本日は手縫いのtsutsucoがどのように作られているか、丈夫にするためにどのような工夫をしているかについてご紹介します!
手縫いは製作に手間がかかる分価格も上がりますが、手縫い独特の風合いがあり、丈夫で長く使うことができます。
手縫いの革製品を手にされたことがない方も多いと思いますので、手縫いの良さを少しでもお伝えできればうれしいです。
こちらの動画は作業風景の一部を2倍速で撮影したものです。ぜひご覧ください!
まずは型紙どおり革を裁断します。
tsutsucoは金型で抜くのではなく、全て手断ちで裁断しています。
手断ちの良さは、革の断面を直角に美しく裁断できることです。
型で抜くとどうしても革の断面が斜めになってしまうことがありますが、手断ちは革に対してまっすぐ直角に刃を入れることができるため、革の断面を美しく直角にすることができます。
もちろん手断ちなら誰でもこのように裁断できるわけではなく、熟練の技があってこそです。
革の断面が直角にならないと、革と革を貼り合わせた時にぴったり合わず、断面がガタガタになってしまいます。
美しく直角に裁断することで、貼り合わせた部分の断面がぴったりと合うように作っています。
次に、菱目打ちという道具で革を縫うための穴をあけます。
菱目打ちは、名前の通り穴が菱形になりますので、縫い目が波縫いのような形状ではなく、斜めの線が連なったような美しいステッチになるのが特徴です。
こちらも全て手作業で、菱目打ちをハンマーで革に打ち込んでいきます。
縫い穴が少しでも歪んでしまうと縫い目も歪んでしまうので、まっすぐで均一な縫い穴は美しい縫い目になるための必須条件です。
もちろん縫い穴を綺麗にあけるのも、熟練の技が必要です。
写真の革の表面が一部白くなっているところは、接着するときにそのままだと剝がれやすいため、接着剤の付きを良くするために表面を荒らしています。
一部をコバ処理しました。
コバとは革を手断ちした断面部分の事を指します。
コバ処理を行ってない製品もありますが、布でいえばはさみで裁断した後そのまま製品を作る
といった事です。ほつれていくのは予想ができますよね?
革は繊維が複雑に絡まっているため、すぐにほつれることはありませんが、ダメージが溜まっていくと、コバが黒ずんで汚く見えたり、ひび割れなどが起こります。
コバの処理は製品の寿命に大きくかかわるので、長くお使いいただけるように綺麗に処理しています。
手縫い用の糸を準備しています。
糸に蝋をしっかりと塗り込み、熱を加えて蝋を糸にしみこませます。
蝋を塗るのは、乾燥や擦れからくる糸切れを防ぐためです。また、万が一糸が切れてしまっても、糸が摩擦で抜けにくくなるため、ほつれにくい丈夫な製品となります。
すべて縫い上げた製品です。
革の手縫いは布の手縫いとは違い、糸の両端に針を付けて、2本の針で糸と糸を革の中でクロスさせて縫っていきます。
蝋をしみこませた糸が革の中でクロスしているので、万が一糸が切れてしまっても糸同士が摩擦でくっつき、糸が抜けてしまうことがありません。
また、縫った後に縫い目を革の表面に押し込むことで、糸が擦れて切れるのを防いでいます。
手縫いの様子は ↑のYouTube動画をご覧下さい。
この後は縫った部分のコバを処理すれば完成となります。
完成した製品です。
もしあれば初期不良はもちろんのこと、長年お使いいただいた製品の修理も喜んでお承りします。
手縫いで作られた製品は最近では絶滅危惧になってしまっていますが、手縫いのtsutsucoには丈夫で長持ちするような工夫をいくつも盛り込んでいます。
手縫いの製品をお使い頂いたことがないお客様には、ぜひ一度手に取っていただき、お試しいただけたらと思います。
OUGI Leathers
後藤優太