宿泊施設を利用した方のうち、生活保護を受給することになった人については、一時宿泊施設から出た後に無料低額宿泊所(劣悪なシェルター)に入居させることがないよう、1月4日に大宮区役所に申し入れを行いました。
福祉行政では年間を通じ、住まいのない人が生活保護を申請した場合に「無料定額宿泊所」への入居を促すことがあります。入居者の生活保護費を頼りに施設を運営する無料低額宿泊所は、多くの場合において衛生面・部屋のサイズ・食事において非常に環境が劣悪で、居宅保護に移行する間の一時滞在所としても非常に不適切な場所です。また生活保護には「居宅保護の原則」があるにもかかわらず、無料低額宿泊所から居宅に移行させない違法な対応が横行しています。
年末のアウトリーチでは、「生活保護を受けるには無低に入らないといけないと言われた」「無料低額宿泊所の環境が悪すぎて逃げてきた」などの理由で路上生活を「選択」させられている人に数多く出会いました。良質な住居の保障を追求することなく、より「安価」でより「手間のかからない」無料低額宿泊所に依存する福祉行政が、多くの人を路上に追いやっている実態が浮き彫りになりました。
1月4日の際の申し入れの際、大宮区の福祉課長は「生活保護の住宅扶助の限度枠内で泊まれる場所が、無低の他にあるのですか」「無低の他にどのような選択肢があるのですか」という応答を繰り返しました。そこからは、当事者とともにより良い住居を求め、無低以外の選択肢を模索しようという姿勢すら感じることができませんでした。
しかし、1月4日の手続きの際には、「住居がない人が無低に入ることなく、ホテルやウィークリーマンションに滞在しながらアパートに入居することは可能だ」ということが示されました。当事者とともに行政の窓口で手続きをした結果、今回申請した全員が引き続きさいたま市の制度を使いながら1ヶ月間ホテルやウィークリーマンションに滞在し、安定したアパートを探すことになったのです。
今回の一連の活動の中では「全ての人に安定した住居が保障される」社会を作っていくための端緒が、色々な形で示されました。この経験や成果を次に繋げるために、街頭アンケートや相談の内容などをまとめ、報告イベントや記者会見などの社会発信を行っていく予定です。引き続き、ご関心を寄せていただければ幸いです。