参加型アートプロジェクト「WE ARE PIRATES WHO STEAL YOUR HEART.プロジェクト」の根本的な趣旨は、人々の繋がりの形をアーカイブすることでした。
「海賊になる!」とか言って、海賊船を本気で作っていこうとする。子供のような自由奔放で無邪気な動機で制作を始めようとする。しかし、その挑戦には、場所が必要だし資材も必要で、協力なしにはなし得ない。
幼い頃の出来事を思い出しました。
小学2年生くらいの夏休み、少年たちは、秘密基地を探しに出かけました。それで、なんとかして見つけた場所は、近所のおっちゃんの庭でした。おっちゃんは、「ほんだら、ここを秘密基地にせえ」って笑いながら言ってくれました。段ボールをとってきてくれて、そこで少年たちは小さな基地を作りました。時々、ジュースをくれました。
子供だからできたことで、そんな自由奔放な遊びに付き合ってくれるおっちゃんを思い出しています。
「馬鹿げている。」「意味がない。」で終われば、確かに大学3年の夏に何をやってるんだって思うし、
それでも、「やってみな。」って笑いながらサポートしてくれる人がいたりするから、じゃあ壮大に遊んでやるわ!ってなる。
海賊船を作るってことに、全力で向き合ってくれる人たち。「面白いなあ、それ。暑い中よーやるわあ。」とか言いながら、「木材あるんやけどもってくか?」って資材を提供してくれる。
「うわーーーここあっつ。熱風やなあ。もう帰るわ。」とか言いながら、アイスとかジュースとかクールスプレーとかを置いて行ってくれる。
朝釣りに来たおっちゃんは、「何しよんえー。まあ、がんばりやー、時々見にくるわ。」とか言いながら去っていく。
車の中から、じーーっと中をのぞく人。「ちょっと中覗いでもいいですか?」ってお母さんが申し訳なさそうにする後ろで、「見たい見たい!!!」ってはしゃぐ小さな少年。
毎日のように造船所にくる元気な小学生兄弟。
確かに、ここでコミュニケーションは生まれていて、人が集う場所になってきている。海賊船も当初計画していた以上に、大きな立派なものになっている。これが、このまちの人々の繋がりのカタチだろう。
そんなことを思いながら、滝のように出てくる汗を拭いながら作業を進めている。