私は、田中稔と言います。現在66歳です。
私は、旧美杉村役場、合併後の津市役所を定年退職し、今も市職員として雇用していただいています。
当家は国登録有形文化財に登録されています。
文化財保護法に基づく国登録有形文化財の登録評価は次のとおりです。
今回、茅葺き屋根の修復を、多くの皆さんのご支援で行いたいと思い、
クラウドファンディングを行うことを決めました。
その1:茅葺き屋根の修復を多くの皆さんのご支援で行いたい
約50年前、多感な中学生時代には、先祖から受け継いできたこの茅葺き屋根の古民家が、貧乏ったらしくて、隣近所のような瓦屋根やトタン屋根をうらやましく思っていました。数軒あった我が家同様の茅葺き屋根はトタンで覆われ、綺麗に見えました。
昭和52年、屋根の劣化が激しくなり雨漏りも目立ち始める中、父は地元で調達できる茅と職人さんと、作業を手伝ってくれる親戚や近所の人がいたから、当時としては費用が掛からない茅葺きの修復をしました。
私が結婚して数年で父が亡くなり、私は将来の生活設計として交通の便利な市街地に新居を建てました。しかし、子供に恵まれず夫婦二人の生活が続きました。
そんな中、
①春、数万人の花見客でにぎわう三多気の桜まつり、我が家の縁側には
「懐かしい屋根や」「おばあちゃんの家も茅葺きやった」「なんかホッとする」
と 言ってくださる方がお越しになる。
②水田に映り込む桜並木と茅葺き屋根の写真を撮りに、
全国各地から高価なカメラを担いだアマチュアカメラマンの方々がお越しになる。
③雑誌の花見特集やガイドブック、新聞記事にするプロの方もお越しになる。
三多気の桜の風景景観を愛してくださる方が多くいらっしゃることに気づき、
父が葺き替えをしてから20年以上経過した平成10年に
劣化が進む茅葺き屋根の葺き替えを決心しました。
平成10年(父が葺き替えをしてから23年後)、京都府の現在南丹市の茅葺き民家の里がある美山町を訪れ、茅葺き職人さんを探し、総葺き替えをお願いしました。ありがたいことに、京都から三重までの出張仕事をお引き受けくださいました。
当時の経費は、約800万円。すでに市街地に建てた家の住宅ローンに加え、茅葺き屋根修復経費を上乗せし、まかないました。それからは、劣化している部分の一部修理もしてきました。
私が、平成10年に葺き替えをして間もなく25年をむかえようとするなか、やはり茅葺屋根の劣化は進み、雨漏りをバケツでうける状態です。
平成22年に国登録有形文化財に指定されましたが、
我が家のような個人の所有物、歴史的に無名な建物には公的支援制度はありません。
しかし、今回、津市、三重県、文化庁の審査を経て、文化庁の令和4年度文化資源活用事業(観光拠点整備事業)補助金の対象としていただき、総葺き替えをすることといたしました。
今回は、約1,200万円の経費が掛かりますが、約5割を補助金で、残りを自己負担と支援金でまかないたいと思っています。
今回の茅葺き屋根修復は、大げさですが、生まれ育った三多気地区と千年以上の歴史を持つヤマザクラの未来と、私自身の終活の集大成と思っています。
屋根の修復を通じて、支援者の方々とつながり、三多気の桜の風景がある暮らしを皆様とともに楽しんでいければと思っています。
その2:リターンにより茅葺屋根古民家を長期利用できる権利を譲りたい
私たち夫婦には子供がいないので、茅葺き屋根の行く末も気になるところです。それで、今回のプロジェクトのリターンは、支援者の皆様に茅葺屋根のある古民家である我が家を使用していただく権利を持っていただくことです。
多額のご支援をいただいた方(方々)には、近い将来、我が家をお好きなように使っていただけるよう出来る限り長い期間使用できる権利をお譲りしたいと思っています。
三重県津市美杉町三多気は、紀伊半島の中央部山間部です。
「伊勢と大和の境のさくら 枝は大和に 根は伊勢に」といわれる三重と奈良の県境です。
山奥の農山村ですが、名古屋市、岐阜市、大津市、京都市、大阪市、神戸市、和歌山市、奈良市、関西空港、中部国際空港にも自動車なら3時間以内です。ちなみに、東京からは7時間程度、横浜からは6時間程度かかるようです。
三多気地区は美杉地域の中心にある大洞山(おおぼらやま)の南側の斜面の38戸、57人の集落です。
三多気(みたけ)は山の敬称「御嶽」に由来し、平安時代中期(900年ごろ)に、御嶽山真福院(みたけざん しんぷくいん)を開山した理源大師が参道に桜を植樹したことが、「三多気の桜」の起源といわれています。
伊勢の国司 北畠氏が祈願所として、館からの道筋に桜を植えたため、江戸時代以前から桜の名所と古文書にも書かれているようです。
ヤマザクラの樹齢は100年ほどらしいのですが、幹回り3m級の古木は、約千年前に植えられた桜の枝が幹となり、命が代々受け継がれています。
標高約1,000mの大洞山から望む南側の学能堂山(がくのどうやま)からは、松阪市や奈良県の集落が眺められます。
二つの山に挟まれた国道368号線は、いくつもの常夜灯があり、往時を忍ばせてくれる大和の国と伊勢神宮を結ぶ伊勢本海道です。
また赤目青山国定公園内の東海自然歩道、美杉森林セラピー基地コース、大洞登山などの自然満喫派の方には、我が家がご休憩ポイントになります。
【周辺の観光情報】
西の奈良県。北に伊賀、名張市。南に松阪市。東は津市内の榊原温泉、津の海。それぞれ1時間程度で観光名所に行けます。三多気地区の近くにミツマタの群生地が発見され、桜開花前の3月には多くの方がミツマタの黄金色を楽しみにお越しいただき、気候によってはヤマザクラの開花も同時に楽しめます。
美杉町内の海外からの観光客も多いリゾートホテルとの、三多気での「田舎ツーリズム」の企画も進行中です。
※自動車で三多気から町内唯一のコンビニ(^^)まで15分。郊外型ショッピングセンターまで40分以内。
※津市営の「道の駅 美杉」まで15分, 奈良県御杖村の「道の駅 伊勢本街道 御杖」まで5分。
【三多気の気候】
三重県全体が温暖な気候ですが、桜の開花は4月上~中旬と桜前線の通過はやや遅めです。大洞山斜面の桜並木は、高低差や古木・若木の樹勢の違いもあり2週間ほどの花見が楽しめます。
初夏の風は涼しく、標高500mの集落の真夏はクーラーなしで昼寝ができます。
桜の紅葉は、モミジの美しさには劣るため、現在耕作放棄地にモミジを植樹し、秋の三多気の魅力を高めるため植樹活動をしています。
もっとも寒くなるのは2月で、年に数回の一面雪景色が楽しめます。ただ南斜面なので雪解けが早く、雪だるまを作るほどの残雪があるかどうかです。
【伝統行事】
正月には精進祭(しょうじんまつり)が古くからおこなわれてきましたが、数年前から弓射ち神事の主役となる青少年がいない、祭の当番家の高齢化、独居世帯の増加などの理由に続き、コロナ災禍で中断しています
【三多気の桜まつり】
毎年4月の第2土日は、真福院境内で、桜まつりが行われてきました。
土曜日に「千本搗き」という(10本ほどの)棒で花見客と地元民が、臼の餅をつき、団子にし、翌日曜日にお祓いをして参拝者に振る舞ってきました。が、これも現在、コロナ災禍と地元民の高齢化で中止になっています。
※精進祭も桜まつりも、地区外の人たちや、今回の支援者の方々のご提言やご協力で復活できるのではないかと願っているところです。
【三多気へのアクセス】
※自動車利用の場合
東海・関東方面からは伊勢自動車道を南下。「久居インター」から美杉町三多気まで約60分。
大阪、京都方面からは、名阪道の三重県名張市へ。名張市から約30分。
奈良からは国道369号線を伊勢方面へ。368号線との交差点にある「道の駅 伊勢本街道 御杖」から5分。
※鉄道利用の場合
東海からは、三重県松阪市からのJR名松線。終着駅伊勢奥津駅まで。
花見シーズンは臨時バスが三多気まで出ているが、通常はコミュニティバス。
関西からは、近鉄大阪線。名張駅下車。伊勢奥津駅行きの三重交通バスがあるが本数が極端に少ない。
鉄道利用の場合は、事前に路線バス、コミュニティバスの運行確認が必要です。
※オートバイ、自転車の場合
最近は、春から秋のツーリングが増えています。
JR名松線沿いコース、名張、奈良、松阪の各方面からのコースは、山あり、谷あり、川ありの変化に富み、自動車の交通量も少なく天気が良ければ、最高の一日になります。ちょっとの寄り道・休憩に我が家をお使いください。
・6畳間と4畳間の座敷と、4畳半の寝間と居間。3畳程度の食事間。
・6畳程度の炊事場、冷蔵庫、食器棚、かまどエリア。
・玄関入り口は、4畳程度の土間と入口横に4畳半の洋間。
・風呂は、プロパンガスの湯沸かし器による浴槽とシャワー。
・トイレは、洋式水洗ウォシュレット。外からの出入りも可能。
・水道は飲料水、浴槽用の公共水道と、散水、洗濯用の簡易水道。
・Web環境は、地元ケーブルテレビ会社と契約予定。
・駐車場は、庭に2台。隣家からの借地に10数台の駐車可能。
・農作業用の資材保管倉庫(約30㎡)あり。
・家庭菜園用の農地が、家の南、西、北側にあり。
・冷房器具は扇風機、暖房器具はこたつ、ガスストーブ、石油ストーブ。
・火災、風水害に対する損害保険に加入済。
現在、66歳で子供のいない私は、再び総葺き替えを必しなければならない20年後には、この世にいないことが十分考えられます。
今回は補助金と自己資金と支援金でなんとか修復はできるものと、いや、していこうと思っています。
このプロジェクトを支援してくださる皆さんなら、きっと我が家の未来に関わってくださるのではないかと、期待しています。
1日限りの「点」でもなく、永住の「線」でもなく、これから先10年間に「点線」として体験使用していただく方(方々)なら、近い将来に無償でお譲りしたいとも思っています。
三多気で永住していただくお気持ちの方には、かなりの決断が必要かと思います。しかし、我が家の存在を面白く思ってくださる人たちが、それぞれに利活用をしていただき、共同で管理していただくような方法ができれば、お気軽に三多気での暮らしを満喫いただけるのかなとも思っています。
(費用内訳)
合計 : 390万円
・屋根改修費 : 300万円(総工事費の約25%)
・写真・動画撮影費等委託料 :約30万円
・CAMPFIRE手数料 :約55万円
・リターン経費 :約 5万円
・おもてなし経費 : 0万円
※目標金額を超えた場合は、ご使用者の方に提案いただく室内のリノベーションなどに使わせていただきます。
(スケジュール)
2022年10月 6日 クラウドファンディング開始
2022年12月11日 クラウドファンディング終了
2022年12月中旬 茅葺屋根改修工事開始
2023年 3月中旬 茅葺屋根改修工事完了
当家は、今回のクラウドファンディングを通して、ご支援頂く皆さまに来て頂ける機会を設けたいと考えています。
今後は宿泊も可能にしたいと考えていますので、皆さまとともに「我が家の行く末」を考えて頂ければと思います。
A:当家1日利用権:10,000円 (1組料金です。家族や友達と利用した場合も1万円です。)
リターンの中でも特に、我が家の存在価値を皆さんに確かめていただくため、当家1日利用権を用意しました。
田舎暮らし体験、移住計画のリハーサル、ワーケーション、リフレッシュ、家族旅行、大洞山トレッキングの休憩、多種多様な趣味や第二の故郷など、使い方は自由です。
※例えば10万円ご支援を頂ければ最高10日間ご利用できます。
当家を1日利用して頂く日に希望があれば
①ヤマザクラの苗を提供
(1利用者5本まで:発芽後2~6か月の10~20cm程度の苗)
②三多気及び周辺の案内
③田舎暮らし体験のコーディネート
をさせて頂きます。また、古民家のDIYがご趣味の方には、相談のうえ実践頂いても結構です。
<当家利用に関する注意>
※令和5年4月以降のリターンとなります。
有効期限は設定していませんが最長令和5年4月以降の10年間が目安です。
備考欄に希望日と希望内容を記入ください。固まらない場合は、後日メールにて調整させて頂ければと思います。
※原則日帰りです。
連日利用者の皆様のご要望に応えるために、令和4年9月末現在、住宅民泊事業の届け出を行っています。届け出完了次第、連日利用も可能となるよう調整させて頂ければと思います。
※当家までの交通費(三重県津市美杉町三多気)、周辺への移動、飲食経費は自己負担をお願いします。
※1組最大8名程度です。
※庭先でのバーベキューや荷物置き、一時休憩所としての利用には特に制限していません。
※ヤマザクラの苗は現地での提供ですが、郵送を希望される方は着払いで郵送させて頂きます。近隣であれば無料で配達いたします。
※利用に伴うご質問は随時受け付けさせていただきますので、お気軽にご相談ください。
B:当家1日利用権+屋根葺替体験:15,000円 (先着20名まで)
南丹市美山の葺替工事専門事業者指導のもと、葺替体験(修復作業の見学、撮影、作業手伝い)ができます。
建築関係者あるいは関心のお持ちの方におすすめです。
※当家1日利用に関しては「当家利用に関する注意」をお読みください。
<屋根葺替体験に関する注意>
※原則日帰りですが、期間内、何回でも葺替体験が可能です。
※日程は2023年の1月~2月頃です。備考欄に希望日を記入ください。
希望日が固まらない場合は、後日メールにて調整させて頂ければと思います。
※1回目の昼食は提供します。2回目以降の体験時の昼食は要調整です。
※当家までの交通費(三重県津市美杉町三多気)は自己負担をお願いします。
C:桜満喫プラン:20,000円 (先着10組まで)
桜満開の時期に当家で花見スティ(休憩、持ち込み食事など)をしませんか。
座敷や庭先をお貸しいたします。室内の家電、トイレ、シャワーなどは、ご自由にお使いいただけます。
希望の方には桜(2~3年生:1m程度)を記念植樹しオーナーとなることが出来ます。
※2023年の4月上旬~中旬の約20日間のうち、7日間程度を想定しています。
クラウドファンディング終了後、メールにて日程を送ります。
※1組5人程度とし、1日に2組までを受け入れます。
※当家までの交通費(三重県津市美杉町三多気)、飲食経費は自己負担をお願いします。
リターン頂いた全ての方に
・お礼のお手紙、メールを送らせて頂きます。
・登録有形文化財ヘリテージカード、令和5年度オリジナルポスターカレンダー(A2サイズ)をお渡しさせて頂きます。
※当家に来られた際に手渡しと考えていますが、時期が合わない方には郵送をさせて頂きます。
※先着500名にお渡しさせて頂きます。
現在「三多気の桜景観保全会」を地元住民と桜を愛してくださる県内外の人々とともに立ち上げ、「三多気の風景」が100年後の人々にも楽しんでいただけるように活動しています。
どうぞご支援をよろしくお願いします。
<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
最新の活動報告
もっと見る残り1日となりました。
2022/12/10 21:11クラウドファンディング開始後、多くの人々のお声がけ、応援に感謝の毎日でした。残り1日になりましたが、私の思いを理解をしていただく方が一人でも増えればの24時間になりそうです。 もっと見る
ありがとうございます。残り3日間になりました。
2022/12/08 23:24このプロジェクトも残り3日間となりました。多くの方々のご支援で、130万円以上のご支援をいただきました。また、このプロジェクトや新聞などをご覧いただき、直接の支援申し出もたくさんいただきました。今月末には、茅などの資材が搬入され、1月2月には、葺き替え作業が始まります。春には、三多気の桜の元、新しい茅葺き屋根をご覧いただけるものと思います。ご支援者はもとより、お友達ご友人の皆様とぜひ「三多気の桜」をご覧にお越しください。 もっと見る
私の思いが、全国に発信されました。
2022/12/01 00:00「姿を消す 故郷の茅ぶきの民家」という投稿を、朝日新聞「声」欄で拝読しました。私の茅葺き屋根に対する思い、願いを投稿したところ、11月30日の「声」欄に掲載していただきました。全国紙で「茅ぶき屋根継承へ 支援呼びかけ」をさせていただき、大変ありがたいです。皆様 ぜひご一読ください。 もっと見る
稔さん、次に遊びに行くときは新しい茅葺屋根ですね。楽しみにしてます。