こんにちは、サクライです。
まだまだこれから夏本番という中、日に日にアクセスやお気に入りの数が増えていき、ありがたい限りです!
今回HARVEST LABELさんとのコラボレーションのお話をいただいたタイミングと、松本PARCOさんでのポップアップエキシビジョンの機会をいただいたタイミングが合致していたのもあり、PARCOさんが運営するBOOSTERにて限定販売という形で発表した半纏&巾着。
今日はその全てのキッカケとなった、リサイクルウールのダブルフェイスメルトンウールとの出会い、そして再生羊毛「毛七」について。
今回も少々長くなりますが、是非ともお付き合いいただければと思います。
半纏をオシャレ着に
co:doのブランド立ち上げと同時に第一弾企画として動き出したのが「半纏」でした。
性別の差や年齢の差など、様々な垣根を超えて色々な人が家族や大切な人と共有する服としてのイメージが、古くから防寒着として着用されてきた半纏と結びつき、よそ行きとしてのアウターとして昇華させるべく開発に着手しました。
素材選びからシルエットの調整など細部にわたり妥協せずにこだわりを注ぎ込み、まるで玄関のツッカケのように様々なコーディネートと馴染むアウターとして再構築した「半纏 (Japanese short coat)」。
人間の身体に合わせたパターンと縫製、そして中綿ではなくダブルフェイスメルトンウールを採用することで、防寒性を保ちつつ、綿入り半纏特有の野暮ったさを解消することに成功しました。
毛七生地のダブルフェイスメルトンウール
私たちco:doが尾州で生産されているこの生地を選んだ理由は、弾力性に富んだ柔らかさとしっかりとした厚みを持っている生地自体が持つ魅力はもちろんのこと、「毛七」という昔から受け継がれる取り組みに心を惹かれたことも大きな理由でした。
不要になってしまった衣料品、縫製工場の裁断時に生じるハギレや余り布、糸を撚ったり生地を織ったりするときに出てしまう繊維くずなどを原料に、専用の反毛機械を用いてワタ状にし、再び新たな繊維として蘇らせる「毛七」。
エシカルやサスティナブルという概念が広まるずっと以前から、日本を代表する毛織物産地・尾州には羊毛再生(リサイクルウール)の文化があったのです。
尾州地域の中で、原料の仕分け▶︎反毛(繊維のリサイクル)▶︎製織の全ての工程を経験豊かな職人たちがリレー形式で生産を行っている様子を、取材させていただきました。
原料の仕分け
日本全国から回収される不要になった衣料品や縫製工場のハギレや繊維クズなどが、尾州の仕分け工場へと集められています。
それらをまずは人の目でしっかりと判断して、色ごとに分別していきます。
(原料がそれぞれ持つ色合いを生かして、染色を行わないのが毛七の特徴。これによって染色工程の際に起こる環境負荷の心配もありません。)
こうして色分けされた衣料品にはブランドネームや洗濯絵表示が、そしてカーディガンや羽織ものにはそれにプラスして、ボタンやジッパーなどの付属品が付いています。
それらを一点一点、こちらも人の手によって丁寧に取り外していきます。
このようなひと手間が、リサイクルウールとは思えない生地の品質に繋がっているのです。
反毛(繊維のリサイクル)
こうして色ごとにしっかりと分別され、不純物が取り除かれた原料が、同じく尾州の反毛工場へと運ばれます。
仕分けされた衣類は裁断機にかけられ、ホッパーやガーネットという反毛機械により、 ワタ状で非常に細かい繊維となり、生地の原料として生まれ変わります。
流れるように各工程を経ていくことで、順を追うごとにフワフワ感を増していく原料たち。
(気温の変化や毛の種類によって、機械の回転速度などを変えているそうです。)
こうして出来上がったワタ状の再生羊毛の原料たち。
これが糸となり、生地として織り上げられていくのです。
製織
尾州のカレントの新見本工場に隣接する令和毛織さんにて、ワタ状だった原料は紡がれた糸となり、生地として織り上げられていきます。
そして織機にセットするためのビームと呼ばれる大きな糸巻きに、織る生地の内容に合わせて、綺麗に引き揃えて配列を組んだ糸を巻き取ります。
半纏用に依頼した生地は、単色無地のダブルフェイスのメルトンウールです。
2枚の生地を繋ぎ合わせる糸は、糸を見分けることができるようにするため白い糸を使います。
黒8本、白1本、黒8本、白1本を繰り返し配列することで、写真のような姿になります。
織機の写真奥の方の部分、ドロッパ、ヘルド、リードというパーツに一本一本手作業で糸を通していくのですが、その本数は全部合わせて3,996本という果てしない数。
織りながら、端の耳部分が切り取られていくのがレピア織機で織られた生地の特徴。
手間ひま込めて、低速でゆっくりと高密度に織り上げることで、しっかりとしたコシとふっくらとした質感の生地が生まれるのです。
そして最後に織り上がった生地を縮絨して、起毛加工を施すことで、弾力のある毛七のダブルフェイスメルトンウールが完成。
こうして様々な工程を経て、co:doの半纏(Japanese short coat)の生地は作られているのです。
旧式織機を使うことで生まれる豊かな風合いと、長年にわたり培われてきた反毛技術が合わさった唯一無二の「毛七」生地。
イギリスのハダースフィールド、イタリアのビエラと並び世界中のメーカーやブランドから注目される産地・尾州には、誇るべき日本のモノづくりの姿がありました。
この生地の素晴らしさを、是非実際に袖を通して実感いただきたいです。
毛七
https://www.keshichi-138.jp/
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