2023/12/06 15:00

ティーブレンダーの熊崎です。おかげさまで無事、名古屋会場のセミナーでゲストスピーカーを務めさせていただくことができました。


東京・名古屋の両会場にお越しくださった方々、ありがとうございました。

日本に来るのは今回が初めてのルワンさんが、流暢な日本語で、わかりやすく聴きごたえのある講演をしてくれたことで、初めて彼と会われた方は特に、そしてスリランカでお世話になった方も改めて感動されたと思います。


これまで日本にセイロンティーを送り出すため、そしてスリランカの魅力を日本からの旅行者に味わってもらうために、彼が熱意を持って見えない努力を続けてきたことが、いつも笑顔の気さくな人柄とともに皆さまに伝わったことも、今回のプロジェクトの大きな成果になったと感じています。


後日、アーカイブ視聴をご覧いただく際には、セミナーの話題であった①バイヤーの仕事の仕組みと大変さ、②スリランカが直面する問題、③未来へ向けてのセイロンティーの魅力の再確認、④我々がこの恵みを享受しつづけるためにできること、をおさらいしつつ、彼の熱意と人柄を再度感じ、ぜひ、今度はこちらから訪問する計画や、自分でできる身近な支援策の思案につなげていただければ幸いです。


今回、ルワンさんの生の声を聴いていただくことが何より重要との考えから、熊崎の担当部分として事前に意識していた「ティーブレンダーの視点からのセイロンティーの魅力」については、名古屋のセミナー後の懇親会で個々に断片的にお話しするにとどめましたが、商品開発者として、その魅力とは“セイロンティーは飲みどきを選ばない”ことに集約できると考えています。


これには二重の意味が含まれており、まず全体的には、他のあらゆる食材との相性が穏やかに良く、本来の旨味や香気の抽出にも滑らかな一貫性がある、という特性が通底してみられます。つまり万能タイプの紅茶であり、ブレンド素材としてもベース茶葉としての有用性が非常に高い、ということですね。

そして、この長所部分はともすれば極端な意見の立場からは“無難な紅茶”という評価にもつながりそうですが、講座でも“7大産地”のかたちでルワンさんから解説のあった通り、島の各地が地形と気候の変化に富むため、特徴を強く前面に出しての生産も実現されていることから、メリハリをつけた茶葉選択「今日はコレを飲もう」や、製品化の際、必要に応じて必要なだけ風味の方向性を打ち出したブレンドづくり、といったかたちで、人間の側が選ぶことで、やはり万能の対応が実現できるのです。


名古屋のセミナーで熊崎から補足的にお話させていただいた通り、歴史的にみて「紅茶」というのは、世界的嗜好品への道を歩むため、均質・安定・普遍の大量供給を目指したことに特徴があったものに、現代では多様化と個性追及の時代になったため、特定産地・品種・製法の茶葉に注目が集まりだした、という新たな潮流が加わってきた飲料素材ということが明確になったいま、セイロンティーはその両方に応えるための素地と未来を持っている、というわけです。


たくさんの人の努力で、たくさんの人が幸せになる可能性が、経済のつまづきや世界情勢の影響で大きく後退するのは実に馬鹿げたことですが、ひとりひとりのちょっとした気持ちと手助けが継続できれば、より良い流れに向かうことはできるはず。


今回、会場の皆さまの笑顔が、ルワンさんにとっても(熊崎もですが)何よりの今後の活力になったと感じましたし、クラウドファンディングの呼びかけの際にお願いしておいた「自分にとってのセイロンティーの良さ尊さ」を、じかに伝えた皆さまの言葉は(文章でのご感想もさらにぜひ)、今後、スリランカでオークションサンプルを選り分ける作業の瞬間に、彼の脳裏に皆さまの笑顔とともに浮かび、今回、ルワンさんが日本の秋の気候で自ら体験した味覚の情報とともに、より日本市場にふさわしく、面白い茶葉をセレクトしてくれることと思います。


最後になりましたが、この重要なプロジェクトを推進してくださった、ワンダーリンクス代表の國友さんにも改めて御礼申し上げます。フットワークの軽い、エンジンの強力な日本側若手バイヤーとして、長年のご経験と功労ある青山ティーファクトリーの清水さんとともに、美味なるセイロンティーをこれからも日本に運び入れてくれることが楽しみです。


あらためて、ゲストスピーカーとして御礼申し上げますとともに、セイロンティーを活用して、皆さまの日常がさらに“おいしくたのしく”充実しますように。ありがとうございました。