いつも大変お世話になっております、NPO法人アクセプト・インターナショナルソマリア緊急支援チームです。日頃からのご支援に心から感謝申し上げます。8月下旬より展開している本プロジェクトでは、主に以下の2つの活動を実施しています。①最も取り残されている方々への緊急支援(食料、水、医薬品、情報など)②若者が暴力に頼らずに生きていく支援の強化今回は特に②の活動について進捗をお伝えいたします。前回の新着情報でもお伝えした通り、ソマリアばかりが何度も飢饉に直面する背景には、同国におけるテロ・紛争の課題があります。実際、隣国のエチオピアやケニアでも同じように干ばつは起きていますが、飢饉にまでは至っていません。違いは、大規模な紛争が発生しているかどうかです。人々が大干ばつによってこれまで以上に苦しい状況に置かれている危機の中だからこそ、新たに武器を取ってしまう人々を減らすとともに、いわゆるテロ組織から人々が抜け出して人生をやり直すための支援がこれまで以上に求められています。そのための取り組みとして、私たちは本プロジェクトの実施場所であるソマリア中部にて、州政府と協働していわゆるテロ組織からの投降を呼びかけるリーフレットを配布するとともに、フリーダイヤルの電話相談窓口を設置しています。この危機の中でこうした支援を拡大することにより、これまで累計で328名の若者が武器を置くことを実現することができました。新たにテロ組織から投降した元戦闘員テロ組織の支配領域から投降に関する相談の電話がかかってきてから安全な場所で彼らを保護するまでの道のりは険しく、投降は文字通り命懸けです。しかし、組織の中で苦しんでいる若者たちが武器を置ける環境を創ることで、紛争解決、ひいては飢饉の再来防止に大きく貢献できることから、スタッフ一丸となってさまざまな側面から彼らの投降をサポートしています。また、私たちが州政府と協働して運営している投降兵リハビリ施設においては、基礎教育やケアカウンセリングに加え、イスラーム教の再教育ゼミや職業訓練を強化して提供しています。こうした取り組みは現地でも高い評価を受けており、10月13日にはソマリアの国営放送にて取り上げられました。ソマリア中部の投降兵リハビリ施設にて提供している大工の職業訓練本リハビリ施設は、投降兵の受け入れだけでなく、地域コミュニティとの接合点としての役割も果たしており、地域の有力者である長老たちや若者の代表者たちなども交えたセッションなども実施しています。こうした取り組みを通じて、この危機の中で人々が武器を取らないように別の選択肢があることを働きかけるとともに、元テロ組織メンバーと地域コミュニティとの和解醸成も狙いとしています。このように緊急対応と紛争解決の両輪を回していくことで、複合的に問題解決に臨んでいく所存です。また、干ばつの影響は今後も続くことが見込まれるため、追加施策として、対象地域にて国内避難民として生活している40万人ほどの子どもや若者たちへの職業訓練・基礎教育支援を展開することも予定しています。寄付キャンペーン終了まで残り16日。引き続き皆様のご協力を賜れましたら大変幸甚です。
紛争解決 の付いた活動報告
いつも大変お世話になっております、NPO法人アクセプト・インターナショナルソマリア緊急支援チームです。これまでのご支援に心から感謝申し上げます。現在、最も取り残されている人々へのリーチをさらに広げるべく、チーム一丸となって引き続き業務に励んでおります。これまでの期間で合計約1万人の方々に対して、食糧、水、医薬品を届けるとともに、破傷風やコレラなどの感染症予防や近隣の医療機関に関する啓発プログラムを実施することができました。また同時に、若者が暴力に頼らずに生きていく包括的な支援も強化しています。今回は、干ばつへの緊急対応に加え、なぜテロ・紛争解決に向けた取り組みも実施する必要があるのかをご説明します。現在、様々な援助機関が国際社会にソマリアへの支援を呼びかけていますが、残念ながらこのままでは12月までに飢饉(famine)が発生するとの予測が9月5日に正式に発表されました。前回の飢饉が発生した2011年には、観測史上最大となる約26万人以上が亡くなっており、今回は約30万人以上の命が危機に直面しています。すでに事態は深刻で、UNICEFによれば今年1月から7月にかけて、約730人の子どもが栄養治療センターで死亡しており、約150万人の子どもたちが急性栄養失調に陥るとの予測もあります。私たちが支援対象とする国内避難民(IDP)キャンプの様子近年この飢饉が宣言されたのは、2017年の南スーダン、2011年のソマリアでした。約10年ぶり2度目の飢饉に見舞われようとしているソマリアですが、同じように干ばつが発生したとしても、飢饉に至らない国も多数あります。では、なぜソマリアばかりがこうした事態に直面するのでしょうか。その重要な要因の一つが、ソマリアが1980年代から直面するテロ・紛争の課題です。実際、テロ組織による攻撃や支配領域の拡大によって、国家としての脆弱性が高まることや、彼らの影響で治安が悪化し、支援が思うように届けられなかったり、支援物資が略奪されてしまったりすることなども相まって、救えるはずの命が失われています。だからこそ、緊急対応のみならず、テロ・紛争解決に向けた取り組みも同時に実施することが必要であり、私たちの存在意義がまさにここにあるのだと考えています。テロ組織からの投降兵リハビリ施設でのイスラーム教再教育の様子こうした信念を胸に、これまで中心的に支援を届けてきた10箇所の国内避難民(IDP)キャンプに加え、新たに3つのキャンプを追加して必要な食糧および水などを届けるべく尽力していきます。また、中部ソマリアを中心に若者たちが武器を置き、人生をやり直す支援をさらに強化してまいります。この危機に際して、どうか皆様のご協力をよろしくお願いいたします。