皆様こんにちは。GENESISプロダクトマネージャーの加瀬でございます。本日は、GENESIS Infinityの開発にあたり、リファレンスヘッドホンアンプとして採用しているSPL Phonitor xに搭載されているPhonitor Matrix(クロスフィード)機能に着眼点を置き、ヘッドホンでの音楽鑑賞における空間表現についてお話をさせて頂ければと思います。
こういったクロスフィード機能がヘッドホンアンプに求められるそもそもの理由をご説明させて頂きますと、ステレオスピーカーで音源を再生した場合に、リスニングポイントへ到達する音は左チャンネルと右チャンネルが混ざった音になりまして、これがナチュラルなステレオフィールドの再現に繋がる最大の要素となっております。また、音楽制作の段階まで遡って考慮した場合にも、その制作自体がステレオスピーカーを使用して(もちろんヘッドホンで完結される方もいらっしゃいます)おり、製作者側の空間配置はそれに基づいて構築されていることがほとんどです。
一方、ヘッドホンでの音楽再生においては、左側・右側のハウジングがそれぞれの耳へ直接届き、その到達において左右が混ざることがない構造のため、楽音の定位が極端に聞こえる場合があることや、空間の表現に違和感を感じることがあります。これを解消するために、左右の音を一定の割合で混ぜることで、スピーカーでの視聴との差異を解消し、より自然な音楽鑑賞を実現するという技術が誕生しました。その中でもSPL社のこの技術は傑出しており、まるでスピーカーで鑑賞しているかのような体験をヘッドホンで可能としております。
Infinityの開発にあたり、空間表現については重要視しているポイントの一つでして、皆様に音楽鑑賞をして頂くにあたって妥協が許されない点でございます。タブレットやスマホなどにInfinityを直接繋いでご鑑賞頂く場合からヘッドホンアンプに繋いでご鑑賞される全てのシチュエーションを想定し、私たちGENESIS開発チームはサウンドチューニングを進めて参ります。