人も自然も豊かな国、カンボジア。
現在、私はコンポンスプー州(カンボジア)にいます。
いつも頭にあること。
それは”貧困から抜け出したい人々”に対し、農業というビジネスを通して自分に何ができるか、ということです。
「カンボジア」「貧困」「児童労働」「自立」「農業」「BOPビジネス」。
私自身、核としているこれらのワード。
”所得改善”に向け、自らの足で立ち、前へ進もうとする方々と共に手を取り歩むべく、心温かい8名のカンボジア人メンバーと農業を営んでおります。
熱帯気候で日本の様な四季はありませんが、1年で乾季と雨季が交互にやってくるカンボジアです。
乾季は水不足や高温、雨季は多雨により決して農業に最適な環境とは言い難い上、日本の常識や感覚といったものがほとんど通用しないカンボジアの方々との農業。
実に「一難去ってまた一難」といった具合で、試行錯誤の日々を駆け抜けております。
@農園にて、オクラと私です。
きっかけは...
今日に辿り着いたのは大学時代の何気ない経験がきっかけでした。
自分の知っている世界を広げたい、とカンボジアでのNPO法人の活動に参加し、初めて現地へ足を踏み入れたのですが、そこには活気だけでなく「豊かさ」があるように感じました。
勿論、日本に比べるとまだまだ経済的に豊かとは言えません。しかしながら、経済的なものでなくとも、精神的な豊かさに満ちた国という当時抱いた感覚は今も変わりません。当時「人」に惹かれ、今も「人」に惹かれています。
プノンペンやシェムリアップ等、都市部、近郊の農村を訪れる中でたくさんのカンボジアの人々に出会いました。
マーケットで果物を販売するおばちゃん、小学校に通う子ども達、牛を引くおっちゃん。皆すごく良い笑顔、表情でした。こちらも自然と笑顔になれるような、周囲に伝染するような、実にキラキラした笑顔だと感じたのを憶えています。
@当時、市場にて野菜を売るおばちゃんです。
一方で、都市部を中心に多くの働く子ども達にも出会うことにもなりました。
交通整理、路上での果物販売、遺跡案内、物乞い等、子ども達は生きるために全力でした。
特に移動中のバスストップで、大勢の子ども達がバナナやマンゴー等を入れたビニール袋を手に提げ、私の周りに群がった際の「お願いだから買って欲しい」と言わんばかりの必死な表情は忘れもしません。
このような体験を経て当時、日本へ帰国する頃にはカンボジアの人々に大きな魅力を感じ、カンボジアという国に惹かれたと共に、一つのわだかまりを感じました。
同じ小学生でも学校に通い、無邪気に楽しく日々を過ごせる子がいる反面、今日明日を生きるために子どもながら仕事をし、義務教育を受けることができない子もいる。
本当にこれで良いのか、この格差はどうにもできないのか、様々なことを思いながらの帰国となりました。
@当時、小学校にて活動中の私です。
将来はカンボジアで国際協力!
大学生であった私がこの時感じたのは、将来的にカンボジアにて自分にできる形で国際協力をしながら生きていきたい、ということでした。
そうは言っても当時はまだ思いが先行してばかりで、具体的な国際協力の形等は描けておらず何か糸口はないかと、貧困問題や児童労働について研究しながらもがく日々。
その中で私が気付いたことは、児童労働と貧困の関係性、貧困問題と農業の密接な結び付きでした。
また、貧困等、世界における諸々の社会問題に対するアプローチについても、寄付、募金、ボランティア活動はじめ多岐に亘りますが、それぞれの過去の実例を知っていく中で貧困から抜け出すためには、当該問題を抱える人々が主体的に貧困の原因や解決に向けた方法を考え行動すること、持続可能な形でより大きなインパクトを生み出せる方法を選ぶこと、が重要だと考えるようになりました。
@当時、小学校にて。
いざカンボジアへ。
カンボジアで農業×国際協力をすべく、まずは日本農業や農家さんに触れながら社会人経験をする中でビジネスを知り感覚を養いたいと思い、農業資材販売会社へ就職しました。
その後、慣行農業だけでなく現場としての有機農業も学んでおきたいと考え、農業法人にて経験を積み今日に至ります。
現在、私は(株)ジャパン・ファームプロダクツの自社農園であるJFP農園にて、現地メンバー8名と農業をしております。
@農園にて、現地メンバーと契約農家さんです。
こんなことに取り組んでいます
熱帯気候で一年中気温が高く、半年毎に乾季と雨季が訪れるこの国で周年、オクラや、ミニナス、大葉、ゴーヤ、ささげ、グリーンチリ、きゅうり等、約20品目の野菜を栽培、出荷しています。
日本の農作物と同等の安心安全な作物を流通するためのバリューチェーンにて、生産から販売まで、川上から川下までサポートできる体制を採っています。
主に日系飲食店やレストラン、スーパーマーケット等に出荷、販売しております。
@農園生産のミニナスです。
また、所得向上を目的とし農園近郊の農家さんと契約関係を結び、生産頂いた野菜を弊社にて買い取り、流通に乗せる取り組みもしています。
品目にもよりますが、現地仲買人より少し高い水準にて買い取らせて頂いております。
カンボジアでは現状、作付面積全体の7割程が水稲(米)と言われ、実際、農園近郊でも大半が広大な田です。
現地でのヒアリングでは、水稲を栽培する理由として「楽だから」「収益より自家消費の食料を優先して確保したい」という答えが多いですが、中には「所得を改善したい」と野菜栽培に挑戦される農家さんもおられます。
現段階で20名程の契約農家さんにご出荷頂いておりますが、非常に意欲的な方が多く、気温の高い乾季、多雨の雨季では栽培が難しいレタスでも熱心な姿勢でご出荷して頂いています。
野菜の栽培法を知らない、農家さんにとって良い販路がない等の原因でこれまで野菜栽培をされてこなかった、小規模に自家消費分のみの栽培に留まっていた農家さんに対し、我々がさせて頂けることに今後も尽力して参ります。
@レタス出荷業務中の契約農家さんです。
私ができること
弊社農園メンバーも、皆、温かく穏やかで笑顔の素敵な方々です。
「暑い」と言いながらもいつも誰かが歌を口ずさみ、いつも賑やかに仕事をします。
辛い時でも、周囲に伝染するような笑顔、陽気な人柄で農園にいる唯一の日本人として、皆のためにできることをしたい、と日々感じ考えています。
現状、8名の農園メンバーは弊社農園での所得を得てはいるものの、カンボジア農業における生産性や安定性はまだまだ低く、彼らと共に当該課題の改善、所得向上を目指している段階です。
その実現に向け、私にできること。今、私がカンボジア農業に携わりながら思うこと。
それは「きちんと生産し、きちんと出荷、販売する」仕組みを皆でつくることです。
@契約農家さんとのミーティング中です。
実現に向け...
私が共に農業をしながら最初に見えた課題は「計画性」でした。
例えば1カ月、半年間等、先の作付計画はありません。「その日、何をするか」のみ考えます。いつ、どの野菜を、どれぐらいの量、生産し販売するといった目標収量、目標収益がなく、それに伴い、いつ種子を播くのか、苗を植えるのか、土壌づくりをするのかといった計画も存在しません。
それ故、生産量は横ばいで安定性にも欠けてしまうため、収益、所得増加の妨げとなっているよう感じました。
現在、私はこの改善に向け「作付計画」を作成し、それに基づいた生産活動ができるよう皆と取り組んでいます。雨季真っ只中の今、天候に左右されてしまうことが多く、計画を修正しながら生産に努めていますが、ゆくゆくは現地メンバーのみで計画の作成や修正、計画生産に当たってもらえるよう、まずは私がその下地をつくっていきたいと思っています。
設備老朽化
現地メンバーの意見等をヒアリングし、話し合いながら計画の作成に当たる中で感じたこと。それは「設備の老朽化」でした。
作付計画は一先ずの形にはなったものの、老朽化で使えない設備があることで計画に組み込むことのできない品目、栽培できない品目もある現状です。
計画を組むことで改善可能な部分もありますが、結果的に老朽化は生産量、安定性改善の弊害となっています。
例えば、数年前に建てたビニールハウス。
雨除けが目的で設置したのですが、強風で約半分程のビニールが飛び、それ以降、雨ざらしになっています。
この状態では、ハウスを安定生産に活用しづらく、栽培できる品目も限られてしまいます。
このような想定です!
ハウス修繕により収量、安定性の改善、所得向上に繋がります。
例えば、ロケットサラダ。ルッコラをベビーリーフとして早獲りしたもので、日本でも人気のある葉野菜です。
当農園でもロケットを栽培しておりますが、雨に弱く露地栽培はできないため、現在は屋根のある小さなハウス(約1a)でごく少量栽培しています。
ハウスが直り、雨除け栽培が可能となれば周年を通した生産量、安定性の改善が実現できます。
また、最近商品化をしたベビーリーフミックスについても、ロケットと同様の現状です。
ロケット、ベビーリーフ。栽培中の品目の中でも特に収益性が高く、現地メンバーの所得に直結する割合も大きいため、ハウス修繕が所得改善に対して持つ影響力は大きいと考えています。
これらの他にもハウス修繕を通じて、現地で需要、流通見込みのあるトマトの雨除け栽培も開始しようと考えています。
@農園生産、ベビーリーフです。
ご支援金はこういった形に変えさせて頂きます。
それ故、ご支援頂いた資金の用途につきまして、まずはハウスの修繕に充てさせて頂きたいと考えております。
他にも、
・提携農家さんへの圃場整備支援
(実際、資材を購入したいけれども投資する資金がない、購入できれば新たな品目が作れるのに、生産性を上げることができるのに、という農家さんがおられます。私共で資金を出したり、代わりに購入してお渡ししたりすることは、農家さんが援助慣れし、自ら貧困から抜け出そうとすることを妨げるため致しません。ご支援頂いた資金を農家さん達に貸し出す為の資材購入に当てさせて頂き、やる気のある農家さんがそれを使って生産性をあげられる「頼れるパートナー」になりたいと思っています。初期投資ができず、作付けの選択肢や可能性を失っていた農家さんへのアプローチを通じ、契約農家さんの安定的な生産量増加、それがもたらす所得改善を図っていきます。)
・土壌改良
(弊社農園の土壌性質は決して作物にとって最適とは言えない現状だと思っています。土壌改良資材や土の購入を考えています。有機農業は土を育てる農業だと思うので、土壌改良が生産性向上に大きく関わってきます。)
への割り当てを優先して行います。
また、割り当てさせて頂いた後の支援金につきましては、貧困という大きな問題に対し、当農園がアプローチし続けるべく、トラクター等の維持管理費、堆肥等の購入費用をはじめ、日々の農園経費として大切に使用、貯蓄させて頂きます。
@醗酵中の有機肥料です。
ただ、頂いた資金を直接、農園メンバーの給与にすることは致しません。
一時的に所得は増えますが、それでは根本にある問題の改善にはなっておらず貧困から抜け出すことに繋がらないと考えるためです。
所得を改善しようと、毎日ひたむきに土や作物と向き合う方々と共に方法を考えながら手助けをさせて頂くため、必要な投資に資金を使わせて頂きます。
冷静と情熱のあいだで
「計画性」の改善、「初期投資費用」のご支援を通じて、カンボジア農業において「きちんと生産し、きちんと出荷、販売する」仕組みをつくります。
作付計画に基づいた生産、きちんとした栽培設備により生産量、安定性を向上し、所得の改善を果たしていきたいと考えています。
そして、現メンバーの所得改善だけでなく、農園での雇用創出でより大きなインパクトを持つ国際協力の形にすることにも努めて参ります。
JFP農園が「カンボジア農業で生計を立てる」という一つのモデルとなり、貧困や都市の児童労働の改善にビジネスを通してアプローチしていきたいと思います。
あなたも国際協力の第一歩、踏み出してみませんか?
@一同、これからも励んで参ります!
リターンのご詳細
☆農園より感謝のビデオレター☆
動画にてお礼をお伝えさせて頂きます。頂いたメールアドレス宛に送付させて頂きます。
☆農園より感謝のお便り1通☆
農園メンバーによる直筆お便りにてお礼をお伝えさせて頂きます。頂いたご住所へのご発送となります。
☆農園および契約農家さん無料ご案内(1日)☆
現地にて農園、契約農家さんの圃場(畑)のご案内を無料にてさせて頂きます。
日本農業とはまた違ったカンボジアでの農業を肌で体感してみませんか?
※現地までの渡航費はご負担頂く形となります。
☆カンボジア農村体験ツアー(1日宿泊付き)(無料ご案内1日付き)☆
カンボジアで刺激的な農村生活を体験してみませんか?
上記の無料ご案内をさせて頂き、さらにVIPコースと致しまして...
農園近隣の農村にて、農家さんのご自宅にご宿泊頂けるツアーとなっております。
初めてで不安...といった方もご安心下さい!
日本語対応可能な弊社メンバーもご同行させて頂きますので、言葉の壁さえなくなってしまいます!
カンボジア農業を肌で感じながら、現地農村生活に溶け込んでみませんか?
きっと特別なご体験にして頂けることと思います。
※現地までの渡航費はご負担頂く形となります。
最新の活動報告
もっと見る御礼と現況のご報告
2017/11/02 13:13御礼 今回初挑戦の当該プロジェクトも残すところ約60日の募集期間となりました。 と同時に、あと60日程で新年迎春...時の流れが早すぎます。 プロジェクト開始以降、これが初の活動報告となりますが、 ご支援頂いている皆さま、本当にありがとうございます! 今後も目標金額を目指し、広報活動に勤しみます。 皆さまからのご声援を糧に、今日もこれからも現地メンバーとの生産活動に努めていく所存です。 良い面だけではなく”ありのまま”に綴ったプロジェクトページになっていますので、 「国際農業」「国際協力」「カンボジア」などのワードにご興味のある方々にどしどし閲覧頂き、 何かの情報源やきっかけの一つとしてご活用頂ければ、と思っています。 勿論そちらは無料です! 現況のご報告 カンボジアでは11月に入り、雨季の勢いも落ち着き始め、ようやく毎日の豪雨も減ってきました。 あくまで季節柄ですが、12月~3月頃までは、この国における農業をし易い時期になってきます。 こちらへ来て本格的な雨季と雨季における農業を経験しましたが...本当に難しいなと思います。 天候の影響を諸に受ける農業。 リスクを抱えながらも「農的な生活」ではなく、「農業」をするには、 雨季であろうが安定的に一定量を生産、出荷しなければなりません。 今回の経験を踏まえ、振り返り、次回の雨季、今後のカンボジア農業への試行錯誤を繰り返しつつ、ビジネスパートナーである現地の農家さんと手を取り歩んでいきます。 レタス栽培には非常に過酷な雨季真っ只中でも、 契約農家さんも熱心に、前向きに栽培に取り組んでくれていました。 ただやはり、土壌性質上の適地適作があるのも事実...。 当然、地域によって気候や温度帯、湿度なども異なります。 今後、季節や土地柄、土壌性質等の観点から判断をし、 各エリアでなるべく栽培をしてもらい易い品目をお願いできる体制づくり、 各農家さんにとって時期的に抱える大きな収益リスクを少しでも軽減することに繋げていきたいと考えています。 本当に...実現をしたいことはたくさんあります! 今後とも宜しくお願い致します。 平田 もっと見る
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