プロジェクトリーダーの古屋です。
今日は先日行われたレコーディングの風景をご紹介してみたいと思います。ピアニストは、愛知県芸術大学准教授で、第63回日本音楽コンクールの優勝者:武内俊行さんです。武内さんとは10年以上の付き合いで、今回のレコーディングでは息の合った制作ができたかと思います。
マイクセッティングはこのような配置で、僕が国際エンドーサーのSPL社のマイクプリアンプや、アーティストリレイションを持ち合わせるBraunerのマイクも使用しています。その他、ベルリンフィルの公式音源で用いられる、Sennheiserのペンシルマイク、そしてHUM AUDIOのリボンマイクと、日本ではあまり用いられない機材群でクラシックピアノの音源をキャプチャーします。
リアルなピアノのサウンドと、リッチなホールの響きをできる限りワイドに録れるようセッティングを繰り返します。
演奏を開始するピアニストの武内さん。このレコーディングでのプログラムはラフマニノフで、圧巻の演奏を披露してくださいました。
ヘッドホンの開発を行う上で、機材と向き合うという以上に、音楽と向き合うことで理想のサウンドは更に研ぎ澄まされます。私たちの場合、音楽を制作する根幹に居る身として、楽器の音を熟知していることで、大きなアドバンテージを有しています。それはやはり、電子的に変換された楽音を頼りに開発するのではなく、『本来あるべき姿』であるアコースティックサウンドが体に刻み込まれることで、アナログとデジタルそれぞれの長所を引き出し、繊細な響きのサウンドを聴き分けることで育まれる感性があり、そしてその感性は次世代の世界観を生み出すことが可能になると考えています。