【中村京蔵連載企画】連載57回
「三島由紀夫からフェードルそしてNINAGAWAマクベス」
ーフェードル上演までの軌跡
小道具7
テゼが小忌衣に着替え、2度目の出になります。
手には天地金の扇を持っています。
天地金とは地紙の上部と下部に金泥か塗られている白扇のことで、
武将や上つ方、また町家でも冠婚葬祭の折に持ちます。
私は、テゼが我が子イポリットを怒りの余り扇で痛打しようとして果たせず、
扇を破って、つまり、扇に八つ当たりしたいと考え、
大河内さんに相談したところ、OKを頂いたので、
恐る恐る小道具の近藤さんに訊いたところ、
天地金の扇なら、古くなって使えないのが山ほどあるので、
存分に破いてください!とお許しを得たので、
稽古中から池田さんに気持ち良く破いて貰いました!(笑)
只、なかなか簡単に破けるものではありませんので、
上部に切れ目を入れました。
扇を破る工夫は、私も「山月記」と「江島生島」で経験しました。