【応援コメント】
映画にかかわることのできる仕事はすばらしいと思っています。
けれども私は同時に、「日本の映画人は恵まれなくて当たり前」と思い込んで仕事を続けてきました。
これはギャンブルなんだ、労働環境劣悪なのを承知で自ら飛び込んだんだ、人生棒に振ったって、畳の上で死ねなくたって仕方がないんだ。それでいいんだ、と私自身は思ってきたけど、振り返れば若い人たちの目の色が暗かった。
——これは、映画の未来が閉ざされているということだ、とやっと気づいた次第です。
長い間バラバラのまま、環境整備や労働条件の見直しをされてこなかった映画界を変革するのはとても大変なことです。劇的な変化はすぐには訪れないでしょう。
まずは問題点について学ぶこと、そのために、JFPが行っているような緻密なリサーチやデータが重要です。そして様々なジャンルの映画界の人々が、情報を共有し、「どう変われるのか」を共に考え、協同する必要があるのだと思います。
JFPの積極的な活動を私自身も参考にさせていただき、今後のことを考えたいと思います。
西川美和(映画監督)
【西川美和(にしかわ・みわ):プロフィール】
映画監督。1974年広島県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。
是枝裕和監督作品『ワンダフルライフ』(98)をはじめとしてフリーランスの助監督を経た後、2002年に『蛇イチゴ』でオリジナル脚本・監督デビュー。続く長編作品に、『ゆれる』(06)、『ディア・ドクター』(09)、『夢売るふたり』(12)、『永い言い訳』(16)。佐木隆三の小説『身分帳』を原案とした最新作『すばらしき世界』(2021年・主演:役所広司)は、シカゴ国際映画祭外国語映画部門観客賞など受賞。
小説では、『ゆれる』『きのうの神様』『その日東京駅五時二十五分発』『永い言い訳』。エッセイに『映画にまつわるxについて』『遠きにありて』『スクリーンが待っている』などがある。