2021/11/28 08:32
あと2日!

海外にルーツを持つ子どもたちに、専門家による日本語教育と学習支援機会を届けるクラウドファンディング。いよいよ終了まであと【2日】となりました。

現在、ひとりでも多くの子どもたちに手を伸ばすために、NEXTゴールに挑戦しています!
目標金額は200万円。あと【32,500円】で達成です!

ここまで、252人もの方々がこのプロジェクトに参加し、共に海外ルーツの子どもたちを支えてくださっています。ありがとうございます。ご寄付だけでなく、情報拡散にご協力をくださった方々にも、改めましてお礼申し上げます。

どうぞ最後まで、ご支援とご協力をどうぞよろしくお願いいたします!
*記事中のマスクをしていない写真は全てコロナ禍以前に撮影(写真:🄫Yuichi Mori)

海外ルーツの若者や生活者の「日本ではたらく」「日本で暮らす」も支えています

私たちYSCグローバル・スクールは、2010年4月より海外ルーツの子どものための教育支援事業として活動を続けてまいりました。主に小学校1年生から高校進学を目指す10代までを中心に、これまで1,000人以上の子どもたちをサポートしています。

特に「子どもの教育支援」をしている場として、たくさんの方々に応援いただいていますが、実は私たちは2013年度から海外ルーツの若者に対しても、日本語教育や就労支援など、日本での社会的な自立を目的としたサポートを提供しています。

現在は期間限定ですが、コロナ禍で減収・失業となるなど、困った状況にある外国人保護者や海外ルーツの若者のために緊急支援事業として、日本語・就労・定住のためのプロジェクト(Job and Settlement Preparation Course for Migrants : JSPC)を対面とオンラインで実施しています。

2021年6月より開始したJSPCプロジェクトには、現在までに北海道から九州まで、各地より190名が参加しています。特に多いのが、海外ルーツの日本国籍者や日本人の配偶者、永住・定住者や家族滞在者など、就労や教育以外の目的で生活している人々です。(「身分に基づく在留」と呼ばれます)

JSPCプログラム参加者の在留資格内訳(n=114)

ここにも自治体間格差、ボランティア頼みが

こうした身分に基づき在留する生活者の方々に対する日本語教育機会や就労、生活のサポートなどは海外ルーツの子どもたちと同じく、自治体間による取り組みの格差が大きく、一部の外国人集住地域を除いては主に草の根のボランティアが担っているのが現状です。厚生労働省による就労と定着のための日本語教育を含む研修プログラムはありますが、量的にじゅうぶんではなく、また、原則日本国籍の方は利用できないなどの課題もあります。

生活に追われる中で日本語を学ぶ機会も時間もなく、何年日本に暮らしていても日本語がほとんど話せなかったり、読み書きできない状況の若者や大人も少なくありません。平時から日本社会での生活や就労に必要となる基本的な情報へのアクセスは限られており、その結果、コロナ禍では多くの方々が困難に直面することとなりました。

2019年には日本語教育にかかわる国や自治体の責務を明確にした「日本語教育推進法」が施行されて数年経ちましたが、全体としてはまだ、実態にあまり大きな変化は感じらていない状況です。

海外ルーツの若者、生活者を対象とした日本語初期集中教育と定住支援が必要

欧米等の移民受け入れ国では、いわゆる「社会統合」を目的とした取り組みとして、移民や難民に対するその国の言語教育が無償または安く提供され、同時に、生活等に必要な情報や社会の歴史、文化を学ぶ機会も用意されています。ドイツでは、600時間にも及ぶドイツ語学習と100時間のドイツの社会等に関するオリエンテーション機会が設けられており、韓国でも400時間以上の韓国語学習機会や、韓国社会理解のための数十時間の講義などが実施されています。

私たちが実施しているJSPCプログラムでも、240時間以上の日本語学習と就労セミナーやキャリア相談、安心して日本社会で暮らしていくための情報等を無償で学ぶ機会を包括的に用意しています。(*1)プログラムに参加する人の多くが、コロナ禍で大きな影響を受けました。シフトが減らされたり仕事を失っても、日本語がわからないことが壁となり職探しや再就労に困難を感じる方が少なくありません。

(JSPCプログラム参加者に「困っていること」を尋ねた。日本語の壁が想像以上に高い)

これから先、日本の国境が再び開くことになればコロナ禍以前のように、毎年多数の日本語を母語としない方々が来日することになるでしょう。

現在のように日本語教育機会や安心して生活するために必要な支援が不十分な状況で受け入れが進めば、こうした方々が就労や子育て、生活などの様々な場面で困難に直面する可能性があります。また、ひとたび災害やコロナ禍のような有事が発生した際には、彼らはすぐに最も苦しい状況にまで追いやられてしまいかねません。

幸いにして、日本には参考にできる移民受け入れ国の経験があり、加えて、国内には経験を共有してくださる在日の方々やニューカマーの方々などが多数暮らしています。内外の声をよく聞き、学べば、何をすべきかを見出すことはそれほど難しくはないはずです。(問題は実際に誰がどのようにそれを実行するか、ということではありますが・・・)

”「いない」ことにされている人たち”と、共に

「日本には移民はいない」という前提が長く続いています。しかし、日本社会にはすでに280万人以上の中長期に在留する外国籍の方々が暮らしています。今は全体の約2%程度にとどまりますが、すでに帰化した人など、日本国籍を持つ海外ルーツの人たちを加えれば実際の割合はより高いものになります。国際的な定義上は「移民」である人たち。(私も移民背景を持つひとりです。)

ある推計によれば、2060年代には日本国籍者を含む海外ルーツの方々の占める割合が12%程度になる見込みだそうです。およそ8人に1人。

今を生きる私たちが、日本には多様なルーツを持つ人々が共に暮らしているという現実と向き合うかどうか、適切な支援や協働を行うかどうかによって、今の子どもたちが社会の中核を担うころの未来を、大きく変えることになるはずです。
(2018年以来こうした大小の「転換点」に立っていると感じることが、本当に増えました)

日本で生きるすべての子どもたちが暮らす今と未来の日本社会が、明るいものであるように。今から未来へ良いバトンをつないでいくことができるように。これから先も、みなさんと共に歩んでいけたら嬉しいです。

(*1)本記事では若者と生活者への支援についてご紹介しましたが、こちらのJSPC事業は休眠預金を活用した助成金を受け実施しております。今回のクラウドファンディングでお寄せいただいたご寄付はすべて、小学生~高校進学希望の子どもたちへの教育資金として大切に使わせていただきます。