ひとり旅というのはいつも一筋縄にはいきません。
思いもよらないハプニングの連続。
デンマークに到着し、いきなり終電を逃しました。さらには道を聞いた若い男は自転車を床に投げつけ、ベンチに座るや否や隣の女性は発狂し、そして極めつけは、ゲイのおじさんに絡まれるというなんとも刺激的な一夜を過ごしました。
そんな一夜を乗り越え、やっとの思いで到着した留学先オレロップ体育アカデミー。
試練の連続でした。
体操はもちろん下手。もはや自分のやってきた体操は何だったのか。英語も下準備をしていったものの悪戦苦闘の日々。
言葉もままならない自分自身をどう表現していけばいいのだろうと悩みもがく日々。
そんな自分を救い出してくれたのが「体操」でした。
自分は何の為にはるばる日本からやって来たのか。とにかく、何が何でも、ここでの留学経験を将来の成功へ繋げたいという思いひとつでした。大学時代、体操に向き合い続けた時と同じ心持ちでもう一度、ひたすらに体操に取り組み続けました。
その結果、面白いことに気づきました。
自分にとっての体操は「体操」という自分自身を表現する一つの言語になっていました。体操と毎日向き合う日々の中で自分は自分が何者なのかを自然と表現していました。それを周りの人間もしっかり見てくれていました。時には多々、こんな会話も飛び交うようになりました。Where is Takato? He is in his room. それは僕が常に練習場にいるという事を表していました。
そんな経験から、自然体の自分を表現できるのは体操だと再確認し、この世界こそが自分の表現の場なんだと強く感じています。
続く