東京サドベリースクール(TSS)の教育の柱は2つあります。
1.自分の人生を生きる力
生徒が自分を知り、育て、人生を自分でつくっていく力を育てやすいこと
2.社会で生きる力
生徒が他者と尊重し合い、社会で生きる力を育てやすいこと
そのため、2.の「社会で生きる力」を育てやすいよう、学校という自分たちのコミュニティーを様々な話し合いで実際につくっていく経験ができます。
そしてそのすべてに、生徒も1票という権利を持っているのです。これほどの主権者教育はありません。実際に、生徒にも経営権や人事権すらあるのですから。
なぜ、学校運営のあらゆることに生徒も1票を持って運営しているのかはこちらもご覧ください。
(民主主義を経験する学校①)オフィシャルだけど最も身近な話し合い、朝夕ミーティング
さてそのTSSの中でも、スクールミーティングは特別な位置にある話し合いの場です。こちらでは、まさに学校に関わる様々な重大事項なことを主権者として決めています。
それは大きく分けると2つの権利です。立法権と人事権です。
法律(ルール)をつくる権利がある(立法権)
例えば国でいえば法律、一般的な学校でいえば校則にあたる、TSSのルールも、このスクールミーティングで正式なものとなります。
ある社会で少数がないがしろにされずにベンサムのいう最大多数の最大幸福を図るには、また誰か1人による独裁で他の人たちが不対等な立場とならないためには、法による支配が適切であると考えています。
ただ、完璧な人がいないように、完璧な法もありません。そして時代や環境が変わればその社会での法も変える必要があります。
自分たちの社会のルールや法律は、自分たちでより良く作っていく。今でいうところのルールに従うだけではなく、ルールを作っていく側でもある『ルールメイカー』になっていく。そういうことを自分たちの所属する学校を通じて、子ども時代から生身で経験できるようにしているのです。
自分たちの社会のために働いてくれる人を選ぶ(人事権)
また、次年度のスタッフ雇用について話し合いが終わると、その内容を正式なものに決定する場が開かれます。これも、自分たちの町や国で働いてもらう人を選ぶために、大人が議員を選ぶことと同じです。
スタッフに立候補する人たちは、「皆の為に働きたい!」としかるべき時に、しかるべき形で立候補する必要があります。そして様々なステップを経て、最終的にスタッフとなるのです。ですので、いつの間にか学校の先生が決まっていたというようなことはありません。
全てが公けの場で、履歴書も給与も公開されて、生徒も1票を持った選考をクリアして、スタッフはスクールで働くことができるのです。それだけ生徒には、自分たちの所属する社会に対して権利と責任があります。
スクールミーティングでは、他にも様々なことを決めています。
ただ大事なこととして、
ここまで生徒に権利を持たせる教育にしているのは、生徒自身を信頼し、
好きなことや自分の人生を生きながらも、社会の一員としてもよりよく生きてもらえたらという想いからなのです。
次回は、国の司法にあたる『ルールミーティング』をご紹介します。ルール違反があったり、うかがわしい場合、このルールミーティングで審議します。
サドベリースクール生みの親であるダニエル・グリーンバーグさんは生前、
「司法委員会はサドベリーの心臓だ(※)」
とまで言っていました。
※アメリカではルールミーティングを司法委員会と呼んでいます
東京サドベリースクールでもルールミーティングの在り方を、
「公平中立の場であり、教育の場であり、厳正な場である」
とまで定義づけているほど、重要なものとして扱っています。
そのルールミーティングを、次回ご紹介します。
(民主主義を経験する学校①)オフィシャルだけど最も身近な話し合い、朝夕ミーティング