【代表ご挨拶】なぜミャンマーマスク・コーヒーご提供のクラファンを始めたか?
初めましての方も、今までお会いしたことのある方も、こんにちは。
特定非営利活動法人リンクトゥミャンマー理事長の深山沙衣子と申します。
このたびは当会のクラウドファンディング「ミャンマーマスクとミャンマーコーヒーで、今すぐミャンマーを応援しよう!」のサイトに来ていただき、誠にありがとうございます!
当会は神奈川県横浜市を拠点として、在日ミャンマー人支援や日本とミャンマーをつなぐ文化交流、ミャンマーにいる困難な状況の方々を支援する国際協力活動を行ってきました。
日本における外国人の生活の困りごとを解決する「定住支援」は、これまで10年ほど前から個人レベルで行ってきました。4年前にNPO法人化してからも年々相談件数が増え、地元の役所や国際交流ラウンジなど協力・交流する体制ができつつあります。
定住支援で接点を持つのは、一般の日本人と一般の外国人です。日本社会が多様化する中、日本における外国、外国人との接点を円滑化する意味で、定住支援の現場は、日本社会における「草の根外交」実現の場と言える状況になりつつあるのでは、と個人的に、半ば手前味噌で思っております。親切にしてくれる日本人に好感を持つ外国人が増えれば、その方の出身国で日本のファンが増えることにつながります。
私の周りでは、NPOリンクトゥミャンマーができてから、当会の活動を通じて日本人と接点を持つ外国人が増え、日本人や日本に理解を示してくださるミャンマー人が増えたと感じています。そして最近は外国人と日本人が同じ社会で生きる難しさと楽しさ、華やかさを、本当に少しずつですが、様々な場所にいる日本の方々と共有できるようになってきました。とても嬉しい限りです。
文化交流は、毎年やることが変わります。イベント、映画祭、セミナーなど、その時にいるインターン生やボランティア、事務局スタッフが考えて実行し、どのイベントも同じものはありませんでした。理事長という立場ですが、イベント内容や詳細の決定にはあまり関与しません。当会に関わるスタッフたちが、独自の色を出し、活躍できる場を提供するのが私の仕事です。毎年どのような交流イベントや企画が出てくるのかを楽しみにし、イベントに参加しています。
2021年はミャンマーおよび国際社会にとって大きなニュースがありました。2020年のミャンマー総選挙の結果を不服としたミャンマー国軍によるクーデターが勃発。多くの人々が犠牲になると同時に、コロナ禍と相まってミャンマー経済は落ち込み、多くの失業者が出ています。
日本政府は表立って軍事政権を応援できませんから、これまでODA関係の仕事に関与していた日本人やミャンマー人にとっても、仕事が減っているのは間違いないはずです。ミャンマーのような発展途上国の経済活動には、経済的先進国のODAや支援が不可欠ですが、いわば経済のガソリンである外国投資金やODAを入れられないミャンマーが、経済的に立ち行かなくなるのは容易く想像できます。
国際社会で孤立するミャンマーの中にいる人々と、どのようにつながり続けるのか?
これは、大きな課題です。そもそもクーデターが起きて軍事政権となった国と交流ができるかを疑問視する方も多いでしょう。
私がクーデター後から今まで、さまざまな情勢を見てきて感じるのは、「日本とのつながり」が続くからこそ、ミャンマーの困難を克服できる場面があるのではないか、ということです。情報が限られる社会で生きるミャンマーの人々に、個人レベルで、国際社会で伝わるミャンマーという国の在り様をお伝えする。こんな些細なことでも、これからミャンマーの人々が、どのように国を運営していきたいかを考えるきっかけにはなるかもしれません。草の根活動家としては、草の根レベルで継続可能なつながり方や支援の在り方が求められます。
今後もNPOリンクトゥミャンマーが、日本とミャンマーの草の根レベルの交流を続けるとしたら、どのような方法があるかを模索し、現状は、以下のことを守らなければならないとの結論に至りました。
第一に、関係者の安全を確保できる状態で、ミャンマーとの関係・つながりを保ち続けることです。命を犠牲にし、あるいは身体が傷つくことになる活動は、理事長として承認できません。
第二に、社会が必要とする支援を優先的に実施すること。
第三に、継続可能な在り方で、できるだけ日本人とミャンマー人がハッピーになれる方法を模索し、交流を続けること。
上記三条件を満たしたのが、今回のクラウドファンディングで実施している「ミャンマーコーヒー」を日本の方々に楽しんでいただきつつ、ミャンマーの縫製業の方々のお力になる「ミャンマーマスク」のご提供でした。
マスクは、これまで日本で販売されている数々の縫製品を作ってきたミャンマーの工場に発注しています。ミャンマーの縫製工場にとって、日本の縫製品を受注するのは「面倒くさい」ことです。品質管理が細かく、独自の基準があり、手間がかかります。それでも敢えて日本企業からの受注を受け続けたこの縫製工場は、30年ほど前に日本に出稼ぎに来ていたミャンマー人の経営陣のもと、運営されています。日本への恩を忘れず、日本の製品を作り続けてくれています。
そうです。当会が何度も繰り返し語っている「定住支援」とは、こういうところでつながるのです。かつて日本で「外国人」だった人々が、ミャンマーで日本人の着る縫製品を大量に作っているという現実があります。このクラウドファンディングでリターンとしているマスクもそうです。経営者は日本のホテル清掃業で学んだ「清潔」の概念を工場運営に生かして、マスクを作ってくれました。
そして、この工場経営者の姪が、日本にある企業で働いています。彼女が留学している際、就職してからも、当会は定住支援で彼女の生活の困りごとを解決してきました。このように、日本とミャンマーのつながりが、一般の人々の間で続き、そして今後も「つながり」は続いていきます。日本社会での国際交流が、多様で豊かな形となるよう、当会のスタッフとインターン生に、このクラウドファンディングを企画してもらいました。
ミャンマーは怖いイメージ。
どのようにミャンマーとつながればいいか分からない。
このような印象を抱くのは、昨今のニュースを見ていれば自然なことです。
それでも私たちは、一般の人々の間では、普通に交流を続けていきたいと願っています。
このクラウドファンディングで、日本とミャンマーの草の根のつながりが、ますます続いていくこと、それが経済、社会レベルでお互いの発展につながっていくことを期待します。
まずは、マスクとコーヒーで、ミャンマーにつながってみませんか?
2021年12月10日
NPOリンクトゥミャンマー
理事長 深山沙衣子