このコロナ禍の3年間はいろいろなことがありました。事業・活動の中止・停止。イベントの延期・中止。ミーティング・会合ができない。懇親会や飲み会ができない。いろいろなことができなくなり、多くの活動やイベントが中止・停止を余儀なくされました。一方で、オンラインを活用して事業・活動のかたちを変えたり、ミーティングやイベントをZoomなどを使ってオンライン化したり、変化や進化も一気に進みました。
コロナによって大きく変わってしまった外部環境がすべての団体・活動にとってマイナスだったかというと必ずしもそうではありません。この外部環境の変化がプラスに働いていたり、この外部環境の変化があったからこそ、また違うかたちにビジョンや活動が進化している団体もあります。
ただ、一般的な人間の性質を考えると、「身体性・五感」が大きく減少したこと、「雑談・おしゃべり」などの誰かとのコミュニケーションが著しく減ったこと、それらは私たちの精神・メンタルや人間関係にマイナスに働いていることは多いのではないかと思います。
このコロナ禍の3年間、多くの団体・組織から相談を受けてきました。それらの多くは組織のことや人間関係のことでした。いま思い返しても深刻なものが多かったように思います。そして、この3年間で組織のかたちやメンバーが大きく変わる団体も多かったように思います。
まだ相談できる場合はいいのですが(解決に向けて水も流れていくのですが)、何を相談したよいかわからず、相談しようという気持ちにも至らないまま、ただただ停滞が続いていくという場合も多いように思います。今回のクラファンやコラムを通して私たちに聞こえてくる声には、誰にも言わずに抱えていた“眠っている悩み”がいっぱいありそうです。
最近、世の中のコロナの霧が少しずつ晴れてきているように感じます。リアルも復活してきて、飲食店にも活気が戻ってきていて、身体性や五感も動き出しているように思います。今までなかなかできなかったリアルイベントや食事会・飲み会もやりやすくなりました。あとは「それをやりたい!」と思える気持ちと関係性次第です。
いま問題なのは、この「気持ち」と「関係性」だと思います。この3年間でしぼんでしまった「気持ち」と「関係性」が沸き立ってこなければ、春になったとしても外に出ていこうという流れになっていきません。「以前のかたち」という「壺」に収まったままの気持ちと関係性は、もしこの3年間で停滞していたとすると再燃するのは大変かもしれません。もしかしたらその「壺」を一度抜け出すか、その「壺」を壊すことで再起動ということもあるかもしれない。春で、夜明けで、晴れであったとしても、「気持ち」と「関係性」が動き出さない限り、活動が再起動することはなかなか難しいのだと思います。
ここからは、コロナ禍の3年間とはまた違ったかたちで、「再起動」に向けた産みの苦しみのような時間は続きそうな気がします。何かを動かし、何かを大胆に変え、ちょっとずつちょっとずつ動き出していくための“手前の”産みの苦しみです。でも、たとえ産みの苦しみがあったとしても、それが“普通”のことであり、多くの人が似たような状況であるならば、それほど苦とは感じないかもしれません。自分たちだけが大変なんじゃなく、この構造自体が大変なのだとわかれば、少しは前に向かう勇気も湧いてくるのではないでしょうか。
「市民活動・コミュニティ活動の再起動」は、もしかしたら「以前のかたち」に戻ることとは限らないかもしれません。ビジョンや魂はそのままに、いろいろなものを再構築して、「新たなかたち」を創り上げる作業なのかもしれません。外部環境が変わっても、自分たちのかたちが変わっても、変わらないのがビジョンや想いや志。心の奥底にある想いはなかなか変わらないものです。そのビジョンや想いや志に基づいて、「新たなかたち」をこれからつくっていけるのだとすると、それはわくわくする話ではないでしょうか。
うまくいかない時間もそう長くは続きません。がんばろうと、がんばってなかろうと、時は流れてまた状況が変わり、自然と良い流れがまたやってくるのが人生や世の中の法則のような気がします。きっと良いときはまた来る。ただ待っているだけでも良いときはやって来るでしょう。そして、そう思えれば気持ちも軽くなり、やる気や行動も動き出すかもしれません。日はまた昇る。私たちは大切な活動をしているのだから、あきらめずに息長くやっていきましょう。
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