◆はじめに
自己利益が優先され競争が激化する 、混沌としつつある現代社会。コロナ後の先行きの展望は益々不安視されています。そんな中、中欧で12年前に芽吹いた「公共善エコノミー」という新しい運動が、様々な国や地域で開花しようとしています。
リーマンショックのあとに起こった新たな経済システムを求める運動から生まれた「公共善エコノミー」ですが、その中核は日常の人々の暮らしを支える中小企業です。先行きが不透明な現代に、「人間尊厳」「連帯と正義」「エコロジカルな持続可能性」「透明性と民主的決議」の4つの価値観をベースに、公共の幸福と福祉を促進する新たな経済社会の可能性、あり方を提起しています。
そこで、ドイツ語で出版されている同書を日本語翻訳し、日本国内でも出版を実現し、人間を大切にし共に連帯協力し合うことで可能な持続間能な社会の実現に結びつけていきたいと思い、今回のプロジェクトを計画しました。
◆きっかけと経緯
私たちは、2014年からコロナ禍の始まる前の2020年秋まで7回にわたり、ドイツ、スイス、オーストリアなどを訪問し、次代に必要な生き方や考え方の転換はどうあるべきか、考えてきました。欧州では地域内での食やエネルギーなどの地域内で資源の循環をしていくことは当然のことであり、市民生活にも企業のあり方の根底にも、そうした考え方が根付いていることを体感してきました。日本で実現するのは10年後か20年後かと考えた日々でもありました。この間、現地で専門コーディネート、翻訳のお力添えをいただいてきたのが、ドイツ在住ジャーナリストの池田憲昭さんでした。
長くコロナ禍が続き、世界での争いの激化、物価高、円安と益々厳しくなる先行きの中で、池田さんから欧州を中心に世界各地で「公共善エコノミー」という新たな経済システムが実践され、大きなうねりになりつつあることを知りました。また、これまで欧州で私たちが見てきたコンセプトや事例の根底に「公共善エコノミー」 と類似の思想があることを知り、今こそ日本での翻訳出版が必要と考えました。
◆このプロジェクトで実現したいこと
「公共善エコノミー」(Gemeinwohlökonomie)』クリスティアン・フェルバー(Christian Felber)著(2018)の翻訳出版を実現する中で、著作者や翻訳者から直接オンラインで講演の機会を得て、プロジェクト応援者との意見交換の場を実現したいと思っています。
またそのことで、持続可能な社会の実現へ向け、一人ひとりが自ら新たな視点を持ち、何か一つでも一歩行動に踏み出せることを期待しています。
◆著者、翻訳者紹介と翻訳者からの書籍の紹介
著者 クリスティアン・フェルバー(Christian Felber)氏
1972年、ザルツブルク生まれ。ウイーン大学とマドリッド大学で、ロマンス系文献学、政治学、心理学、社会学を学ぶ。Attacオーストリアの設立メンバー(2000年〜)、公共善エコノミー運動の創始者(2010年〜)、IASSポツダムのシニアフェロー(2018年〜)、ウイン経済大学、グラーツ大学など複数の大学で客員講師、作家(1998年〜)、ダンスパフォーマー(2004年〜)
翻訳者 池田憲昭氏
1972年、長崎県佐世保市生まれ。岩手大学でドイツ言語文化、ドイツ・フライブルク大学で森林環境学を学ぶ。フライブルク近郊のヴァルトキルヒ市を拠点に、環境分野のコンサルタント、異文化コミュニケーター、文筆家として、日独をつなぐ仕事をしています。
以下は池田さんからの書籍の導入部分のご紹介文です。
この本は、次の文章から始まる。
「奇妙だ。本来であれば、私たちの共同生活の《北極星》、すなわち、共同生活における指針となるものに価値が付与されるべきなのに、今日の経済においては、私たちの日常的な人間関係において大切なものとまったく異なる価値が重んじられている。交友関係や日常的な人同士の交流においては、信頼、誠実、尊重、リスペクト(敬意)、傾聴、思いやり、協力、相互援助、分かち合い、といった人間的な価値が尊ばれ、実践されるとき、私たちは幸福感を得る。「自由」な市場経済はしかし、利益追求と競争というシステム上のルールに基づいて動いている。これは、エゴ、欲望、貪欲、妬み、傍若無人さ、無責任を刺激し、促進する。人間的な共同生活と経済活動の間にあるこの大きな矛盾は、複合的もしくは多義的な現代社会の単なる上辺の欠点ではない。文化的に深く食い込むクサビである。私たちを内部から分断する。個人的にも、社会的にも。」
『公共善エコノミー(Gemeinwohlökonomie)』は、学者、作家、政治活動家、ダンサーという多面的な顔を持つオーストリア・ウィーン在住のクリスティアン・フェルバー(Christian Felber)が、同名の本によって2010年に提唱した、公共の幸福に寄与する「倫理的な市場経済のコンセプト」である。著書は2018年には改訂版の文庫本も出版されるロングセラーになり、12か国語に翻訳されている。
資本主義による市場経済システムは、人間が生物学的に不得意な「競争」を原動力にして「利潤」を獲得することを目指すものである。それによって深刻な環境問題や社会問題が引き起こされている。「尊厳」と「信頼」という人間社会の根源的な価値をベースにしたフェルバーの公共善エコノミーは、人間の得意な「協力」を原動力として、万人が幸福な持続可能な社会の構築を目指す、オルタナティな市場経済のコンセプトである。ドイツの著名な環境ジャーナリストのフランツ・アルトは、公共善エコノミーのことを「社会主義と資本主義の間に位置する実用的な第3の道」と評している。
公共善エコノミーは、単なる提言や問題提起ではなく、「公共善決算」という企業や団体の経営評価システムを備えた具体的で実用的なものである。ヨーロッパを中心に世界中で、その実践が広がっている。現在、2000以上の企業・団体が「公共善エコノミー」のコンセプトに賛同していて、約500企業・団体が「公共善決算」を採用している。自治体レベルでの参加と実践も増えていて、市民を巻き込む包括的な運動として展開している。また、2014年に設立された公共善協同組合は、既存の銀行に呼びかけ、公共善バンキングの導入を推進していて、現在、700以上の公共善口座(預金総額は約22億円)が複数の銀行で開設・運営されている。
公共善エコノミーはSDGsとも深く共鳴していて、SDGsの17目標を達成するための有力なツールにもなっている。
◆製本・出版予定者紹介
有限会社鉱脈社 http://komyakusha.jp/
経営理念
発掘・継承・創造―《いのち》をうけ継ぎ・育み・うけ渡そう―
行動指針
① いのちを大切にする会社をつくります。
② キビキビした活力のある会社をつくります。
③ 品質を高め、新たな分野と領域に挑戦します。
④ 明るく美しい職場をつくります。
⑤ 豊かで幸せな生活を送れる社会人をめざします。
⑥ 財政基盤を確立し、足腰の強い会社をつくります。
◆資金の使い道
クラウドファンディングによって集まった資金はCAMPFIRE手数料を除き、以下の用途に使用させていただきます。
●原書からの翻訳費用、支援者の皆様への書籍の配送の費用
原書:Gemeinwohlökonomie
作者:Christian Felber クリスティアン・フェルバー
単行本の初版: 2010年 出版社:Deutike im Paul Zsolnay Verlag
文庫本(改訂版): 2018年 出版社:Piper Verlag 約230ページ(1標準ページ:1800字)
※書籍の配送については出版社から直接お届けします。
◆実施スケジュール
8月8日・クラウドファンディング募集開始
9月初旬・翻訳文章校正
9月18日・クラウドファンディング募集締め切り
10月初旬・校了、製本開始
10月下旬~11月・翻訳者によるオンライン(Zoom)解説イベントの開催
12月中旬以降・書籍完成、出版、書籍配送開始
12月中旬以降 ~1月・著者と翻訳者によるオンライン(Zoom)トークイベント の開催
<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
◆本プロジェクトの取り組み主体
■新事業サポートセンター
https://www.facebook.com/sinjigyo
これまで持続可能な社会・地域づくり、認知症の世界の歩き方ワークショップ等を約220回開催。(2030SDGs、SDGs de 地方創生、SDGs Outside in、SDGs de未来構想、認知症の世界の歩き方 公認ファシリテーター)中小企業のエネルギーシフト(ヴェンデ)、地域資源循環等による地域の自立の実現へ向けた様々な取り組みを行っています。ドイツやスイスとをオンラインでつないだ、WEBセミナーや講演会等も実施しています。
本プロジェクトは有限会社鉱脈社が行う 『公共善エコノミー(Gemeinwohlökonomie)』の翻訳本の出版事業にあたり、新事業サポートセンターが『公共善エコノミー(Gemeinwohlökonomie)』 著者Christian Felber クリスティアン・フェルバーと翻訳者池田憲昭氏とをつなぎ、出版の実現のためにクラウドファンディングを企画するものです。
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