2023/09/06 10:00

【中村京蔵連載企画】連載49回
「三島由紀夫からフェードルそしてNINAGAWAマクベス」
ーフェードル上演までの軌跡

衣裳に付きまして3 

テゼ王ですが、帰還の時は鎧にマントを羽織りたいと考えていました。

藤浪小道具さんに洋風の鎧があったので、それとし、

黒のビロード地のマント、白地の大口袴(能取り物の大口とは違います)、

白地の毛靴に致しました。 着替えてからは、

王様ですから小忌衣にしたのですが、袴(亀甲柄織物)を付けたいので、

少し丈の短い物にして、華鬘結びの羽織紐も時代になり過ぎるので、

花結びにして垂らしました。白綸子の着付です。 

イポリットは、前半、無地に見える白地織物の着付に、

赤地織物の胴着を重ね着して、

幕開きの狩倉姿は襦袢を着ずに素肌を出して野性味を狙いました。

袴は紺地織物龍の丸模様です。出立は笹菊模様の鎧下の着付に緋縅の丸鎧、

籠手脛当で、太十の十次郎のままです。 

テラメーヌは茶地織物の直垂、出立はそれに胸鎧と籠手脛当です。 

小姓は、帰還時は半鎧に籠手脛当、のちは、

濃い浅葱綸子の着付に青地織物の小袴です。 

活歴にならず、大時代にならずと色々苦心致しましたが、

さて、如何でしたでせうか?