栄養士が考えるまちづくり。
私はナチュラルビーの長友宮子といいます。
「食を通してできるまちづくり」をコンセプトに約20年間色々な活動をしてきました。
町の人たちが気軽に相談に来れる場所を作ろうと思い、平成29年に「デイサービスみやこや」を立ち上げ運営しています。
町の人たちの孤立死を防ぐために見守りをしようと宅配弁当をしています。
自分の活動には必ず「食」がありました。
私は栄養士の学校を卒業してから栄養士の仕事をしていましたが、その後しばらく栄養士の仕事から離れていました。福祉やまちづくりの勉強や活動が楽しくなったからです。
障害を持つ人たちが施設でずっと生活をするという現実を見て「どうにかして地域で生活ができないか」と思ったり、虐待を受ける子どもたちを支える為にまずは親自身を支えていこうと虐待を防止するためのNPO法人を立ち上げたりしてきました。
そして気が付くと必ず食の事を考えている自分がいました。
例えば、障がいを持つ人たちが地域で生活をしようとすると、毎日の食事が課題となります。そういった食のサポートはどうしたらいいのかをずっと考えていました。
また、児童虐待の活動をすると行き着くのが「ご飯を食べれない子どもたちがいる」という課題でした。そこで少しでも子ども達がご飯を食べることができるようにと「子ども食堂」を作りました。
他にもまだまだあります。自分の住むまちを好きになるために、その土地の郷土料理を知ってもらおうと様々な食育の事業もしてきました。
このように栄養士として施設や病院で働くことは多くはなかったのですが、仕事や活動のベースには必ず「食べる」がありました。
私の住む町で起こったこと
私の住む地域で、介護を苦にした殺人事件がありました。これは当時、地域に住む人たちとってはとてもショックの大きい事件でした。事件が起きてから知ったのですが介護について誰にも相談できずに殺人に至ったというとても悲しい事件でした。
実は他にもありました。孤独死です。新聞が溜まっているということで、見に行くと既に亡くなっていたそうです。
このような事件は、何も特別な事ではありません。ごく当たり前の事件が毎日どこかで起きているのです。
私は二度とこのような悲しい事件が起きないように、自分にできることからスタートしてみようとお総菜屋を始めたのでした。
亡き父がしてきたことや、やりたかったことを、違った形で実現する
我が家は、酒屋を営んでいました。この時代に今のような量販店やコンビニではなく、小さな店で自転車に酒を乗せて町の中を配達するんです。まるでサザエさんに出てくる三河屋さんです。
私の町で父の事を知らない人はいませんでした。子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで、父の事を知っていました。
そんな父は今から約18年前に、事故でこの世を去りました。その際、一緒に暮らしていた母はお店もできなくなり一人になりました。これまで父と二人三脚でお店を営み、常に二人で生活をしてきたので父がいなくなった後、大丈夫かとても心配でした。
しかしそんな心配は杞憂に終わりました。
町の人たちが、毎日入れ代わり立ち代わり色々な方が我が家に訪れお話をしてくれました。時には近くへドライブをしようと誘ってくれる方もいました。
父がこれまで町の中でしてきたことが、こうして母のところへ恩返しとして帰ってきたのです。
父はいつも言っていました「町を自転車で回りながら見守れるようなことをしたいなあ」と。
そして、その思いは違った形で私がバトンタッチすることになります。
私を育ててくれたおじちゃんおばちゃん達も、もう年を取ってしまいました。
父が他界して18年。町の中はすっかり変わってしまいました。子どものころからかわいがってくれたおじちゃんおばちゃん達の中には、もう亡くなってしまった方もたくさんいます。施設に入っている方もいます。まだ町の中で生活をしている方も既にご高齢となり、家を出ることがめっきりと減ってしまいました。
次は、自分が生まれ育った町で、自分を育ててくれたおじちゃんおばちゃんたちに恩返しをしようと自分の生まれ育った家の縁側でお総菜屋さんを始めました。
近所にお店がなく、ご飯を作れない人たちが増えてきたからです。
お惣菜を販売すると、色々な町の人がやってきて色々な話をしてくれます。
最近、話す人がいなくてさみしい
買物に行くのが大変だ
あそこに住んでいる〇〇さんは、今大変だ
食を通して色々な声を聞ける小さな「居場所」ができて、少しずつ町の様子が見えてきました。
お惣菜やさんを始めてから今に至るまで
町の中で悩みを話せる「よろずや」みたいな惣菜やさんを作りたいと思っていた私は、色々な相談を聞くうちにもう少し色々な事に取り組んでみようと思いました。
地域に開かれたものを作ろうと思ってできたのがデイサービスみやこやです。こちらは月曜日から金曜日まで開けているので、町の人がいつでも相談に来れるようになっています。
みやこやをずっと開けていると、デイサービスなのに地域の人が色々なお野菜などを持ってきてくれたり、悩みの相談に来てくれたりします。
「野菜を作りすぎたから食べてね」
「隣の〇〇さんが心配やとよ」
という会話が毎日飛び交っています。デイサービスのスタッフ達もいつの間にか地域の方と会話をすることが増えています。
出てきた色々なことをお話してみます。
デイサービスや宅配弁当をしていると色々な方と出会います。寂しい思いをしていた方が、宅配時にスタッフと話すのを楽しみにしているという声もあったりして、とても嬉しい気持ちになります。
私たちはみやこやを作ってから6年目を迎えていますが、これまでに訪れが人たちもたくさんいます。そして、出会った人たちは決して幸せな人ばかりではありません。毎日生きるのが精いっぱいな人たちもたくさんいます。実際に地域に深く入ってみると本当に色々な人がいるんです。
一部ですがこれまで出会った方のお話をしてみます。
前の日に届けたお弁当が外に出ていたので心配になって自宅の裏から中を覗くと、おじいちゃんがベランダに直立不動の状態で倒れていました。近所の人たちに声をかけると、住民が集まってくれて救急車を呼びました。弁当を届けるまでは、とてもお元気で自治会に入ってない方だったので周囲の誰もが気付いていなかったのですが、実は自分自身も知らないうちに病気が進行しており生活をするのが困難になっていたのでした。
宅配弁当を始めたことで、この方の異変に気付くことができ支援につなげることができました。
こちらは障害を抱えていたご夫婦でした。お弁当をスタートした時、初めはお弁当を嫌がっていていつもドアを開けてもらえませんでした。毎日通ううちに次第に心を開いてくれて色々と話してくれるようになりました。旦那様が次第に床に臥せがちになり気が付くと家の中がごみで散乱し始めました。そのうち「お弁当はいらない」といわれました。実は色々な理由でお金がなくなりお弁当を買うお金がなくなっていたのでした。
旦那様の目からは目ヤニが溢れていて、それを取り除こうとはしませんでした。入口付近のごみ袋にはウジ虫が湧いていました。
こちらは、関係機関に相談し支援につなげてもらいました。
毎日、笑顔で話していたお客様が突然亡くなり、最後の接触者としてわが社のスタッフに電話が入りました。
玄関先で座ったまま亡くなっていたということで、横にお弁当があったそうです。
スタッフは介護関係者でもなく普通の地域の方です。仲良く話していた人が突然この世を去るという経験は初めてでした。ショックも受けていました。そして「自分にはもっとできることがあったのではないか」と涙を流していました。
お宅へ行くと、ごみが散乱していました。部屋からは異臭が漂いました。
この方は、周囲の方より「あの人はちょっと怖い人だから関わらないほうがいい」と聞かされた人でした。しかしお弁当を宅配に行くと、最初は暴言を吐くものの、心細くなると連絡してきたりしてました。
ご家族も近くにいますが、誰にも支えてもらっていない様子でした。実は、かかわりを持たない家庭も多く、そういう高齢者は孤立している状態になっていることもよくあります。
◇◇◇◇◇◇
これらは全て、宅配弁当がきっかけでつながった方々です。こういう事が何件もやってきます。毎日誰かが色々な形で町の人と関わっていく事で、地域で見えていなかった問題がヒョコっと顔を出しそこから次につながるという事がたくさん出てきました。
人が人間らしく生きていくには「食べる」ことが基本
食事が十分にとれなくなると、次第に体の調子が悪くなる高齢者がたくさんいます。
嘘みたいな話なのですが、お弁当を依頼される方の中には栄養失調で歩けずに這って出てくる人もいます。手で体を支えやっとの思いで玄関まで出てくる人もいたりします。
ここで低栄養のお話を書いてみます。低栄養と言うのは 何らかの理由で食事が十分に摂れず栄養状態が悪くなることを言います。
食事がちゃんと摂れない人達の理由は、色々あります。今まで関わる中で一番多いのは、一人暮らしだったり認知症を患っている方です。お友達が亡くなってしまったり施設に入っていて、朝から誰一人関わる人がいないという相談はよく来ます。私たちは弁当を家庭にお届けしながら見守りをしていますが、一日たった1回のお弁当のやり取りが、1日で唯一他人と接点を持てる機会だとおっしゃる高齢者も多くいます。
他には認知症で食べることを忘れる方もよくいます。普通にお弁当を渡すだけでは難しい。一度、食中毒が怖いからということでご家族が、玄関に冷蔵庫を用意してくださっていて、そこにお弁当を入れていたのですが次の日にそのまま冷蔵庫に入ったままという事がありました。いつもと同じパターンでないと混乱してしまうのです。
お弁当を持っていくと、玄関前で立ち往生しているお客様がいました。聞くとどこかで鍵を紛失して探していると言います。デイサービスが終わる時間を考えると、約1時間以上玄関の前にいたことが分かりました。
こうして、食を通して町に潜む様々な困りごとを見つけることができます。
私たちは「食」というツールを使って、町の人たちを見守れる栄養士になりたいと思っています。
全国に「まちの栄養士さん」を増やしたい!
私は「まちの栄養士」さんを増やし、元気な日本にしたいと思います。
まずは、自分の住んでいる町から。地域。そして市、県。
まちの栄養士さんが増えたら、町はもっと元気な人が増えるんじゃないかと思っています。
全国には65歳以上の者のいる世帯が2500万世帯もいます。
まちの栄養士さんって何をするの?
「まちの栄養士さん」とは、町に住む人たちを食で健康にしていく人達の事を言います。だからといって、お宅に行っていきなり栄養指導をするわけではありません。
まちの栄養士さんでやること、できること
では、まちの栄養士さんは何をするのか?
私は自分ができることならなんでもやってみていいと思っています。理想は「家庭の御用聞きができる栄養士」「あなたの身近な栄養士」です。
普段から地域の方と接していると、色々な相談をしてくれるようになります。もちろん栄養の相談だけではありません。しかし、食が繋がっている相談もとても多いです。
私たちが行っている様々な事を紹介してみます。
私たちは現在、宅配弁当を作っています。昼と夜を合わせて約50食くらい作り地域の方へお届けをしています。メニューは栄養士で立て、作ったり配ったりするのは近所の方やスタッフさん(もちろん私たちもお届けします)そうすると、食事だけではない困りごとを聞くことが増え始めます。家族の事や、病気の事。一人は寂しいという相談も多いです。こうして町の中で見えなかった「困っている」という声を聞くことができます。
介護予防の一環で、栄養指導を行っています。利用者のお宅へ訪問し栄養指導をします。栄養指導を通して様々な困りごとが見えてきます。家の様子や雰囲気。利用者様の機能の状態を確認することもできます。
子ども食堂(地域食堂)は、最近何かと話題の居場所です。一言でいっても、食を通した居場所と言っても食事を人に提供するので、色々と気を付けることも多くあります。実は子ども食堂(地域食堂)を運営していると、衛生の問題に触れる機会が多くあります。夏場の食事はどうするか。宅配弁当にしたいときにはどうしたらいいか、保健所とのやり取りは?等。栄養士が関わることで安心した運営ができるのはとてもいいなあと思っています。また、栄養士ならではの子ども食堂だと思うのですが、食育に力を入れた運営もできます。私たちの子ども食堂では、郷土料理を一緒に作ったり、調理実習をしながら食材の勉強をしたり、地域の方の協力をしてもらいながらお野菜を収穫したり等色々な応用ができるようになります。
他には、サロンや料理教室を開いています。パン教室や腎臓病などの病院食、トロミ食の作り方など、参加者の要望に合わせて色々な調理実習を行います。
栄養士さんじゃないとこのプロジェクトに関われないのか?いいえ、たくさんの方に関わってもらいたいです。
まちの栄養士さんプロジェクトというくらいなので栄養士さんじゃないと参加できないのかと思われる方もたくさんいるかと思います。
いいえ、栄養士さんじゃなくても大丈夫です!
「まちの栄養士さんプロジェクト」は「まちの栄養士さんを増やすプロジェクト」なので、栄養士さんと一緒に活動をしてくれる方や、栄養士さんを活用してくださる方も大歓迎です。また、地域にお住いの栄養士さんに「まちの栄養士さんプロジェクト」の事をお伝えくださるともっと広がりがでます。
色々な方に協力を頂きながらまちの住民の健康をサポートしていけたらと思っています。
資金の使い道・実施スケジュール
まちの栄養士さんプロジェクトを行うに当たり、様々な諸経費が必要になってきます。
1.在宅栄養士が使えるソフト購入…50,000円
2.栄養士たちが直ぐに家庭で使える栄養指導キット…20,000円
3.まちの栄養士さんを知ってもらうための様々なツール
・広報の為のパンフレットやチラシ…30,000円
・HP作成(サーバー代込)…100,000円
他にもまだまだ色々なものが必要ではあるのですが、まずはこれだけは揃えたいです。
リターンのご紹介
リターンについては、私たち栄養士ならではのものをご用意いたしました。まちの栄養士さんプロジェクトのサービスの一つでもあります、献立表を提供したいと思います。
献立表が1か月分あると、一日に作るメニューの目安になりますので是非ご活用くださいね。
3,000円…3か月分の献立表
ご家庭やお知り合いの栄養改善にお役立てください。
5,000円…半年分の献立表
ご家庭やお知り合いの栄養改善にお役立てください。
10,000円…半年分の献立表と栄養相談
ご家庭やお知り合いの栄養改善にお役立てください。
最後に
全国に住む栄養士さん達が、自分の町で食の支援をするときっと町は元気になると思っています。
食はとても大切。
私は、町で食のサポートをする栄養士さんがもっともっと、増えてもいいんじゃないかと思っています。
「全国の町を食の力で元気に!」
この思いを胸に、このプロジェクトを広げたいと思っています。
私たちと一緒に、自分の住む町に1人の「まちの栄養士さん」を増やしていきませんか?
<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
最新の活動報告
もっと見るまちの栄養士さんプロジェクト!クラウドファンディングスタート
2021/12/21 20:0412月より「まちの栄養士さんプロジェクト」クラウドファンディングがスタートしました!このプロジェクトを通して全国の栄養士さん達と繋がり、町に住む人たちの健康を食からサポートしようという取り組みです。私たちが何をしているかは、最初の紹介ページにも書いているのですが、一番の基本は、「自分の住む町の人たちの健康を食のシーンからサポートする」です。栄養指導に入ることもありますが、他にも話し相手をすることもあります。私たちのカフェに来てもらって、一緒におしゃべりをしたり体操をしたりもしています。お弁当や頂いた食材(野菜など)を届けて見守りをしたりもしています。家庭の中をちょっと覗いてみるだけで、たくさんの困りごとが見えてきます。・たくさんのお野菜が冷蔵庫にあって、それを料理できない・本当に自分の食事は大丈夫か不安だ・認知症になっている気がして怖い・最近、喉に詰まらせてしまって、ご飯を食べるのが怖いちょっとした関りを作って行くと、たくさんの事が見えてきます。どんな方が地域を見守ってももちろんいいんです。でも、私たちは栄養士。せっかく学校に通って取得した食の資格を、町の為に活かすことができたらきっと、世の中の「食」はもっと楽しくなるんじゃないかって思います。さて、今回「まちの栄養士さんプロジェクト」をスタートしようと思ったきっかけはもう一つあります。私達は、食支援を通して「介護予防」の支援などを行っているのですが、これまでの活動を見てくださる全国の企業様から、「介護予防について食の場面からサポートや助言をしてほしい」という依頼が結構入ります。<相談をもらっている業種>・建築関連・不動産関連・介護関連・物産関連・介護関連コンサル業等等。しかし、私達は宮崎という地に住んでいて、直ぐに全国各地での立ち上げのお手伝いができずに勿体ないなあと言う思いもあるのです。これからの介護保険は、いかに企業様達とコラボしながらサポートできるかが鍵だと思っています。特に食支援について、介護予防と企業コラボができる人が少ない為、この手の相談が増え始めているんです。そこで、自分たちが現在やっている事を、全国の栄養士さん達にもシェアしながら各町で健康を維持するためのサポートができるようにしたいと思っています。町の数だけサポートのスタイルも色々ある。だからこそ、各地の栄養士さん達と情報交換をしながら、元気なまちづくりをしていきたいと思っているのです。「まちに住む人たちと関わってみたいけど、どういう事をして町の人たちと関わって行ったらいいの?」これから終了までの約1か月をかけて、私たちの活動をご紹介できたらと思います。是非、ご覧頂きサポートをしていただけたら嬉しいです! もっと見る
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