コーラス・インフィニ☆~リトアニアを巡る合唱と親善の旅~(全3回連載)
ついに2017年リトアニア旅行記も最終回となりました。
インフィニの過去の活動の様子も少し知っていただけましたか。
今回は、演奏旅行最後の公演の様子についてお届けします。
11/19の公演までの時間を、少しでもお楽しみいただけたら幸いです。
Part3
3月26日日曜日、サマータイムが始まった。この日から時計が一時間進む。日本人には馴染みのない制度なので、朝寝坊したらどうしよう! と落ち着かなく、変な時間に目覚めてしまった団員も少なくなかったようであるが、現地で暮らしているガイドさんも同じように不安で目覚ましをいくつもかけて眠ったらしい。一時間がどこかにいってしまったような喪失感は観光客だけのものではないのか、となんとなく安心しながらバスに揺られ、向かったのは聖カジミエラス教会。淡いピンク色をした立派な教会である。実は初日の観光のときにここでも写真を撮っていたが、それがわずか三日前の記憶であるとは信じられず、初めにここを訪れた日のことは、はるか昔のことのように思えた。教会の日曜ミサが始まり、インフィニ☆は後方のバルコニーの上からミサの進行に合わせて歌を歌った。教会の高い天井、空間一杯に広がる音やその残響に声出し中は戸惑いもあったが、教会ならではの音の広がり、響きは他ではなかなか味わえないものであった。ミサでご一緒した少年少女合唱団、Kurantasは透明感のある声で見事な教会の響きを聴かせてくれた。無理のない発声から繰り出される伸びのある澄んだ歌声はまるで天から降ってくるようで、その音色に敬虔な信者の方々の切実な祈りの想いが感じられた。ここで耳にした響きは、ヨーロッパの音楽の根底に流れるものであるように思われると同時に、今後、宗教音楽に向き合う上で、自分の中の重要な柱の一つになっていくように思えた。
教会から徒歩五分足らずの場所に構える旧市庁舎で、Mūsų sakurosヴィリニュス公演は行われた。前の利用団体のイベントがなかなか終わらないというハプニングに見舞われたが、演奏旅行最後のコンサートは無事に開演した。Lieposの深みのある歌声にうっとりと聴き入り、カウナスの演奏会でも共に歌ったVivaのエネルギッシュな演奏に心を躍らせた。インフィニ☆の音も日本、カウナス、ヴィリニュス、とほぼノンストップで走り抜けてきた合宿のような日々でなにか良い方向に変わったのかもしれない。最後の公演で一番の歌が歌えた、という大きな達成感があり、歌い終わったときには思わず涙が溢れた。
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