バリュープラス アーカイヴ プロジェクトです。
本日もみなさまにフィルムの中から厳選してご紹介します。
『快傑ライオン丸』からこちら!
『快傑ライオン丸』屈指の名キャラクター、悪の剣士タイガージョーの写真を紹介します。日本特撮史において最初に出現した、主人公であるヒーローと対となる存在、ライバルキャラクターとしてのダークヒーロー。それがタイガージョーでした。『快傑ライオン丸』第27話で初登場し、途中登場しない時期もありつつ、最終話まで出続けた稀有なキャラクターです。
フィルムではタイガージョーの、刀を背中に隠す独特の構えを取った姿を映しとっています。変身時のセリフ「タイガージョー、推参!」を敵に告げる、まさにその瞬間といった絶妙なタイミングの写真です。第28話から装着する眼帯、右上部分が少し汚れた胴など衣装のディテールもありありと見て取れ、マスクに至っては綺麗に伸びたヒゲの1本1本まではっきりと捉えられています。フィルムにもほとんど傷や汚れが無く、少し暗めな画面の色彩もシャープで、タイガージョーのキャラクターにマッチした素晴らしい1枚です。今回のクラウドファンディングでデジタル化が実現すれば、より綺麗な形でタイガージョーの制作当時の姿を蘇らせることもできるはず。期待が膨らみます。
スーツアクターとしてタイガージョーを演じているのは尾崎孝二さん。ライオン丸役の鴨志田和夫さんと違い、エンディング映像では名前がクレジットされていませんが、タイガージョーは「最初から」尾崎さんが演じていた旨を、本人や他のキャストが明言されています(『ピー・プロ70'sヒーロー列伝 (2) 快傑・風雲ライオン丸』参照)。『スペクトルマン』でも俳優として公害Gメンの一人・有藤年夫役でレギュラー出演。『快傑ライオン丸』ではタイガージョーのほかにも、第14、26話と2度に渡って登場し絶妙なキャラクター性を見せた名怪人・ネズガンダのスーツアクターなども好演しました。ピープロ特撮を語る上では欠かせない俳優・スーツアクターの一人です。
うしおそうじさん曰く、タイガージョーは作品の中盤を引っ張るために考えたライバルキャラクターで、西部劇に出てくる仇敵をイメージし、監督の石黒光一さんとともに創り上げた(『スペクトルマンvsライオン丸 「うしおそうじとピープロの時代」』より)とのこと。ライオンのライバルなので虎、という非常にシンプルなアイディアによるモティーフです。マントやブーツ、胴などライオン丸と共通の意匠を持ちつつ、一方で胴に書かれている文字はライオン丸が「心」に対し、タイガージョーは「悪」。使う太刀も「金砂地の太刀」に対し「銀砂地の太刀」。剣術もライオン丸が刀を順手に持った王道の剣に対し、タイガージョーは逆手に持って変則的な剣術を使うことも多く、あらゆる部分で対となるようにキャラクターが創り込まれています。
今回はタイガージョーについて、主にビジュアル面を取り上げさせていただきました。次回はタイガージョーに変身する剣士、虎錠之介の写真を紹介します。乞うご期待!