2012/12/05 18:08
カタルタをはじめるときには、必ず話し始めの一文が必要になります。一文でなくとも自己紹介やプレゼンのように複数の文章の場合もありますが、とにかくストーリーの始まりがなくてはなりません。
カタルタのワークショップをやるときには、お題カードを使ったり、本をめくったり、予め決めておいた一文をプロジェクターで映したりします。
その一文がお題となって、即興の語りやストーリージャムセッションが始まります。恋愛話でも経済学の話でもなんであってもよいわけです。しかし、一文の選び方によって、盛り上がり方が変わって来るのは確か。参加人数や、カードの使い方、目的によってもお題の設定のコツが変化します。
そこで、今把握しているお題の一文を考えるポイントをまとめてみました。
A 短いとテンポがよくなる。
後からストーリーを振り返りやすいことは重要です。話の流れを確認するときに、わざわざ要約する手間が要りません。また、文脈理解力を必要としない方が、より多くの人と楽しめます。
B “あるある”があると話しやすい。
最初から共感でスタートを切れるので、語り合う雰囲気ができます。特に初対面同士である場合、「仲間な気がする」だけで、ストーリーが順調に幕開けし、その後の盛り上がりへとスムーズに展開できる可能性が高くなります。
C よく知られた一文はストレスが小さい。
元々知っている一文だと理解の手間が省けるので、語り手を選ばず、テーマをよく知らないことによって恥をかく場面をいたずらに作りません。また、よく知っている一文の続きを考えたことなどあまりないため、その体験自体が新鮮な印象を与えます。
D 固有名詞より一般名詞の方が人を選ばない。
一般名詞を含む一文のほうが誰もが語れて、いろんな方向に展開する可能性を持っています。複数人でストーリーを作る際に、違った視点を持ち寄る起点とするのによいです。話を具体化するワードが出ないまま規定の枚数を終えると、退屈な抽象論になってしまう可能性があるので、その際は枚数を追加して具体化ワードが出る確率を高めるなどするとよいかもしれません。
E 固有名詞が混ざるとルール次第で面白さが増す。
お題に含まれた固有名詞を知らない参加者がいたとしても、知ったかぶりや嘘OKのルールにして、知っているのか知らないのかを伏せたままストーリー作りを進めることで、心理戦が生まれたり、答え合わせの会話がはずんだりします。
F ユーモアがあると話がはずむ。
ユーモアが参加者をなごませ、語りを大胆にさせるので、本音を話しやすい雰囲気を作るでしょう。ただ、いくら一文が面白くても、完結型のユーモアで、次の話が作りにくい場合は本末転倒です。カタルタ遊びのメインのコンテンツが、会話の内容や参加者のリアクションだからです。
G 主語に注目する。
一文の主語が誰であるかは、ストーリーを作っていくルールに影響します。その場でお題を考えたり、ルールをアレンジするときにこの意識が大事になってきます。
主語の使われ方には、以下のようなパターンがあります。
・予めお題に主語が書かれており、複数人でその人間を演じるパターン。
・誰が語り手であるかが後から作り上げられるパターン。
・主語が登場せず(もしくは主語が複数の語り手のまま)、対話形式で話が進むパターン。
・モノローグ型。
・複数の主語が入れ替わるパターン。
・架空の語り手。著者の視点。目撃者の視点。
H ルールによってお題の使いやすさは変わる。
自分語りの場合、採用するルールや用途によってはお題が限定されます。
たとえば、みんなで代わりばんこに語ってストーリーを作るようなルールを採用した際、個人的な意見や感想はお題として注意が必要です。
単純な話で、共感できない話・よく知らない話を自分の話として語ることになるからです。このため、研修や面接のように、現実的なつながりに関して忠実に話さなければならない場合には、お題の設定に注意が必要になります。
これをクリアする方法として、以下のような方法が挙げられます。
・一般論にする。
・単なる事実にとどめる。
・参加者の共通意見を採用。
ただし、アイスブレイク用途や余興的な用途の場合は、事情は別です。内面を深く掘り下げるわけでもなく、ストーリー展開を遊ぶような場合がそう。「嘘自己紹介」「なりきり自己紹介」「初対面なのに他己紹介」といった応用的な使い方をするときには、想像で補ってでもとにかく話を展開させることや、ストーリー作り自体を楽しむことが優先されるので、極私的な意見・感想だったとしても、上記に囚われる必要はありません。
誰と何を話すのか。ゲームのルールを考えているようで、対話やコミュニケーションについて考えている。それがこの考え事の面白さです。
みなさんも持論やアイデアがあれば、ぜひお聞かせください!
今後また追加・更新して、より効果的なまとめを作りたいと思っています。
メドラボ・福元
カタルタのワークショップをやるときには、お題カードを使ったり、本をめくったり、予め決めておいた一文をプロジェクターで映したりします。
その一文がお題となって、即興の語りやストーリージャムセッションが始まります。恋愛話でも経済学の話でもなんであってもよいわけです。しかし、一文の選び方によって、盛り上がり方が変わって来るのは確か。参加人数や、カードの使い方、目的によってもお題の設定のコツが変化します。
そこで、今把握しているお題の一文を考えるポイントをまとめてみました。
A 短いとテンポがよくなる。
後からストーリーを振り返りやすいことは重要です。話の流れを確認するときに、わざわざ要約する手間が要りません。また、文脈理解力を必要としない方が、より多くの人と楽しめます。
B “あるある”があると話しやすい。
最初から共感でスタートを切れるので、語り合う雰囲気ができます。特に初対面同士である場合、「仲間な気がする」だけで、ストーリーが順調に幕開けし、その後の盛り上がりへとスムーズに展開できる可能性が高くなります。
C よく知られた一文はストレスが小さい。
元々知っている一文だと理解の手間が省けるので、語り手を選ばず、テーマをよく知らないことによって恥をかく場面をいたずらに作りません。また、よく知っている一文の続きを考えたことなどあまりないため、その体験自体が新鮮な印象を与えます。
D 固有名詞より一般名詞の方が人を選ばない。
一般名詞を含む一文のほうが誰もが語れて、いろんな方向に展開する可能性を持っています。複数人でストーリーを作る際に、違った視点を持ち寄る起点とするのによいです。話を具体化するワードが出ないまま規定の枚数を終えると、退屈な抽象論になってしまう可能性があるので、その際は枚数を追加して具体化ワードが出る確率を高めるなどするとよいかもしれません。
E 固有名詞が混ざるとルール次第で面白さが増す。
お題に含まれた固有名詞を知らない参加者がいたとしても、知ったかぶりや嘘OKのルールにして、知っているのか知らないのかを伏せたままストーリー作りを進めることで、心理戦が生まれたり、答え合わせの会話がはずんだりします。
F ユーモアがあると話がはずむ。
ユーモアが参加者をなごませ、語りを大胆にさせるので、本音を話しやすい雰囲気を作るでしょう。ただ、いくら一文が面白くても、完結型のユーモアで、次の話が作りにくい場合は本末転倒です。カタルタ遊びのメインのコンテンツが、会話の内容や参加者のリアクションだからです。
G 主語に注目する。
一文の主語が誰であるかは、ストーリーを作っていくルールに影響します。その場でお題を考えたり、ルールをアレンジするときにこの意識が大事になってきます。
主語の使われ方には、以下のようなパターンがあります。
・予めお題に主語が書かれており、複数人でその人間を演じるパターン。
・誰が語り手であるかが後から作り上げられるパターン。
・主語が登場せず(もしくは主語が複数の語り手のまま)、対話形式で話が進むパターン。
・モノローグ型。
・複数の主語が入れ替わるパターン。
・架空の語り手。著者の視点。目撃者の視点。
H ルールによってお題の使いやすさは変わる。
自分語りの場合、採用するルールや用途によってはお題が限定されます。
たとえば、みんなで代わりばんこに語ってストーリーを作るようなルールを採用した際、個人的な意見や感想はお題として注意が必要です。
単純な話で、共感できない話・よく知らない話を自分の話として語ることになるからです。このため、研修や面接のように、現実的なつながりに関して忠実に話さなければならない場合には、お題の設定に注意が必要になります。
これをクリアする方法として、以下のような方法が挙げられます。
・一般論にする。
・単なる事実にとどめる。
・参加者の共通意見を採用。
ただし、アイスブレイク用途や余興的な用途の場合は、事情は別です。内面を深く掘り下げるわけでもなく、ストーリー展開を遊ぶような場合がそう。「嘘自己紹介」「なりきり自己紹介」「初対面なのに他己紹介」といった応用的な使い方をするときには、想像で補ってでもとにかく話を展開させることや、ストーリー作り自体を楽しむことが優先されるので、極私的な意見・感想だったとしても、上記に囚われる必要はありません。
誰と何を話すのか。ゲームのルールを考えているようで、対話やコミュニケーションについて考えている。それがこの考え事の面白さです。
みなさんも持論やアイデアがあれば、ぜひお聞かせください!
今後また追加・更新して、より効果的なまとめを作りたいと思っています。
メドラボ・福元