クラウドファンディングの終了にあたって日本のファーブルとも称される故坂上昭一先生(1996年没)の全体像を明らかにし、その偉業を後世に伝えるため、私たちは坂上評伝本の刊行を計画しました。この計画に賛同された27人の執筆者から玉稿が寄せられました。幹事による編集作業を経て、本の姿が浮かび上がったところで出版社にご相談したところ、海游舎様が出版を引き受けてくださいました。しかし、昨今の厳しい出版事情の下で、当方による相当額の出版費用の負担は避けられず、本事業に賛同される一般の方々から広くご支援をいただくため、クラウドファンディングを立ち上げることになりました。CAMPFIRE様のご協力により、2021年10月8日から12月20日までの74日間、[生物社会の進化と多様性を探る「坂上昭一評伝本」出版実現にご支援を]と題してクラウドファンディングを実施したところ、121人の方々からご厚志をいただき、お陰様で本年4月30日に、『坂上昭一の昆虫比較社会学』を刊行することができました。出版後には、一定額以上の支援者の皆様に返礼品として本書をお届けするとともに、オンライン座談会を開催して、昆虫や動物の社会の進化を中心に大いに議論を深めることができました。添付の収支報告書にありますように、支援金の大半は出版及び関連の費用に充てましたが、剰余金については、自然史学や生物多様性の研究機関である北海道大学総合博物館に昆虫標本箱16箱を寄贈しました。同博物館において、昆虫研究のために有効活用されることと期待しております。本書の刊行により、坂上が世に問うたハチ類の社会行動や社会進化に関する研究成果を始め、それを支えた「坂上学」とも呼ばれる研究手法や研究哲学、後継研究者の指導など、それらの背景をなす人物像が明らかになったものと自負する次第です。これらの研究成果や哲学が、特に若い世代の研究者や自然に関心をもつ方々に連綿と受け継がれることを期待するものです。皆様からの絶大な金銭的ご支援に対し、「坂上昭一評伝本」出版プロジェクト幹事一同、改めて深く感謝するとともに、皆様におかれては、健康な日々と益々のご活躍を期待する次第です。なお、周りの方々に本書の存在を広げていただけると、誠に幸いです。2022年12月20日「坂上昭一評伝本」出版プロジェクト幹事代表 山 根 爽 一クラウドファンディング関連収支報告会計担当幹事 山本道也1.収入の部 (単位 円)項目 金額クラウドファンディング(CF)支援1,833,845*基金幹事口座への振り込みによる支援582,000計(総収入)2,415,845 2. 支出の部海游舎出版費用分担金1,500,146支援者へのリターン経費 完成本146冊送付665,448 植松写真集3冊5,280 捕虫網セット20組送付18,325 Zoom(ウェビナー)座談会費用28,710 ドイツ在住支援者への完成本送付船便料金1,600 受取人不在による完成本再送770 完成本送付レターパック用宛名印刷費用2,645基金幹事通信費1,089編集者からの献本9冊(海游舎から)39,862ブラジルへの献本送料船便2,700書評依頼費用(献本、掲載料、謝礼等)52,256北大総合博物館へ標本箱16箱寄贈97,240計(総支出)2,416,071総収入 ― 総支出 = -226*1,833,845円=2,060,500(CF支援総額)× (1ー0.1(CF手数料))ー 20,605(手数料の消費税)