2022/05/29 11:37

はじめまして、本プロジェクト発起人の一人、Sunny Boyと申します。

少し長くなりますが、ぼくがどのような経緯でこのプロジェクトを立ち上げることになったかについて知ってもらえたら嬉しいです。


ぼくは小学校の時から、なんとなく「人と同じ」ということが苦手でした。小学校2年生の時にお遊戯会で踊るダンスが同じ振り付けであることをどうしても受け入れがたく、当日本番になって我慢できずに好き勝手踊り、周りにびっくりされたことと、ぼく自身はすごくすっきりしたことを覚えています。

 小学校高学年になり、周りはGLAYやT.M.Revolution、安室奈美恵やSPEED等を聴く 中で、3歳上の兄に聴かせてもらったTHE BLUE HEARTSでロックとの衝撃的な出会いがありました。

 

ドブネズミみたいに美しくなりたい 写真には写らない美しさがあるから


 初めて聴く他には無い言い回しで、でも道徳の教科書よりも真っ直ぐにぼくの目と耳とこころに突き刺さったのでした。誰かと同じが苦手なぼくは、あっという間にロックの虜。一人の時はよく、頭の中で爆音で音楽が鳴っていたから誰かに呼ばれても聞こえてなかったこともあったように思います。


 高校生になって、愛だの友情だの恋だのと多感な甘酸っぱい時期の中で、ぼくは自分らしさというものが何なのか、ひどく混乱した時期がありました。ちょうどシド・ヴィシャスやパンクロックに傾倒し、今を生きることに必死でありながら、漠然と21歳か28歳で死んだらロックスターだなと思ったりしていました。でも、ロックを聴いていると、何故か死のうとは思いませんでした。苦しくて情けなくて悲しいけど、生きていたい。傷つくことはいくつもありましたが、ロックに支えられながら「生きること」を続けてきたのでした。


 そんなぼくは、人のこころを支えることがしたいと思い、精神科の看護師になりました。自分なりに一生懸命患者さんと呼ばれる方々と向き合う中であることに気づきました。それは、病院の中でいる限り、自分が出会えるのはもう既に「患者さん」と呼ばれるようになった方だ、ということでした。

 こころの病気は色々な要因によって引き起こされると言われていますが、ぼくが病院で出会えるのはもう既にこころの病気が認められた人、こころに何らかの傷つき体験をされた人達でした。この人たちがそもそも病院に来なくて済む方法はなかったのか、傷つくことはあっても、自分なりのバランスで生きていくことを支える方法はなかったのか、と悩んでいた時に、今回のプロジェクトの仲間である、増川ねてるさんと出会いました。

 

 ねてるさんも忌野清志郎やTHE BLUE HEARTSが好きで、すぐに意気投合しました。音楽やリカバリーについて話をする中で、「いつかロックとリカバリーをテーマにしたフェスがしたいね」という目標ができました。

 リカバリーと聞くと、パソコンの修復機能を連想するかもしれませんが、「何度でも自分らしさを取り戻す」というような意味合いがあります。お互いロックによって何度もリカバリーをしてきたから、ロックには人を支える力がある!という共通認識をすぐに持つことができました。


「いつかロックとリカバリーをテーマにしたフェスがしたい」と、知人に対してや出させていただいたラジオ等で繰り返し発信する中で、NPO法人「カケルとミチル」さんが興味を示してくれました。また、ねてるさんの繋がりから、ともさんというロックンロール精神科医も仲間になりました。繋がった仲間と思いを共有していく中で、まずはチームの立ち上げに向けてのクラウドファンディングを始める運びとなりました。


 こういった経緯で集まったぼくらが目指す「ロックとリカバリーをテーマにしたフェス」とはどんなフェスなのか?


 ぼくはロックに「生きること」を支えてもらった人間です。多感な時期、悩める時期にロックから多くのことを学び、ロックに何度も支えてもらいながら生きることを選んできました。そして、ロックフェス等に来ている人々の中には同じような体験をした人がたくさんいると思っています。

 今こころが元気な状態にある人が、こころが元気なうちから、自分らしく生きるにはどうしたらいいのか、自分のこころが苦しくなった時にどうすればリカバリーすることに繋がるのか、ということを考えておくことができれば、ストレスが起因となって引き起こされる精神疾患の一部を回避する=予防することができるのではないか?と考えるようになりました。

 でも、病院の中にいるぼくが、いくら世の中に向かって、「元気なうちから自分のこころの健康について関心を向けておくことが大切だ」と発信したとしても、今元気な人には伝わらないということも感じました。

 今元気な人たちのこころに、どうすればこのメッセージは届くのか?と考えた時に思い浮かんだのは、バンドマンの方々なら伝えられるんじゃないかということでした。バンドマンの方々なら、直接人のこころにメッセージを届けられることをぼく自身が体験していたからです。


 ぼくの好きなバンドマンの一人、大槻ケンヂさんもかつて鬱病の経験があることを「うつヌケ」という本で知りました。他にも、Dragon Ashはベースの馬場育三さんが亡くなった後も活動を継続していたり、Kemuriはツアー中の事故でメンバーを亡くし、一度は活動を中止したけれど、活動を再開されていたり、バンドマンの方々自身も生きる過程でリカバリーを体験されながら、その時々の経験を音楽として世に発信されているとぼくは感じています。そのリカバリーの過程を共に歩むことでファンは生きるエネルギーをもらっているとも思っています。


 大変長くなりましたが、こういった考えの基に、「ロックとリカバリーをテーマにしたフェス」をしたいと考えております。ただ、バンドに演奏してもらうだけでなく、バンドマンの方々の苦しかった時の体験やリカバリー体験を語ってもらったり、「元気なうちから自分のこころの健康について関心を向けておくことが大切だ」ということをバンドマンから伝えていただけると、医療者が伝えるよりももっと真剣に聴き、伝わるものがあるんじゃないかなと考えております。


 ロックに「生きること」を支えてもらった人たちと共に、ロックを通して「何度でも自分らしさを取り戻し」立ち上がるためのフェスを作っていきたいと思います。

 ロックは何度でも希望を与えてくれる、その度に前に進むことができるのだ!


最後までお付き合いいただきまして本当にありがとうございました。ぜひ拡散だけでもご協力いただけますと大変大変ありがたいです!!


僕 パンク・ロックが好きだ 中途ハンパな気持ちじゃなくて

ああ やさしいから好きなんだ

僕 パンク・ロックが好きだ