッフのまゆみさんが持っているご褒美がほしくてトボトボと近づきました。他の人を怖がらないのは、第1次テスト合格です。

そのあと、聴導犬のアセスメントとして、①仰向けに抱っこ ②オモチャでの遊び ③オモチャを取り上げた時の反応など、英国聴導犬協会での44項目のアセスメントを、会長の有馬が18項目のレーダーグラフにしたアセス表で査定していきました。

時間は15分くらい。子犬の集中力の時間と、疲れさせないようにするために、短時間でのチェックです。。

心配そうに、子犬とスタッフを見ている3人に向かって、子犬を抱っこしたまゆみさんが

「良い子さんですね。聴導犬の候補として協会にもらえますか?」

女の子たちは嬉しそうに「わぁ」と声を上げたのですが、お母さんの佳代子さんから

「お別れのために、数日あずかかよちゃんが

宮田村に来る車の中で決めていたことだそうです。もし、聴導犬の候補犬となったら、お別れのために数日間だけ預かって、それから協会にお渡ししようね。と、

「もちろんです。ごはんもタップリもらっているし、元気そうなので、このノミ・ダニ除けだけ、背中にポトポトっと落としておいてね」

フロントラインというスポット式のノミ・ダニ除けをお願いしました。

その愛らしいモフモフ犬は、お母さんの佳代子さんの名前をいただいて「かよちゃん」と名づけられました。

小さくてモフモフした女の子。なんだか、日本聴導犬協会の未来が明るいよって、言われているような気がしました。

訓練も上手で、頭が良く、吠えないかよちゃんは、社会化のために飯田市から東京のソーシャライザーの矢野さん宅に移ったんだ。

矢野さんは初めて犬と生活したんだけど、かよちゃんがかわいくて、かわいくて。まるで恋人同士みたいだった。

そして、かよちゃんは、半年後に千葉のユーザーさんの聴導犬になりました。

焼却炉のそばに捨てられていたかよちゃんが訓練を経て、立派な聴導犬として成長し、耳が不自由なユーザーさんをサポートしたのです。

かよちゃんのような聴導犬、また介助犬を育て続けられるように、応援をお願いいたします。


【終了の9月17日(金)まで残り11日】

目標金額:7,500,000円

達成金額:6,521,113 円

達成まであと:978,887円