はじめに・ご挨拶
★初めまして
宮崎県の県北に位置します高千穂町に、5年前に移住しました佐藤章代といいます。高千穂に移住する前は合算で26年間、神戸を中心に舞台にまつわる仕事をしていました。前年の冬に初めて高千穂を訪れた時、33番にも渡る演目を一昼夜かけて行う神々の祀り・夜神楽を見て、その時間も空間も予想をはるかに超えた祀りに驚きながらも、本来の芸能の姿を感じ、またその根源にある揺るぎない「信仰心」を感じ、突然訪れたにも関わらず、大興奮で朝まで食い入るように見させていただきました。
その神の里・高千穂町に移住が決まり住んでみて初めて出会ったのが、意外にも「鬼」のお話でした。
これまで「鬼」というと、社会によくある怖いイメージ・悪いイメージをそのまま受け取っていた私ですが、高千穂の「鬼八」という鬼のお話に出会い、それが一変し、2年前より「3年かけて鬼とされてきた先人供養の祭り舞台『KAMIASOBI』を完成させよう」と、高千穂伝統の神楽33番付目標に1年1年番付を増やしながら最後の1年を今迎えようとしています。
★人が繋ぐ祈りの環
2020年の冬至に立ち上げた春分祭り舞台「KAMIASOBI」当初を振り返れば、「一人でもやります‼」という強い意志をもって【立ち上げること】に意味があったと思います。
※2021春分第一回目
しかし2年目となった2022年の春分KAMIASOBIでは、いよいよ番付も増え、舞人も九州を中心に幅広い土地から参加してくださり、神庭(舞台)つくり、竹毬つくり、駐車場整備など【みんなのちから】を本当に大きく感じた年となりました。
資金もない中、平台や竹灯籠を貸してくださる団体や蝋燭を支援してくださる団体、神庭つくりやステージ作りに集まってくださる方も地元のみならず、いろんな地域から足を運んでくださいました。そんな流れがなんと古き神楽面にまで辿り着き、「再生プロジェクト」として共にコラボレーションすることとなり、宮崎県西都市に展示されていました面さまをお借りして舞わせて頂くことが叶いました。
他にも、舞に使う弓や剣の作成、献上する稲穂が奈良から運ばれたりと、人の繋がりに感謝しきれないご恩を感じています。あらためて「人の祈りの力が、大地を繋ぎ天を繋ぐ。まさに【天地人】とはこのことだ」と実感させて頂いています。
そしていよいよ3年目となる2023年‼前夜祭から全てを通して奉納するため、一人一人の思いと人とのご縁、そしてそこにお金という素晴らしい循環エネルギーを合わせて、もう一回り大きな輪を広げた「男女ともに身体の底から神遊ぶ祭り」を完結させ、更にはこの高千穂にいると言われている白龍へ、感謝とともに私たちの祈りを天空へと運び昇華してもらいたいと思っています。
プロジェクトをやろうと思った理由
《きっかけ》
★「鬼」を追いかけて出会った「先人の想念」
鬼にまつわるお話は全国各地域にありますが、鬼八を追いかけてみて私がたどり着いたのは「昔からいた先人(先住民)」であり、「鬼」という名前に癒着している「想念」でした。先人(先住民)でありながら、鬼という「ある一方向からのイメージ」を押し付けられ歩んできた間に、想念はいつしか「本当の鬼」のように肉付けられ、「鬼化」していったように感じます。
高千穂ではひっそりとではありますが、鬼八の墓(首塚・胴塚・手足塚)や鎮魂祭が行われ祈り続けられていますが、その根底にあるものが「恐れや悪」である以上、鬼化した想念が鎮まることはないのではないかという気持ちが私の中に次第に深まり、それを深堀りしていくと、「知らず知らずのうちに私たち自身が『恐れや悪』を書物や口伝から受け継いできている」ことに気付かされたのでした。
そしてそのような恐れから生まれた「鬼」は先人という括りでは収まらず、社会のあちこちに生まれ続け、今も尚、世界で続く「争い」にまで繋がっているように思えてくるのでした。
★私達自身から「鬼」を昇華させる祭りを
私達が知らず知らずのうちに受け継いでいる「恐れや善悪二元論からの選択」で生み続けてきた心の「鬼」を解放し昇華させるお祭りをこの天孫降臨の地・高千穂という日本の神々の故郷から発信することは「裏神話」ともいうべき、神鬼・表裏一体であることの発信にもなると感じています。
実際、夜神楽では鬼神の舞も多く存在しています。高千穂の先人は「鬼も神である」ことをよくよく知っていたのだと思います。
※2022春分第二回目
このプロジェクトで実現したいこと
★伝承ではなく「祭りを興す」という体験を通して、現代を生きる私達の「信仰心(感謝と祈り)」を表す
過疎化が全国各地で問題になる中、祭りの伝承もその影響を受け存続が難しくなっていることをよく聞きます。長らく先人達が受け継いできてくれた伝統には、本当にかけがえのない郷土愛が詰まっていると感じています。
しかしその祭りの多くには「ご法度」も多くあり、「女性不参加」もその一つとしてあります。
その理由にはいろいろとあるようですが、根底にあるのはやはり「恐怖」でなかったかと首をかしげるところも多くあります。けれど、継承されてくるものについては時代背景があるわけで、それ自体が人の生きた証であると感じ、大きな意味があると思っていますが、それとは別に今「女性が祭りに参加し祭りを興す」ことの意味も一方で強く感じています。
現代の日本人は「無宗教だ」と言われてきましたが、阪神大震災から始まり数々の大きな震災を受けて私たちは「大いなるもの」の存在を否が応でも受けてきました。災いは大いなるもの(自然)に対する畏れを私達に呼び起こし、私達の根源にある「信仰心」を表に引き出すきっかけにもなりました。
けれどそれは既存にある宗教ではなく、また恐れからではなく、「感謝と祈り」を多様な表現で表すことでした。先人がこれまで手を合わせ祈ってきたように、またお経や教えを唱えてきたように、私は今感じる物語や唄や舞、そして衣や神庭(舞台)にも自分たちの手をかけて「感謝と祈り」をいろんな形にした祭りを興したいのです。
★女性も舞う祭りを興す
なぜ祭りで女性が舞えないのか。これは日本列島に共通すると言っても過言ではないと思っています。昔のことを調べれば調べるほど、女性に対する「禁止事」は多く、女性は生まれながらにして「ケガレ」とされている時代も長く続き、これもまた「鬼化」している想念の一つではないかと思えるのでした。
本来女性はアメノウズメにあるように舞でその場の氣を変え、山神のように豊穣を与える存在であると思うのです。そして国生み神話にあるように、「男女そろって物事を成すこと」が本当に豊かな地(世界)を育む絶対的なものであることを、今この祭り興しを通して実感しています。
★高千穂から日本を変えようとしていた女傑がいた!
実はそう遠くない面白い昔話が高千穂にあります。信仰深い高千穂の土地で昭和53年に亡くなられた興梠千穂(享年84)さんは、この当時ではまだまだ珍しかった女性実業家でしたが、最後の20年間は夢見枕に立った神様のご神託によって高千穂でたった一人で金を掘っていました。彼女の口癖は「高千穂はこんなもんじゃない、日本はこんなもんじゃない」「夢さえあれば、生きてさえいれば、やりさえすれば」で、本当になんでもかなえていく豪傑ぶりでしたが、唯一最後の金堀りでは金を掘り当てることが出来ませんでした。 けれど私は、彼女の郷土愛、そして彼女の生きる力をこの祭り舞台KAMIASOBIの番付に加え、タカチホのエネルギーを大いに持つ興梠千穂さんにも私達と共に舞い踊ってもらい、また興梠千穂さんの功績を知らない現代の人達の生きるエネルギーに繋げたいと思っています。
もちろん舞だけでなく、あらゆる表現に男女が共に関わり交わり、そして形として表現にしてゆくことこそが、先人への感謝となり祈りになり、鬼という想念の昇華に繋がっていると感じています。
★完結「KAMIASOBI」で龍を舞わせて、天昇させたい。
2021年の春分から始まったKAMIASOBIは、前夜祭の「火の舞」で生まれた火を迎え火として、目に見えない全ての命を迎え入れるところから始まり、春分当日は「水と土の舞」で国生みを表し、その上で、「鬼が神から分離され、人の中に鬼が生まれた所以」また私達人間がどんな風にその後生きてきたのかを描き、いよいよ2023年完結の年、残りの番付を使って今後の世界を全身で祭り「風」を興し龍を表し、全ての鬼化した想念を龍に昇華してもらう構成となっています。
KAMIASOBIを完結させるために、あと残り9番の中で、龍をも誕生させる大がかりな「野染め(長い布に自然の草木から頂いた染め液で色をつけてゆく)」や私達の合わさる氣を引き出す「綱引き」など、舞や唄に留まらない感謝の表現をしてゆく予定です。
★このKAMIASOBIを「龍の目線」というテーマで映像にまとめたい
高千穂に私が来た当初、すぐ近所のおばあから龍の話を聞きました。会場にしている田んぼの上空を龍はいつも通っている。龍はいつもこの高千穂の空を飛び回って働いている、と。この他にも田舎でおじいおばあに声をかけると、決まって「河童」や「天狗」の話などが普通に聞けたりします。おじいやおばあから話を聞いていると、本当にいたとしか思えないぐらいリアルです。でも後でその話を自分の中で反芻すると、教訓や自然の畏れが比喩されているということに気付くのです。
私は今回の祭り舞台の33番付で繋がる物語を、ここを通る龍が導いた物語として構成し、また「これまでとは違う視点からの神話」として祭り、また映像に残しお伝えしたいと思いました。それは、おばあのいう「どの立場にも偏らず、龍の目線で物事を見る」という教えを形にしたものにもなるのではないかと期待しています。
★未来を描く2023春分
来年付け足される残り9つの番付は、私達がこれから先をどのように生きるのか、繋ぐのか、そんなことを龍に宣言する場面となり、それを経て龍に33番付の神遊びに含められた全ての想念を昇華してもらいます。受け継ぐだけでなく、新しく歩む一歩をともに創り出すことを、この祭り舞台「KAMIASOBI」に関わる全ての人と全力で楽しみ表したいと思います。
実施スケジュール
【春分祭り舞台KAMIASOBI~月と鬼と~】
開催日時 2023年3月20日日没~21:00 21日10:00~17:00
開催場所 宮崎県高千穂町の田んぼ
内容 33番付に及ぶ舞と音楽、そして相撲や綱引き、野染めなどの行事
これまでの活動
2020 3.21 お話会&ライブ「秘められた祈り~月と鬼と~」 コロナ拡大予防のため延期
★鬼の伝説についての共有がスタート‼ 高千穂に限らず、全国にある「鬼」伝説の共通点などに興味を持つ★
2020 5.23 オンラインお茶会「秘められた祈り~ヒメとヒコ」
2020 6.21 夏至の日のお話会&ライブ「秘められた祈り~月と鬼と~」
2020 9.22 女出る会☆めでる会「女性の手仕事の解放」
2020 12.22 冬至おこもり「昔を知る」~KAMIASOBI構想のスタート~
★2021年~23年をかけて神楽のような33番付の祭りを鬼と呼ばれる先人に奉納し昇華しよう★
2021 3.20.21 祭り舞台「KAMIASOBI~月と鬼と~」11番付奉納
2021 10月より「KAMIASOBI 2022」の稽古がスタート‼
2022 3.20.21 祭り舞台「KAMIASOBI 2022」27番付まで更新し奉納
資金の使い道
神庭(舞台)つくり
音響・照明設営
人件費
龍布50m(野染め用)と塗装道具購入
映像製作
パンフ・チラシ製作
稽古場賃貸および設備賃貸
送迎車レンタル
リターン制作
クラウドファンディング手数料
リターンについて
★リターン
2000円~『ただただ応援』 お礼のメッセージとパンフレットへの名前入れ
3000円 【祈りのステッカー】ステッカー・お礼のメッセージ・パンフレットへの名前入れ
3000円 春分当日の神遊料(参加費)・パンフレットへの名前入れ・お礼のメール
5000円 【踊る手ぬぐい】KAMIASOBI手ぬぐい・お礼のメッセージ・パンフレットへの名前入れ
10000円 【巫女舞稽古60分】オンライン舞稽古(60分)・お礼のメッセージ・パンフレットへの名前入れ
15000円 【巫女舞稽古90分】高千穂での舞稽古(90分)・お礼のメッセージ・パンフレットへの名前入れ
20000円 【麻守り鈴】 手作り麻守り鈴2個・お礼のメッセージ・パンフレットへの名前入れ
20000円 【ハレハレ実りの詰め合わせ】 ハレハレ季節の実り・お礼のメッセージ・パンフレットへの名前入れ
30000円 高千穂「鬼八」にまつわる案内・お礼のメッセージ・パンフレットへの名前入れ
50000円 【高千穂を色で楽しむ】 高千穂自生茜や紫根で染めたスカーフ・パンフレットへの名前入れ
70000円 【茜染め体験】 風天舎ハレハレにて日本茜染め体験・お礼のメッセージ・パンフレットへの名前入れ
70000円 【梓弓】 神楽具として手作りした梓弓・お礼のメッセージ・パンフレットへの名前入れ
100000円 【龍も住む風天舎ハレハレ宿泊と鬼八ガイド】一泊2日宿泊時の料金支払い時に利用できるクーポンと高千穂「鬼八」にまつわるご案内・お礼のメッセージ・パンフレットへの名前入れ
300000円 【舞奉納で氣ハレハレ】・お礼のメッセージ・パンフレットへの名前入れ 神遊kamiyuuが、あなたの土地、あなたへの舞を創作奉納します
最後に
神話の郷 高千穂で、【鬼にまつわる祭り舞台】そして【男女共に神遊ぶ祭り舞台】という奇想天外な祭りは初めての試みだと思います! けれど時代が変わろうとしている今、祭りも新しい視点を持って【興していく】ということをしっかり自信をもって形にしてゆきます。盛大にそしてエネルギッシュに【KAMIASOBI】を完結させますので、どうぞぜひ皆様のお力をお貸しください。
《募集方式について》
本プロジェクトはAll-In方式で実施します。目標金額にかかわらず、2023/1/31 23:59までに集まった金額がファンディングされます。
最新の活動報告
もっと見る祭り舞台★春分タカチホKAMIASOBI 終演のごあいさつ
2023/04/04 22:27こちらの活動報告は支援者限定の公開です。
「心を整える」
2023/01/27 22:45旧暦新年の22日、KAMIASOBIの神庭(舞台)となる竹の切り出しを皆で行いました。集まった有志は子供2人含めて総勢16名、九州各地から駆け付けて来て下さいました。その日の朝に近くの天神様で神遊(kamiyuu)が自ら汲んできた新年の若水を皆に振る舞い、切り出し作業の安全を祈願致しました。気も引き締まったところで、竹の切り出し作業開始簡単な段取りを済まし、それぞれが出来る持ち場へと自然と分かれ、竹を刈り枝を落として、上から下へと運ぶの繰り返しそもそもなぜ大変な作業にも関わらず竹を使うのかと言うと、竹は穢れや不浄を防ぐ為に斎み(避ける)清めるという意味があります。神楽でも神を迎え入れる時に、神庭が清浄である事として、舞台の四方に青竹を立て、しめ縄を張り四手を垂らします足元が悪い中にありながらも、皆黙々と作業に打ち込み、いつの間にか子供もお手伝い♪朝は青空が見えていたはずが、雨がポツポツと降り出し、ちょうどそのタイミングで目標の50本切り出し完了!良いチームワークが取れてあっという間の作業時間でした。クラウドファンディング終了(1/31)まであと4日!そしてKAMIASOBI本番まで、あと51日、残りの時間をこうやって一つ一つ味わいながら、心を整えて本番を迎えたいと思います。 もっと見る
「見えるものと見えないものとが融け合う時間」
2023/01/24 22:14大寒の前日にあたる19日に、返礼品となるお味噌を舞人の皆で仕込ませて頂きました。大豆は高千穂で昔から育てられてきた貴重な在来品種の麻尻大豆※栽培期間中、農薬は使用していません。そして糀は舞人の一人であり、発酵クリエイターのIちゃんが育まれたものを霧島から。皆で目を閉じ、心を整え、Iちゃんの言葉に静かに耳を傾ける。”大豆の一粒ひとつぶが自分自身糀の一粒ひとつぶが自分自身です”そして優しく触れていく。大きな立派な丸いざるに、まるで砂曼荼羅のように糀・塩・大豆を並べ、芳しい香りの中で、女性・男性・若者・子ども、皆の手で混ざり融合し、いっぱい笑って、時に神聖な場へと変わる。これから祭りの舞台となって行く田んぼを見ながら、春分の日に思いを馳せる。味噌作りのように、「見えるものと見えないものとの融け合う時間」が私たちの暮らしの中にたくさんあり、それらが醸して「祭り」となるその日が来るのが待ち遠しい(本文 Y) もっと見る
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