新潟県の弥彦村、弥彦酒造の専務取締役を務める大井源一郎です。
酒造りの傍ら、御神酒を納めている彌彦神社(やひこじんじゃ)の氏子を務め、村の子どもたちにバスケットボールの指導をしています。
今から13年前、地元有志が集まり「農業から醸造まで。地産地消のすべて弥彦産の酒を造ろう!」という話が持ち上がりました。時は平成の大合併の真っ只中。全国で由緒ある村が消えていく、そんな頃でした。そんな揺れる想いの中で湧き上がった話は村の人々を繋ぎ、多くの困難を乗り越え、「彌彦愛國(やひこあいこく)」を誕生させました。
それから10年が過ぎ、この酒造りを村の伝統にしたいと思うのです。
地元有志の酒ではなく、村の文化として、子どもたちの時代にも引き継ぎたいのです。例えば、今年生まれた子どもたちが成人する20年後にも地元産の酒で祝えるように。ぜひご支援をよろしくお願いします。
わたしたちが生きる弥彦村は、新潟県のほぼ中央部の日本海側、霊峰弥彦山のふもとにあります。
古く神代(かみよ)の時代、天照大神(あまてらすおおみかみ)の曾孫の天香山命(あめのかごやまのみこと)が、日本海を渡り弥彦山の西に上陸され、人々に海水から塩を作る方法や、網や釣針を使った漁法を教え、その後に弥彦の地で農耕技術や酒づくりなど様々な産業の基礎を授けたと伝えられています。
人々は御神体として天香山命を祀った弥彦山を「おやひこさま」と呼び、万葉集にも歌われています。
弥彦山のふもとには越後一の宮「彌彦神社」があり、村人は四季折々いろいろな神事・祭りを務めながら日々、おやひこさまと自然の恵みに感謝し、暮らしています。
何百年にも渡り世代を超えて受け継がれる、おやひこさまと村の伝統。
その村民のこころを揺さぶれられる出来事が起こりました。それが平成の大合併です。
「弥彦村は消えてしまうのか?」
平成の大合併で全国で由緒ある村が次々と消えていく─。その現実は新潟県にも押し寄せてきました。おやひこさまと生きてきた村はどうなってしまうのか???
村の顔となる、村の誇りたる酒をつくろう
平成の大合併がピークを迎える2004年。
弥彦神社の門前で酒屋を営む羽生雅克さんには当時、多くの人から「弥彦産の酒が飲みたい」という声が寄せられていました。そこで村唯一の蔵元で、弥彦神社に御神酒を納める弥彦酒造の私(大井)のところに相談が持ち込まれたのが、全てのはじまりです。
話し合いを重ねる中でテーマとなるのは、やはり村のこと。
それは私たちの中で一つのコンセプトとなりました。
「村の顔となる、村の誇りたる酒にしよう!やるからには酒米から水から何から何まで全て弥彦産にしよう」
想いは想いを引き寄せる─。【究極の地産地消の酒造り】の輪が広がっていきました。
【全て弥彦産その1】酒米は幻の酒米、愛國
プロジェクト最初の課題は酒米探しでした。日本の米の系譜のはじまりとされるジャポニカ米3大種(神力・亀の尾・愛國)から、愛國を選びました。古より、おやひこ様の下で生きてきた弥彦村の誇り、郷土愛にこれほどぴったりな米はありません。
しかし、求めるものは古代米。現存もわからず、入手できたとしても明治時代の稲作に適した品種のため、今の時代では相当な困難があることがわかってきたのです。
プロジェクト冒頭から暗礁に乗り上げようとしたとき、プロジェクトに共鳴した地元のJA新潟中央弥彦支店センター長の遠藤精一さん(当時)が立ち上がってくださり、新潟県作物研究センターに保存されていた「愛國」の種もみから10gを入手、稲苗へと育てる道筋をつけてくださいました。
古代米ゆえの背丈の高さ、害虫被害、栽培は苦難の連続でしたが、共鳴いただいた地元農家さんとJA新潟中央弥彦支店さんの熱意は、3年後【減農薬・無化学肥料】の栽培成功として実を結び今日に到ります。
【全て弥彦産その2】その標高はスカイツリー!弥彦山頂に咲く奇跡の桜から酵母を発見
瓶とフタ以外はすべて弥彦村で揃えよう!その想いから酒造りに欠かせない酵母も弥彦村に強く関係するものにしたい。羽生氏と私は弥彦山にそのヒントを求め登りました。標高はスカイツリーと同じ634m。
その山頂で我々を待ち受けていたのは、気高く咲く樹齢170年余の一本の桜【ヤヒコザクラ】(村指定重要文化財)でした。桜の花弁は通常5弁ですが、ヤヒコザクラは6弁の花を咲かる日本に2株しかない奇跡の桜です。
弥彦山は山全てが御神体。村人が心を寄せるその山頂の桜から酵母を得たい。
羽生氏と私は祈る想いで風雨で剥がれ落ちた樹皮や花弁を拾い集め、羽生氏の母校である東京農業大学醸造学科の門倉利守先生に清酒酵母分離を依頼しました。根気強く実験繰り返していただき、200株以上の天然酵母から奇跡的に8株の清酒酵母を発見、「弥彦桜5号」と名付けました。
【全て弥彦産その3】弥彦山の伏流水で仕込む
酒造りにおいて仕込み水を水道水を使用する蔵元は少なくありませんが、弥彦酒造は伝統として酒造りに適した弥彦山の伏流水(超軟水)を汲み上げ醸造してきました。プロジェクトでも村人が心を寄せる弥彦山の伏流水を使用しています。酵母「弥彦桜5号」は野生酵母のため発酵段階で泡が異常発生したり、温度管理が非常に難しく手間のかかる酒造りですが振り返ると、それを克服できたのも、おやひこさまから戴く水のおかげであったと思います。
【全て弥彦産その4】収穫も村人の手で
2年目からは酒米の収穫体験イベントを開催し、村人や子どもたち、この酒造りに共感いただいた村外の方に愛國の稲刈りをいただいています。おやひこ様の恵みと村人の情熱をその手で感じていただきたい。そして一緒に収穫祭の日を迎えたことを祝いたい、そんな想いで開催しています。
【全て弥彦産その5】パッケージも弥彦村で、手漉き和紙に手書きラベル
最後まで一本一本、村人の手で。酒の顔ともいうべきラベルは弥彦村にある障害者福祉支援施設「やひこ学園」の生徒さんによる漉き紙に弥彦村在住の書家・田中藍堂さんが一枚一枚手描きしています。
酒米・愛國が育つ「田」を黄金色に揺れる稲穂をイメージした金色で描き、その中に商品名「彌彦愛國」の4文字を書き入れ、最後に販売する年の干支の印字を捺す、この世に同じものが一つとしてないオリジナルラベルです。
酒の名は「彌彦愛國」
時代に揺れる弥彦村で有志が立ち上がった地産地消の酒づくり。この酒造りを通じて皆の胸に湧き上がったのは「自分たちが生まれ育った国(ふるさと)が好きだ」という想い。私たちはこの酒を「彌彦愛國」と名付けました。村の人々にはこの村が好きだという想いを、村外の人にはこの酒(物語)を通してそれぞれの国への想いを思い起こして欲しい、そんな想いを込めています。
飲み飽きない味わい─それは国(ふるさと)の温かさ
古代米「愛国」を純粋に味わっていただくため、純米吟醸で醸し出します。味はふくよかで芳醇な旨みと独特な酸味をもち、飲み飽きしない辛口酒に仕上がっています。いつ帰っても安らげる故郷のように、永く寄り添い愛される酒です。
彌彦愛國は少しずつ賛同くださる方の輪が村内外で広がり、10年を超える取り組みとなりました。今年から弥彦酒造のある地区の生産者団体さんが酒米・愛國の栽培に立ち上がってくださり、新たな絆が生まれようとしています。
今、私の中で次の夢が生まれています。
彌彦愛國の取り組みを村の伝統として「子どもたちに遺したい」のです。
人は誰しも歳をとります。私や酒屋の羽生さんをはじめ、このプロジェクトを立ち上げた有志はいつまでも健在ではありません。日々、村の子どもたちにスポーツを教え、祭りを共にする中で「この子たちにこの酒造りを遺したい」そう願うようになりました。
地元有志の酒ではなく、村の文化として、子どもたちの時代にも引き継ぎたい。例えば、今年生まれた子どもたちが成人する20年後にも地元産の酒で祝えるように。
「子どもの頃に収穫を手伝った酒米で仕込んだ酒を大人になって味わう」そうした仕組みを作りたい。彌彦愛國の超・長期熟成に挑みたいと思います。毎年一定量を熟成保管し、この村を背負う子どもたちが大人になる時に村で祝う、村人の絆を子どもたちへと伝えるサイクルをつくりたいのです。
資金の使いみち
・彌彦愛國の超長期熟成保管コスト
・酒米収穫体験イベント(村内外へのファンづくり)費用
以上をご支援いただきたくファンディングいたします。よろしくお願いいたします。
支援金額に応じて下記のリターンをご用意します。ご支援いただいた方のお名前は弥彦酒造サイトに掲載させていただきます(※希望者のみ。法人名OK)。
◼︎3,000円
・お礼の手紙・彌彦愛國の前掛け・御神酒
◼︎5,000円
・お礼の手紙・彌彦愛國の前掛け・弥彦愛國1本(720ml)
◼︎10,000円
・お礼の手紙・彌彦愛國の前掛け・弥彦愛國1本(720ml)・伊彌彦米(弥彦村産コシヒカリ5kg)
◼︎20,000円
【Aコース 酒米収穫体験に参加できる方】
・彌彦愛國の前掛け・弥彦愛國1本(720ml)・酒米収穫体験(宿泊・杜氏による弥彦神社参詣ツアー・宴会付き)
【Bコース 酒米収穫体験に参加できない方】
・お礼の手紙・彌彦愛國の前掛け・弥彦愛國1本(720ml)・神社札 ・御神酒・伊彌彦米(弥彦村産コシヒカリ5kg)
◼︎30,000円
【Aコース 酒米収穫体験に参加できる方】
・彌彦愛國の前掛け・弥彦愛國2本(720ml 熟成1年と2年)・Tシャツ(男性S・M・L・2L・3L/女性 M)・酒米収穫体験(宿泊・杜氏による弥彦神社参詣ツアー・宴会付き)・伊彌彦米(弥彦村産コシヒカリ5kg)
【Bコース 酒米収穫体験に参加できない方】
・お礼の手紙・彌彦愛國の前掛け・弥彦愛國2本(720ml 熟成1年と2年)・Tシャツ(男性S・M・L・2L・3L/女性 M)・神社札・御神酒・伊彌彦米5kg・季節の酒のお届け(4回)
最新の活動報告
もっと見る酒米を蒸しあげ沸き立つ、この湯気のように
2018/02/05 18:15こちらの活動報告は支援者限定の公開です。
いよいよ最終日となりました
2017/12/08 10:02クラウドファンディング最終日となりました。 はじめてのクラウドファンディング挑戦。新潟の小さな小さな村で始まった「誇りのバトンを子どもたちに渡したい」。 本音としては右も左もわからず、果たしてこのチャレンジに振り向いていただけるのか不安の中でのスタートでしたがようやくこの日を迎えることができました。この2ヶ月、多くの方からご支援をいただきましたことに驚きと共に深く感謝しています。この挑戦を通じ、子どもたちに遺していける酒造りという想いをあらたにすることができました。 目標額を大きく超える100万円が目前となり、彌彦愛国プロジェクトを取り巻く機運も高まり、超・長期熟成の環境整備も安定させることができそうです。残り僅かな時間ではありますが、お知り合いやご友人に御紹介いただけますとありがたいです。 今年も弥彦村に雪が舞い降りました 今週、本格的な冬が到来しました。先日は一晩中降り積もった積雪で酒蔵の象徴として親しまれている大きな枝ぶりの赤松が傷んでしまい、枝を折れてしまうほど。この冬は例年よりも大雪になりそうです。折れた枝や雪を片付けては酒造りに舞い戻る、そんな季節のはじまりです。 厳寒期は酒造りの季節でもありますが、燗酒の美味しい季節。弥彦村の温泉旅館では村の幸と共に彌彦愛國が楽しまれています。この10年、〈村の誇りたる酒〉の酒造りを力強く応援してくれた弥彦温泉旅館の皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。 クラウドファンディングに挑戦する─。その想いを打ち明けた時、「四季の宿みのや」さんより次のようなお声がけをいただきました。 この酒は毎年、村で産まれる子どものようなものです。「今年はどんな顔をみせてくれるか」そんな楽しみを、この村を愛する心をあらためて考える機会をくれたこの酒を十年先、二十年先も愛される彌彦愛國にしてください。 今、あらためてその時のお言葉を噛み締めています。来年からは、ご支援いただいた皆様と一緒にこの楽しみを分かち合えるさらなる楽しみが増えました。残り時間が僅かになりましたが、このご縁がもっともっと広がっていくことを夢見ています。どうぞよろしくお願いいたします。 おやひこさまの山麓より感謝をこめて。 もっと見る
「神様と生きる村人たちが造る幻のお酒」彌彦愛國を都内限定にて試飲してみませんか?
2017/11/06 15:03多くのご支援に心より感謝申し上げます。 ご支援に際し、彌彦愛國の味わいについても多くのお問い合わせを頂戴しており、関係者一同クラウドファンディングの機会にあらためて挑戦して良かったとの想いを深めております。 先日、JR新潟駅ビル内にある「越後のお酒ミュージアム ぽんしゅ館 新潟駅店」にて試飲販売をさせていただきました。弥彦酒造《こしのはくせつ》のお酒と共に《彌彦愛國》も多くの方にご試飲いただき、この酒のもつ味わいとストーリーに共感を寄せていただきました。 この酒が持つストーリー、そして村人の絆の味わいを実際に感じていただきたい─。 プロジェクトについて文面で知ってもらうだけではなく、幻の酒を醸す弥彦村の酒蔵「弥彦酒造」の杜氏と実際にお話をしながら、酒造りと村への想いにふれ、村人の絆で生まれた酒をお楽しみいただければと思い、ささやかながら「試飲会」を開催させていただきます。 神様と生きる村人たちが造る幻の酒 試飲会〜杜氏との語らい〜 ■日程2017年11月9日(木)19:00~21:00※お酒の在庫が無くなり次第終了 ■参加費無料※参加人数を把握するため、チケットでのご予約をお願いいたします。(チケット予約:http://peatix.com/event/318340) ■内容彌彦愛國を中心に弥彦酒造の醸す銘酒を無料にてお楽しみいただけます。※タイムラインなどはありませんのでお気軽にお立ち寄りください。※当日は、酒造りの杜氏も参加します。※当日のお酒の販売はいたしません。 ■場所CAMPFIRE セミナールーム東京都渋谷区渋谷2丁目22-3渋谷東口ビル5F(google map:https://goo.gl/ncj3pu)※開催会場の都合上、20時以降ビルへの入口が締め切られてしまいます。20時以降にご参加の場合には、事前にpeatixチケットサイトよりご連絡いただけますようお願いいたします。 もっと見る
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