2021/10/27 18:51

この窯がどれだけ多くの子供たちの笑顔を産んできただろう。

店の裏に打ち捨てられ、雨晒し、潮風ですっかり赤茶けて。ダイヤルを微妙に調整して、時にコッペパン、時にピザを焼き、我が子のためだけに特別にケーキも焼いたかもしれない。自分のおじさんも甲府上石田の小さなパン屋だったので、早朝から家中に広がる小麦粉の焼きあがる香りは記憶に染みついている。

有名政治家や実業家が創るのだけが歴史ではない。一人ひとりに歴史がある。私たちも、ここに歴史を刻みたい。