ご挨拶
山形県酒田市にて伝統工芸品『酒田船簞笥(さかたふなだんす)』の製造復興に挑戦している 加藤木工 の 加藤 渉 です。※以後 ”船箪笥” と標記
4代に渡り船箪笥の製造工程のひとつである指物(さしもの)を継承しています。
※指物:釘などを極力使わず、木材板をホゾを用いて組み立てる技術
木工作家 wotak としても活動し、海外展示会への出展なども行っています。
◎ 船箪笥
■船箪笥とは
江戸時代から明治時代にかけ北海道から大阪まで日本海側を通り、各寄港地で商品売買を行いながら就航していた北前船に搭載されていた金庫のようなモノです。北前船は今から350年前に航路が確立しました。
大きさは懸硯(かけすずり)、帳箱(ちょうばこ)、半櫃(はんがい) の3種類があります。※以下では 船箪笥=懸硯 として話を進めて参ります。
船箪笥の中には 金品/売仕切/船証文 など、船の運行や商いにおいて重要な品々が収められていました。
※売仕切:取引書のようなもの
※船証文:公開目的、乗組人員などを記載した証明書のようなもの
そのため、北前船が沈んでも船箪笥は回収できたとされています。
回収できた理由は、船箪笥の高い気密性にあります。
外装は硬い木材の欅(ケヤキ)が指物で組み立てられ、鉄で作られた装飾金具が取り付けられて、漆塗で塗装されています。引出しは桐(キリ)で作られ、外装との隙間は0.2mm程度とほとんど隙間がありません。
船箪笥が水面に落ちると
1.桐が湿度を吸収して膨張し、引出しと外装の隙間は無くなります。引出し内部にあった空気は外に抜けることがありません。
2.装飾金具が多く取り付いている表扉側が重力によって海底側に向きます。引出し内部にある外に抜けることができない空気が浮力となります。
このような物理構造で浮き続けると推測されます。
→ 海水への投入実証実験は数年内に行う予定でいます。
私が住む酒田は、船箪笥の三大名産地とされています。
※船箪笥三大名産地:小木(新潟県・佐渡)、酒田(山形県)、三国(福井県)
酒田産の特徴は、
・丁寧で緻密な指物技術
・木目の美しさを際立てる漆塗
・分厚く堅牢な装飾金具
と、派手ではなく堅牢で引き締まったデザインであるとされています。
現在、加藤木工にて製作できる船箪笥は市販品の装飾金具を取り付けています。市販品は寸法が既定されているために、古くに作られていた酒田産船箪笥のような堅牢な雰囲気を満たすまでには至っていません。
堅牢な雰囲気を再現するためには、装飾金具の製作が不可欠です。
2022年11月時点で加藤木工が船箪笥を製作できる様子は下記の動画をご覧ください。
◎ 課題
<職人の後継者不足>
酒田船簞笥は 指物・装飾金具・漆塗 の分業制で作られてきました。
指物に約1ヶ月、装飾金具の製作に約2ヶ月、漆塗に約1ヶ月と、腕の長けた職人が集結しても完成するまでに半年程度の期間を要します。仕上がった製品は製作時間に見合う出来栄えです。
けれども私が帰郷した2019年には、すでに多くの装飾金具職人・漆塗職人は高齢または亡くなっているなどの理由から減少して、指物業を代々営む弊社が製作を止めれば『酒田船箪笥』の伝統すら消えてなくなる状況でした。
そのような状況に危機感を私は感じていたのです。
北前船の航路確立(1672年)から350年が経過し、船箪笥(懸硯)は航路確立から9年後(1681年)に浦証文に使われていたことが記述されています。
※浦証文:北前船が遭難して最も近い浦に辿り着いた時に取り調べて作る海難証明書
酒田の職人が製作した船箪笥は流通量は少ないものの、質が高いと評価されています。
ですが、私が帰郷した2019年には下記のような生産体制でした。
<装飾金具>
分厚く堅牢な装飾金具を製作できる腕の良い職人は50年ほど前から、酒田にはいません。その当時からすでに製作は山形市内の金具職人が担っていました。けれども、その方もすでに亡くなり製作すらお願いすることができません。
<漆塗>
酒田で長年、船箪笥を販売されていた有名な方の本職は漆塗職人でした。その方から指物の依頼を受けて、加藤木工で製作していました。しかしその方も10年ほど前に亡くなられ、漆塗をお願いできる職人はいませんでした。
<指物>
指物は酒田市で唯一、加藤木工が3代(私の父/祖父/曽祖父)に渡り製作する技術を保有してきました。しかし、私が技術継承をしなければ『酒田船箪笥』自体が無くなってしまう状況でした。
次世代に酒田市の高い製作技術を伝承するためにも、私は船箪笥製造復興が必要と考えました。2019年より私は復興を目指して自身が指物技術を伝承するとともに、装飾金具職人・漆塗職人探しを始めました。
漆塗は、酒田市内の類似する塗装の腕を持つ職人に何度となく懇願し、ついに2021年から協力頂き、なんとか製造を再開することができています。
装飾金具については酒田市内で製造方法を知り得る職人と出会うことができました。しかしながら87歳という高齢であり、かつ後継者がいないことから事業再開のめどが立っていません。装飾金具製作が引き継がれないことには、酒田市内で『酒田船箪笥』を復興することができないのです。
<船箪笥の認知度不足>
船箪笥の継承ができていない理由には、職人の後継者不足の他に認知度不足があると考えています。
船箪笥を知らない → 船箪笥を買う人がいない → 船箪笥が売れない → 船箪笥を作る意味がない → 職人が作らない → 職人がいなくなる といった悪循環を発生した根源も、認知度不足にあります。
この状況を改善するために何かできないものかと思案しました。
◎ 解決策
<船箪笥の認知度不足>
船箪笥の認知度不足を解消するために、SNSを活用してみることにしました。その中でも Instagram に注力しています。
→ https://www.instagram.com/wotak/
さらに、より興味を持ってもらえる方法はないかと新たな技術として木工旋盤に挑戦し、ネコ型のこけし『ねこけし』を開発しました。
『ねこけし』は小さなお子さんにも木材と触れ合う楽しさを感じて頂こうと、体験型の商材としています。木材には抗菌能力が高く、変色しにくいヒノキを選び、保護塗料の塗布はしておりません。
現在行っている一般販売では、私が絵付したモノを販売しております。
絵付には市販されている水性顔料ペンを使用しています。水性であるゆえ絵付時には嫌な匂いもせず、顔料で手指が汚れてもすぐにウェットティッシュで拭き取ればキレイになります。乾くと耐水性になり、強く擦ったりしなければ色移りすることはありません。
Instagram に『ねこけし』を活用したことで、山形県内のテレビ・新聞・ラジオに取り上げられることが多くなり、船箪笥の復興活動を紹介頂ける機会が増えました。
さらには、Instagram の投稿を見た東京の美術関連会社にお声掛け頂け、船箪笥と一緒にフランス・パリで海外出展を飾ることができました。
※詳しい内容は「 ◎これまでの活動 」でご確認ください。
今回のプロジェクトでは、リターン品としてみなさまにお届けします。
<職人の後継者不足>
2021年12月に指物、漆塗の職人は酒田市で協力頂ける環境になりました。
先の解決策によってフランス・パリへ海外出展の機会を頂いたのですが、出展の作品には市販品の金具を取り付けました。
パリの人々には受け入れて頂ける作品となりました。
けれども私は、どうしても作品に納得ができずにいます。それは酒田市内の職人のみで船簞笥を製造できていないからです。
再び装飾金具の職人探しを始めた私は、知り合いから紹介を受け、製鉄職人と出会うことになりました。私の想いを伝え頼み込み、なんとか製作協力してもらえる承諾を得ました。
これにより、高齢になる装飾金具職人の技術を異業種ではあるものの製鉄職人が伝承でき、酒田船箪笥として復興させることができます。
<製鉄職人の想い>
「私の技術が伝統工芸品の継承に役立てるのであれば、ぜひ挑戦したい。」
今回はこの挑戦に、皆さんからの応援を頂きたいのです。
◎酒田市内の金具職人製作にこだわるのか?
酒田市内の金具職人製作にこだわらなければ、船箪笥を製作していくことは可能です。
現に2020年から始めた2作の製品については、市販品を活用しています。
ではなぜ、酒田市内の金具職人製作にこだわるのか。
それは、酒田船箪笥を経済産業省が定める「伝統的工芸品」の認定を受けたいからです。
認定を受けるための条件に
・一定の地域において少なくない数の者がその製造を行い、又はその製造に従事しているもの
があります。
「一定地域内において」という条件を満たすためにも、酒田市内での製造にこだわっているのです。
今回のプロジェクトが実施できれば、この条件を満たすことができます。
そして、酒田船箪笥が経済産業省が定める「伝統的工芸品」の認定を受けれる日が近づいてきます。
◎実施スケジュール
船箪笥用装飾金具の伝承スケジュールは下記を想定しています。
スケジュール通りに遂行できれば 2023年夏にフランス・パリで披露します。
2023年 1月 プロジェクト終了
2023年 2月 船簞笥用装飾金具製作 伝承工程開始
返礼品 製作/発送 開始
2023年 5月 船簞笥用装飾金具完成
6月 返礼品 発送完了
2023年 7月 フランス・パリ JAPAN EXPO 2023 船箪笥展示
◎これまでの活動
2019年 9月 加藤渉が酒田市に帰省
船箪笥の復興を目指すため 装飾金具職人・漆塗職人探し開始
2020年 6月 職人探しを進める傍ら、加藤木工の活動を知ってもらうため、ネコ型こけし『ねこけし』の販売を開始
Instagramにて 船箪笥製造復興・ねこけし製造情報 発信
2020年12月 山形県ローカルTV番組出演を機に船箪笥 第1作 製作開始
※装飾金具職人・漆塗職人は見つからない
2021年 9月 漆塗ができそうな職人と出逢う
→ 塗装願い承諾
2021年11月 Instagram の ねこけし 投稿を見た美術関連会社(株式会社クオリアート様)からフランス・パリで開催される美術展覧会のオファーを受ける
→ ねこけし + 船箪笥 での展示が認められ 出展承諾
2022年 2月 船箪笥 第1作 完成 ※装飾金具は市販品を装着
2022年 4月 船箪笥 第2作 製作開始
2022年 6月 フランス・パリ美術展覧会出展 + 審査員特別賞受賞
会期名:11th DISCOVER THE ONE JAPANESE ART 2022 in Paris
作家名:wotak
作品名:「酒田市の木工職人技、現在と過去」
2022年 8月 船箪笥 第2作 完成 ※装飾金具は市販品を装着
2022年 8月 ねこけし 輸出(ニューヨーク、シンガポール)
2022年 9月 装飾金具職人と出逢う
→ 高齢であるため製造拒絶
2022年 9月 ねこけし 輸出(パリ)
2022年 10月 フランス・パリにて誘客イベントへ船箪笥の説明員として参加
2022年 10月 製鉄職人と出逢う
→ 装飾金具製作協力願い承諾
2022年 10月 ねこけし 完売(ニューヨーク、シンガポール)
◎資金の使い道
<目標金額>
300万円
<内訳>
・高齢職人への伝承謝金 500,000円
・挑戦する職人への手当 300,000円
・加工用工具購入 150,000円
・材料(鉄)購入 40,000円
・返礼品製作費 1,500,000円
・CAMFIRE手数料 510,000円(目標金額の17%)
◎リターンについて
◆ねこけし木地◆
お好みで絵付を楽しんで頂けます。
支援額:¥1,500
◆ねこけし木地(シロクロ絵付体験セット)◆
シロクロをご自身で絵付して頂けます。
支援額:¥2,500
◆ねこけし(シロクロ)◆
船箪笥を海外で展示できる機会を運んできた幸福のネコです。
海外のニューヨークとシンガポールでは売り切れになるほど人気があります。
現在はパリで販売されています。
支援額:¥3,000
◆ねこけしプレート(桐)◆
北前船に乗ったねこけしをレーザー彫刻したプレートです。
フランス・パリに出展したことを記念して、帆は青・白・赤のトリコロールに塗装します。
支援額:¥5,000
◆ねこけし木地(シロクロ絵付オンライン体験セット)◆
シロクロをご自身で絵付して頂けます。
wotakがオンラインにて実演指導致します。
支援額:¥7,500
◆ねこけし3種セット◆
フランス・パリでの美術展覧会に出展したねこけし3種類をまとめました。
種類 シロクロ/キジトラ/三毛猫
支援額:¥8,000
◆ねこけしプレート(欅)◆
北前船に乗ったねこけしをレーザー彫刻したプレートです。
船箪笥と同様に欅塗を施します。
支援額:¥8,000
◆オリジナルねこけし◆
ご提供頂く愛猫画像から wotak が新たなデザインでねこけしを製作致します。
支援額:¥10,000
◆オリジナルプレート(桐)◆
桐材にオリジナルデザインでレーザー彫刻するプレートです。
支援額:¥10,000
◆ねこけし4種セット◆
定番としているねこけし4種類をまとめました。
種類 シロクロ/キジトラ/三毛猫/エキゾチックショーヘア
支援額:¥10,500
◆オリジナルプレート(欅)◆
桐材にオリジナルデザインでレーザー彫刻するプレートです。
支援額:¥14,000
◆船箪笥◆
フランス・パリの美術展覧会で受賞した作品と同等品です。(装飾金具:市販品)
支援額:1,000,000
最後に
酒田船箪笥の次世代継承に今後も挑戦しています。
また、若い人材の育成も進め地域産業復興に貢献していきます。
そして、「酒田市の」敷いては「日本の」伝統的工芸品として、船箪笥を世界に輸出していきます。
みなさまの温かいご支援、よろしくお願い致します。
<募集方式について>
本プロジェクトは All-in 方式で実施します。
目標金額に満たない場合でも、リターンをお届け致します。
最新の活動報告
もっと見るプロジェクト終了
2023/02/02 05:58プロジェクトが終了しました。どれだけの方にプロジェクトを閲覧頂けるのかドキドキしてスタートしましたが、多くの方に支援頂き、本当に感謝しております。目標金額には到達しませんでしたが、装飾金具技術継承活動は開始致します。ご支援頂きました皆様には、装飾金具製作完成までの全工程を公開します。加えて、リターン品は製作完了後、随時発送致します。 ※こちらも随時進捗状況をお伝えします。私の活動は始まったばかり。これからも『酒田船箪笥復興』に注目頂けましたら幸いです。 もっと見る
北前船頭御前
2023/01/29 21:25多くの方にご覧頂き感謝致します。酒田船簞笥は50年前に比べ、認知度は低迷しております。船簞笥は北前船に搭載されていました。酒田の富豪 本間家が北前船を造船し、完成した際に振る舞われた食事を再現したのが「北前船頭御膳」です。世界一のクラゲ水族館と呼ばれる鶴岡市立加茂水族館内にあるレストラン「沖海月」にて食べられるようになります。予約が必要ですので、下記より店舗情報をご確認ください。魚匠ダイニング 沖海月 もっと見る
終了まであと3日
2023/01/28 21:00多くの方にご覧頂き感謝致します。酒田船簞笥は50年前に比べ、認知度は低迷しております。認知度の低さからプロジェクトの実施に不安を抱えていましたが、多くの方に支援頂けて本当に感謝しています。プロジェクト自体は残り3日とはなりましたが、私の挑戦はその後も続きます。今後の挑戦にも期待頂ければ幸いです。◆お知らせ◆プロジェクト終了後の詳しい挑戦内容は、ご支援頂いた皆様に限定公開とさせて頂きます。 もっと見る
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