2023/02/23 15:04

公演関係者のからのコメントや、マームとジプシーがお世話になっている方々より応援コメントを続々といただいております。初めてマームとジプシーを知ってくださった方もいらっしゃると思いますので、コメントをいただいた方との関係性と共に活動報告にも日々紹介させていただきます。
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原田郁子(「cocoon」音楽担当)

2012年、清澄白河の会場で、
「マームと誰かさん 今日マチ子」を観た後に、
藤田くんから、原作の漫画「cocoon」を手渡されました。

「サンが海に出たところで、郁子さんの声が鳴っていてほしい」

初演から10年。
沖縄へ通い、歩き、耳をすませて、
藤田くん、クルーのみんなと、音について、作品について、考えてきました。

豊かな自然、海、風、陽射し、花々、気配、
生命力あふれる場所で、どうして、、?

じっと耳をかたむけることは、
見ること、知ること、やがて、じぶんに耳をかたむけることでもあって、

ど う 、い き る ?

この作品に関わったじかん、
舞台に立つ、彼女の、彼の姿に、
たくさんのことを教えてもらったと思います。

ラストのエンドロールで流れる合唱は、
ひめゆり学徒のみなさんが通っていた学校があった場所、
栄町市場にあるピースホールの屋上で、2022年6月18日、解散命令の日に、録音させてもらった歌です。

クロスフェードして聞こえてくる喧騒は、
その晩の、市場で働く人々、飲みに、食べにきたお客さんたちの活気。現在の営み、息遣い。
そこに私たちの願いをこめました。

人と人が集まってこそ生まれる熱量で、全身で伝えあう舞台とは、
やはり体験なのだと思います。

これまで、ずっと生の表現にこだわってきたマームとジプシーが、
初めてクラウドファンディングを試みて、去年の作品をふたつ、映像化することに決めました。
ほんとうなら、cocoon の公演のあとに Light house の公演がはじまるはずでしたが、
パンデミックの影響で、順番が逆になり、ようやく幕があけてからも、
どちらの作品も公演を中止せざるをえないということが起きました。

ありえなかったことが、起きる。
それがこの3年だったとするならば、変化の中で、自分たちもまた変わっていく時なんじゃないか。
その気持ちにエールを送りたい。

2/26まで
のこりわずがですが、
ぜひページをご覧になってみてください。

そして、これまで支援してくださった方々に、感謝します。
みなさんの力が追い風となって、マームとジプシーが次の一歩を踏み出せますように。

「劇場を出てからが、一人一人の cocoon なのかもしれないね」
いつか藤田くんとそう話した。

「だれも、しにたくなんて、なかった」
サンの声がする。

「いっせーのーせ」
みんなの声がする。

であってもらえたら、
うれしいです。

(((((((((( cocoon ))))))))))


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原田郁子さんは、2013年の初演時から「cocoon」の音楽を担当をしてくださっています。
「cocoon」に郁子さんの音や音楽があることで、舞台上の言葉や動きに色がつき、空間の広がりが生まれるだけでなく、キャスト陣はこの舞台を最後まで走り切ることができました。
沖縄の美しい景色を見る姿からは、かつて少女だった頃の郁子さんの姿が思い浮かび、音楽が生まれる瞬間には、チームを先導して引っ張ってくださる。
郁子さんの存在自体が、教室で、ガマの中で、歌われていた歌のように私たちの精神的な支えでもありました。

10年間取り組んできた沖縄との時間、その地を踏むたびに、思いはつのり、顔を合わせて何ができるかを郁子さんと話し合ってきました。
舞台上だけでは伝わりきらないかもしれませんが、「cocoon」の作業では、日、時間、場所ということをとても意識します。それはリサーチの他に、私たちにとって、あのときの時間に近づくための一種の儀式のようなものなのかもしれません。
いただいたコメントにもあるように、エンドロールの最後に聞こえてくる喧騒は、現在の那覇市内や栄町市場の音を郁子さんとサウンドエンジニアの東岳志さんが録音してくださったものです。
過去から現在に続くここまでの時間を思い、そしてこの舞台を目撃した多くの方が、劇場を出てその喧騒の中へ戻っていくことに希望を抱きたいと思いました。

郁子さんとは、2018年から子どもと楽しむ舞台(「めにみえない みみにしたい」「かがみ まど とびら」)に取り組んでいます。どうしたら、劇場に来てくれた子どもたちに楽しんで、感じてもらえるか、それだけをとことん追求した、私たちにとっても幸せな時間です。
しかし、そこでも未来のことを思ったときに、“戦争”について考えないことはありません。

以前、郁子さんは、音は空気であり、それが鳴って聞こえてくるという話をしてくださいました。
今を鳴らすことは、言葉でも歌でも「これまで」を吸って、吐くということで、その循環が「これから」を継いでいくのだと。

どうかこの先の時間を生きる人たちが、郁子さんの優しい声を安堵の地で聞き続けることができますように。私たちがその時間を継いでいけますように。



※こちらもぜひご覧ください。

原田郁子×藤田貴大 cocoon 2022.5 対談 前半 後半

原田郁子×藤田貴大 cocoon 2022.7 対談 前半 後半