こんばんは。
今日は、先日noteの方で先行公開した「かける人」の序文を更に追記・修正したものをお届けします。
序文というのは、雑誌をめくった1ページ目の文で使われることが多いです。
以前よりも少しだけ内容を濃くしているので、note版を読んだ方も楽しめるかと思います。
それではどうぞ。
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なんだか自分の好きな人や作品が、物凄いスピードで消費されている。
そう感じて、一つの曲やメンバーの物語について考えていくブログを作ったのが、3年前でした。
Twitterのタイムラインのような短い言葉で事象をとらえるのではなく、もっと長い言葉でなるべく丁寧に。まとめサイトのように複数の匿名者の言葉ではなく一人の言葉で責任を持つ。出来れば、1年後や3年後も読者が読み返したくなるような記事を書いていきたいというのが当初のコンセプトでした。
ブログを始めようとした時、当時働いていた職場の仕事仲間からよく反対されました。
「今は流行りのコンテンツを短くまとめて、こまめにアップした方がいいよ」
「もっと流行りのグループの曲やメンバーの方が、アクセス増えますよ」
「動画の方がマネタイズしやすいですよ」
でも、僕はあえて時代の流れと逆行するようにテキストサイトであるブログを始めました。
1日の訪問者が6人しかいない日もあれば、6万人を越す日もありました。
最初は共感してもらえる記事が人気でしたが、徐々に発見や閃きのある記事の方が読者の反応がよくなりました。
そして、気づけば3年の月日が経っていました。
3年間で感じた手ごたえとしては、自分の好きなものについてじっくりと考えたい人たちはちゃんと居て、自分の好きな人や物に対してもどかしい思いをしている人たちも居る、ということでした。
かくいう僕も、何でこの人の評価は低いんだ、何でこの映画はもっと多くの人に評価されないんだ、そういう思いを3年の間に何度も感じました。
ある時、自分の好きなアイドルが、運営やプラットフォームの意向に合わず、辛い思いをした経験がありました。よりにもよってそのアイドルの誕生日に。ちなみに、そのアイドルは文章力もありましたが、書いた創作物を公式サイトに載せることが出来ない、ということでボツになったという話を配信で聞きました。
同じく、僕が生まれた町出身のアイドルがいます。
音楽的センスもダンススキルも高いのですが、ソロの仕事は少なく、人気で数を競うイベントではなかなか仕事を獲得できない状況でした。地元への愛を発信するものの、なかなか地元と連携した仕事は出来ていません。
そこで、僕は思いました。
じゃあ、自分が架け橋になるようなメディアを作ればいいじゃん、と。
そこから僕は紙の雑誌の作成を決意します。
あえて紙の雑誌を選んだのは、質量があるからです。
2022年現在の僕は、仕事に質量を残すことに物凄く価値を感じています。デジタル化が進めば進むほど、そこに「有る」ことの嗜好性は上がっているように僕は思います。
そして、紙の雑誌には、偶発的な出会いがあります。
ネットではどうしても自分が見たいものだけになってしまいがちです。
パラパラと雑誌をめくることで、全く意識していなかったものと出会える。それが紙の雑誌の良いところだと思います。
「かける人」というタイトルは、様々な意味をこめることが出来ると思ってつけました。
「書ける」、「描ける」、「架ける」、「懸ける」と様々な「かける」がイメージできます。そして、掛け算の「×」もあります。
色々な物と人の「かける」で生まれるものを中心に考えてみたいと思っています。
この雑誌のコンセプトとしては、小さなメディアだからこそできる「企画の自由さと不自由さが生む愛着」です。
大手メディアでは、まだ小さくしか取り扱われなかったり、コアだけどビジネスが絡むとどうしても後ろに回されてしまったりすることも、僕が気になっているものや人だったら、是非掲載へのチャレンジをしてみようと思います。
そして、時々、馬鹿なふりをして割と大手の大好きな人達にもオファーをするという冒険もしてみたいと思います。誰よりも愛情を込めた企画書と一緒に。
また、クラウドファンディングをした人しか基本的には雑誌を手に入れられないというのは、「ビジネス的にどうなんだ」とわりと多くの人に反対されました。しかし、ワンクリックで手に入れた本よりも、お金を一緒に出して作った本の方が、愛着をきっと持てると思ってこの形式を選択しました( もうちょっとこの本が欲しいという人が増えたら、amazonを通さずにちょっと不自由な場所に置こうかと思っています )。
この創刊準備号の次は、いよいよ創刊号です。
予定としては2022年12月末か2023年1月末を予定しています。
毎回のクラウドファンディングが順調にいけば半年に一回ぐらいのペースで刊行できるかと思いますが、まずは1号ずつ良いものを作ろうと思います。
この本を読みながら、あなたは何を「かける」人なのか、今の自分は何と「かけている」のか、そんなことをゆっくり考えていただけるような雑誌になれば嬉しいです。
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いかがだったでしょうか?
ありがたいことに、毎日支援者の方が増えています。もし良かったら、あなたの周りでじっくり考えることや、「推し事」が好きな方がいらっしゃれば、是非是非、薦めていただければ幸いです。
それでは、今夜も頑張って進めていきたいと思います。