こんにちは、昨日に引き続き7期の川内野が投稿させて頂きます。
本日はOBOG紹介という事で、1期生の田中修平さんを紹介させて頂きます。
(下記:1期 田中修平さんより)
佐賀県海外使節団を支援していただいている皆様、これから支援しようと検討している皆様、こんにちは。
1期生の田中修平です。
昨年、早稲田大学大学院教育学研究科(博士後期課程)を中退し、佐賀に帰って働いています。いまは教育と直接に関わらない仕事をしていますが、4月から「教育行政職員」として学校や教育行政の現場で働くことになります。
このような選択をしたのは、家庭の事情もありますが、若手研究者の雇用環境がますます厳しくなっている中で、いまのまま研究を続けても生き残っていくのは厳しいだろうから、一般的ではないことにチャレンジしてみようと思ったからです。従来は博士後期課程中退者が研究以外の分野で職を得るのは難しかったと思いますが、佐賀県は幕末以来の先取の精神が理由かどうかは分かりませんが、私のような人間も受け入れてくれました。
こういう経歴だと、「夢破れて佐賀に帰ってきた残念な人」という目で見られることもあれば、「何か研究に還元したいことがあって、あえて現場の経験を積もうとしているのかな?」という疑問を持たれたりもします。色んなことを言われますが、何が本当になるかは、これからの自分次第だと思います。
ただ、若手研究者の雇用状況に関するネガティブな情報が流布しているために若者が研究の道に進むことを敬遠し、これからの日本の研究のレベルが低下していくことが懸念されるので、仕事をしながらも研究に貢献していこうと思っています。先週もある大学の先生が教育学分野の研究で佐賀に来られた際に、調査に同行しました。(私のメインの仕事は、お茶くみでしたが...笑)
20世紀の半ば以降、世界の社会科学をリードしているのはアメリカだと言ってよいでしょう。その下地は、第一次世界大戦や第二次世界大戦の際に、多くの研究者が行政の実務に動員され、その経験をもとに現実の問題関心に根差し、実際に現場の役に立つ学問をつくろうとしたところにあると私は考えています。
私の同世代の日本の研究者(の卵)は、ストレートで大学や研究所で職を得られず、実務の世界に飛び込んでいく人が増えるだろうと思います。しかし、そのことは、アメリカの過去の例に照らして考えると、学問に対しても、社会に対してもプラスになるだろうと思っています。
実務経験なく研究者になってしまうことに疑問を覚えたのは、アメリカで次のような体験をしたからでした。私は2015年にアメリカの教育大学院に留学しました。私を受け入れてくれた先生が指導している現地の学生は全員、社会人経験者でした。教育大学院なので、教育の現場に身を置いて湧いてきた問題意識をもとに研究をしているようでした。ゼミでの議論も、それぞれの現場での経験をもとに意見を言っていて、社会経験のない私はまったく口をはさむことができませんでした。
これからは「教育行政職員」として働くことになるので、学校や教育行政の現場に身を置くことができます。そうして現場の経験を積むことで、3年前の自分ができなかった現場の感覚を踏まえた議論ができるようになるのではないかと期待しています。大学にいたときには気づかなかった新しい問題意識を抱いて研究に取り掛かることになるかもしれませんし、実務の世界で新しい仕組みを考えて導入したりしているかもしれません。あるいは、目の前の子どもや保護者と全力で向き合い、地域の人たちから慕われる職員になっているかもしれません。
このように、様々な可能性が目の前に広がっています。しかし、自分の将来は自分でコントロールできるものではないということが分かってきたので、とにかく目の前の仕事に全力を尽くして、偶然の出会いを大事にしていきたいと思っています。私がやってきた研究は教育に関することで、これから採用される職種も教育に関するものです。研究であろうと実務であろうと、「子どもたちのために」ということを忘れずに頑張りたいと思います。そうすることで、佐賀県に貢献したいと思っています。
私が教育に関心を持ったのは、佐賀県海外使節団でアメリカに行ったときに現地の大学のキャンパスの様子を見て学生たちの生き生きとした姿に衝撃を受けたことがきっかけでした。アメリカではなぜこのように生き生きとした学生たちが育つのかを知りたいと思い、政治学から教育学へ専攻を変えました。このように、佐賀県海外使節団には一人の学生の将来を変えるほどのインパクトがあると思うので、ぜひご支援をいただければと思います。
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修平さんが文章の中でおっしゃっている「自分の将来は自分でコントロールできるものではないということが分かってきたので、とにかく目の前の仕事に全力を尽くして、偶然の出会いを大事にしていきたいと思っています」について社会人1年目の私にとってはとても共感しました。もっと大きな仕事をしたい、この仕事もしてみたいという思いがある一方、まずは与えられた目の前の仕事をしっかりこなして評価してもらわないといけない。
私も修平さんのように社会に揉まれながらも学生時代から持っていた夢を忘れないようにまずは目の前の日々の仕事に励んでいきたいと思います。
修平さん有難う御座いました。
以上、OBOG紹介でした。
文責 7期川内野