第二回「トランシルヴァニアから伝統手芸を広めたい!」の募集が始まって、そろそろ2か月になろうとしている。 1月終わりの時点では、イースターの時期に もう一度ワークショップを実現させたいという気持ちで一杯だった。 暗い空気を吹き飛ばし、楽しいことに向かってつき進みたいという思いが 新しい行動を決心させた。 募集開始から1週間ほどで目標金額の半分に達し、 さらに1か月で目標金額に達することができた。 ワークショップ決行できることに喜ぶ半面、 2月終わりにはウクライナ情勢が大きく変わり、 2週間ほどは隣国で起こること、ニュースが気になり、 思うように仕事に集中できなかった。 3月に入っても、氷点下の日が続き、 一向に冬の終わる気配がなかった。 ルーマニアも戦争に巻き込まれるのでは、 核の危機でこちらも避難せざるを得なくなるのでは、 徴兵制が導入されるのかもしれない。 いつこの平穏な日常が崩されるのかもしれないという不安が募る。 たまにプロジェクト援助の知らせが来ても、 素直に喜ぶことができず、 本当にワークショップを決行することができるのかどうか、 不安に思う日が続いていた。 モニター越しに、久しぶりに故郷の母の顔を見た。 3年も会うことができずにいるのに、 寂しいなどと弱音を吐くこともなく、 毎日を生きる力でみなぎっていた。 手仕事を伝え、生きがいにする姿は、 70歳を過ぎてもなお現役で活躍する母の姿から学んだことだだった。 世界中どこにいても、安全かどうかわからない。 先の不安を案じるよりも、今ある平和の恩恵に感謝して毎日を過ごすしかない。 幼稚園や学校では、先生が子供たちに楽しい活動で毎日を過ごさせることに 全力を尽くしてくれている。 子どもたちが社会の不安にさいなまれないように、 当たり前の日常を過ごすことがいかに大切か気が付いた。 不安な時期に書いた、ワークショップの決行、不決行についての知らせにも、 たくさんの参加者の方からご連絡を頂いた。 何よりも私の家族の安全を第一にしてほしいと、 状況を案じる思い、慈しみにあふれる内容ばかりだった。 中には、大きな病気を抱えて毎日な毎日を前向きに過ごすため、 ワークショップに参加される方、 ウクライナ情勢に仕事が左右され、 疲労の毎日の中で時間を割いてくださる方も・・・。 不透明で不安な世の中であればあるほど、 今、私たちが地に足をつけて生きること、 私たち女性にとって大切な仕事であり、 精神的なよりどころであった手仕事の文化を今に伝えることの 大切さを実感している。 募集終了まであと4日、 ラストスパートを走っている。 トランシルヴァニアの各地をあたかも旅するような気分になれる4日間。 平和への祈りをこめて、いっしょに手仕事をしませんか?
ブログ「トランシルヴァニアへの扉 - Erdely kapuja-」より |