2023/07/18 10:47

【中村京蔵連載企画】連載40回
「三島由紀夫からフェードルそしてNINAGAWAマクベス」
ーフェードル上演までの軌跡ー

海外での歌舞伎講座(レクチャー)と演目(デモンストレーション)は、

予算も人員も限られた中で、

どうしたら歌舞伎を理解して貰えるか?楽しんで貰えるか?試行錯誤の連続でした!

演目的に失敗した時もありました……

女方の舞踊はなにがいいか?「藤娘」はウケがよくないと聞いていたので、

「鷺娘」ならドラマ性もあるし、衣裳の早替り(引き抜き)もあるから、

楽しんで貰えるのではないか?と考えて、一か八かで持って行きました!

2004年のニュージーランドとオーストラリア公演の時です。

ただ、当然録音演奏ですから、着替えに袖に引っ込んで、2度目に出て行ったら、

客席にだれも居なかったらどうしよう…という不安はありました(汗) 

だって、1度引っ込む時に盛大な拍手を頂いたので、

客席の皆様は、これで終わりかと思われたのではないか?と、

着替えている間中、ずっと考えていたからです。

でも、着替えて出て行ったら……お客様は居ました!居ました!安堵しました!笑

予算が付いて生演奏になってからは、そんな懸念はありませんでした!

鷺娘に定着した当初は、鷺娘とレクチャーだけでしたが、

少しずつ予算が付くようになってからは、鷺娘と石橋の2本立てにしました!

石橋(しゃっきょう)は獅子の舞踊で、獅子の毛振りは邪気祓いを意味していて、

大喜利舞踊に相応しいと思ったからです。

立役さんと女方の私が雌雄の獅子に扮して、紅白の毛を振ると、

予想通り、どこの国でも大ウケでした!

こうして、私の海外歌舞伎レクチャー&デモンストレーションは、

この演目に定着して行きました!