キャッツイン東京・店長のアイと申します。今回の応援委員会の団長です。
店長と言っても、単なる無償ボランティア。キャッツイン東京のファウンダーで、支援者のひとりとして生涯応援していく立場で運営に関わっています。
ただの猫と犬の飼い主でしかなかった私が、東日本大震災を境に動物保護に関わることになって、いつの間にか10年半の歳月が過ぎていました。最初のころは知識も全く無くて、今思うと無謀だったり、人に迷惑をかけたりしたことも多かったと思います。そして、出会った猫や犬、その他の生き物たちに一つひとつ現場で教わって、たくさんの失敗の上に今があります。
相手が生き物なので、失敗や後悔があっても、一度関わると止まることはできません。
この10年余、ずっと走り続けてきましたが、2016年に保護猫カフェをオープンしてからは、もはや全力疾走で、あっという間の5年でした。いろいろ間に合っていない恐怖にかられる日常ですが、そういった中でも命だけは最優先にしてきました。関わった猫は絶対に守る、という覚悟をもって日々に対峙しています。
今回の庭と万年塀の改修は、ここ小豆沢に移ってからずっと課題でした。
最初につくった板橋本町のお店が、オープンしてたったの2年4カ月で所有者都合で退去しなくてはいけなくなったため、移転決定の時点で520万円の未回収の借入がありました。これ以上の借入させてくれる金融機関があるはずもなく、途方に暮れての新天地探しのスタートでした。
知人の紹介でご縁があった小豆沢のお店は、23区では貴重な庭付きの路面戸建て。しかも駅近。緑の多い大きな小豆沢公園の前で、ひと目で気に入りました。庭の大きな柿の木と夏みかんの木にも魅せられました。大家さんご一家は、保護猫2匹と暮らしている大の猫好き。「保護猫のためになるなら」と、家賃も格安にしてくださいました。
ただし、ライフラインが何も来ていない家内工業のプレス工場跡地。断熱も床もなく、古いサッシにはペラペラのガラス。これを猫が安全に暖かく過ごせて、お客さまを迎えられるようにするには、保護猫価格にしてもらっても600万円近く。旧店舗の分と2軒分の工事費用と設備費用合わせると1千万円を超える借金を抱えての再出発でした。
そんなわけで、何しろお金がありませんでした。
造作は里親さんでもある大工さんにお願いしましたが、壁塗りは自分たちの手で行い、家具は全ていただきものと私物。庭はスタッフが見よう見まねで塀を塗ったり、玄関までのアプローチは大家さんが板を敷いてくれたり、手持ちの観葉植物の植木鉢を並べたりと手作りでしのいできました。看板も子ども用のお絵かきボードで代用。風の強い小豆沢の高台のため、毎日突風との戦いを1年続け、ついに諦めて木にくくりつけました。
その結果、目立たない看板と、奥まって見えない店舗入口のため、近隣の住民でさえ「存在を知らなかった」と言われることが今もよくあります。さらに、雨の日に泥で足を取られないようにと敷いたベニヤ板が経年で滑るようになり、転倒者が続出。また、アプローチは蓄光型の照明しかないため入り口が暗く、夜間はさらに足元が危険ですし、防犯上にも不安がありました。今年に入り、松葉杖のお客様が転倒したことをきっかけに、工事を決意しました。
板橋の地で5年お世話になったことも踏まえ、これまでにつながりのできた地元の方々や里親さんたち(譲渡した猫の飼い主さん)の手を借り、安全で明るい庭にし、さらに、地元の方々にも楽しんでもらい、一休みしていただけるような場所にしたいと考えています。それによって、目的である猫の保護と里親探しを加速していきたいと思います。
ご支援どうぞよろしくお願い申し上げます。
CAT’S INN TOKYO
店長 藍智子