今回、リターンのひとつとしてご用意させていただいている、「瀬戸本業窯」とコラボして、コーヒーカップ制作を進めさせていただいています。
「瀬戸本業窯」さんとコラボさせていただく理由
「瀬戸本業窯」さんは、250年以上続く窯元です。瀬戸の土、瀬戸の釉薬を使い、創業当時から続く技法で、つくり続けています。
わたしたちが、すごいと感じている点は、8代目・水野雄介さんと会話をしているなかで、つくっているもの一つひとつに対して、質問すると、いつも即座に答えが返ってくること。
その背景には歴史があり、きちんとした理由があり、それを雄介さん自身が、常にはっきりと意識していること。そこにいつも感動しています。
今回、ご相談させていただいた内容について
今回、私たちはコラボをさせていただく上で、麦藁手のコーヒーカップをご相談させていただきました。
「麦藁手」は、麦の穂を思わせる昔ながら絵柄です。釉薬には、鉱物が風化した赤楽を使い、触ってみると、少しぼこぼことした触感があります。釉薬は自然のものなので、そのときによって、サーモンピンク、オレンジ、やや茶色っぽい色の時があり、その変化もまたおもしろいものです。
青い線は呉須で、茎がまっすぐと伸びた背丈の高いトクサという植物をモチーフに描かれているそうです。この素朴な柄は、民藝運動をおこした思想家・柳宗悦によって賞賛され、随筆家の白州正子に愛されたことで、よく知られています。
「瀬戸本業窯」さんの手仕事はすべて分業制です。麦藁手を描いている職人は、ただひとり「一級陶磁器製造技能士」の資格を持つ絵付師・中島晶子さん。
「息をとめて、描いています」と語り、すっ、すっ、と迷いなく、美しい線を描いていきます。
形について
今回、コーヒーカップの形は、民藝に大きく関わったイギリス人陶芸家のバーナード・リーチさんの最後の弟子であるウォーレン・マッケンジーさんが、約35年前に「瀬戸本業窯」へ訪れた時に、教わったものです。
その理由について、8代目・水野雄介さんはこう教えてくださいました。
「コーヒーカップは、現代のものです。瀬戸本業窯の伝統はない。民藝運動の関わりのなかで、バーナードリーチが訪れ、もたらされました。6代目・水野半次郎が、“リーチハンドル”と呼ばれる、イギリスのピッチャー(水差し)のハンドルをつける技法を直接教わり、現在も、その歴史をおもんじて作っています」
「なぜ、この形にしたかというと、麦藁手が活きる形。直線は引っ張りやすいんだけれど、ちょっとだけ曲面があった方がよくみえる。表情がさらによく引き立ちます」
こちらが試作品の第1号です! 全体が麦わらてのオーソドックスなもの(左)と模様、お願いさせていただいた取っ手が茶色のもの(右)を作っていただきました。すてきです。右の方で進めようと考えています。
応援コメントいただきました
「ますきち」は瀬戸へ訪れた人々の玄関口的存在。土を捏ねるのも、歴史に触れるのも、日常を味わうのも、瀬戸を楽しむには先ずここから始まります。コロナで状況は一変してしまいましたが、郷土への愛着を基にした姿勢は変わらず、先を見据えた場所作りと人繋ぎに奔走し続ける南夫妻には、同じ境遇にいるものとして、とても勇気づけられます。瀬戸に訪れた人々の「拠り所」になることを期待し、全力で応援させていただきます! 皆様にもご賛同いただけましたら幸いです。