こんにちは! 「山田耕筰ピアノ音楽プロジェクト」実行委員長の山中です。夏が急に到来して猛暑が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか? 多くの皆様にご支援頂き、誠にありがとうございます。製作は順調に進んでおりまして、まもなく、CDの完成をご報告できるかと思います。
さて、そんな中、左手のピアニストの智内威雄さんより、以下のメッセージを頂戴いたしましたので、ご紹介させて頂きます。智内さんは、NHKのETV特集「左手のピアニスト~もう一つのピアノレッスン」、BS1スペシャル「私は左手のピアニスト〜希望の響き 世界初のコンクール〜」でも採り上げられ、館野 泉さんと並んで最も著名な左手のピアニストとして精力的に活動されています。実は、私山中も以前、共同プロジェクトにお声がけ頂いたことがありまして、「左手のためのオールバッハプログラム(おそらく世界初)」の企画、編曲で関わらせて頂いたことがありました。智内さんならではの格調高い含蓄あるメッセージを頂き、本プロジェクトの歴史的意義を改めて再認識させられました。是非、ご一読ください!
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我々日本人音楽家が欧米で勉強をすると「何故日本人が西洋音楽を学んでいるのか」、「何故日本人が西洋音楽を演奏をするのか」という悩みがついて回ります。
そこには「この分野には一生涯かけるだけの価値あるから」という答えがあるのですが、それをうまく説明できないんです。その素晴らしい音楽分野と自分のアイデンティティを、どのように同化させるかという葛藤であり揺らぎがあります。
近代の芸術・音楽は、西洋が東洋に近づき、東洋が西洋に近づいた双方向の交流に始まります。しかし次第に各国が日常を奪い合うという負の感情がもたげる時代へと移り変わっていきます。その中での表現活動には様々な側面があり多種多様な音楽が生まれたことでしょう。
彼の足跡を辿ることは、東洋から見た西洋であり、日本人がたどる西洋音楽を発見することに繋がります。日本人音楽家の偉大なる先人の音に耳をすます機会がこうして与えられたことに喜びを感じます。
彼が生きた時代の空気感を今に伝える大切な役割をすることでしょう。このプロジェクトの更なる発展に期待をしています。
左手のピアニスト・智内威雄