自分がどうしてこの活動を始めることになったか、長くなりますがお読み下さい。
約20年前、自分が東京の西新宿にある初台リハビリテーション病院という病院に勤務していた頃、一人の脳出血後の患者さんの主治医になりました。三嶋完治さんという方です。
右片麻痺と失語症を後遺症として残しましたが、入院リハを経て自宅に退院されました。ある時、乗車したタクシーの運転手さんから「あなたはプールに行った方がいい」とすすめられたそうです。その運転手さんは過去に軽い脳卒中をされましたが、プールに通って回復した経験があったそうです。
三嶋さんは一人で外出できる方で、自分で新宿区の区営プールに通い始めました。最初は水中歩行から開始して、その後にトレーナーの指導が始まって、実際に泳ぎ始めたそうです。
自分は外来でも主治医としてお付き合いしていたのですが、三嶋さんの歩行が良くなったり、メンタル面も元気になっていく様子を感じていました。
一度、三嶋さんに誘われて実際にプールで泳ぐ様子を見に行ったのですが、麻痺がありながらもバランスを取りながらクロールなど上手に泳がれていました。自分は片麻痺の方が泳げるとは思っていなかったので、大変びっくりしました。
私は当時、病院の退院患者さんの友の会の設立や運営に関わっていたのですが、友の会の月例会に、一人の水泳インストラクターさんが見学に来られました。手塚由美さんと言って、過去にインカレで平泳ぎのチャンピオンとなったアスリートです。
手塚さんは水泳や水中でのエクササイズを子供達や高齢者に教えられていたそうですが、片麻痺の方のプールリハの指導を始めて、その有効性や本人の変化をすごく感じて、麻痺のある方のプールリハを進めたいと希望されていました。
その後、三嶋さんが一年間の水泳の練習の成果をお披露目する会を開くと聞き、手塚さんをそこにお誘いしたのが二人の出会いです。
三嶋さんは法律家という仕事柄もあって、手塚さんの活動を全面的に支援され、手塚さんが代表となって「輝水会」という法人を設立されました。手塚さんによると、三嶋さんのサポートがなければ法人化は難しかったと仰っています。法人となって、区などから助成金を得たり、障害のある方のプールだけでなくスポーツの提供のために活動を展開され、今日に至っています。
今の魚沼プールリハクラブの活動は、三嶋さんと手塚さんとの出会いが契機となったとも言えます。
手塚さんが主催されている輝水会の水中リハのオンライン講習会には、私を含めて魚沼プールリハクラブの多くのサポーターが参加して、技術的な基礎などを学びました。クラブの活動に大いに参考にさせて頂き、今後は手塚さんを招いて、サポーター技術指導などお願いをしたいと考えています。
輝水会のHPは以下ですので、是非ご覧ください。
https://kisuikai.com/